自暴自棄
(ったく、ここは一体何処だぁ?)
見知らぬ部屋だ。いつの間にこんな所まで………
(ああああ!そうだ、あの女ぁ!助けてやろうとした俺を囮に使うとかふざけた事を。次会ったら必ず泣かす!!!)
そんな風に俺が恨みをつのらさていると、
ガチャ
「ん?」
「あら、目が覚めたようね」
「誰だ、お前………は?」
そこに居たのは正しく絶世の美少女であった。髪は黄金色に輝いていて、それをツインテールにしている。目はツリ目であり、勝ち気な印象を与える。ほのかに紅い唇には目を離すことが難しい魅力がある。スタイルはスレンダーで、世の女性が歯噛みをするであろう。ただ、惜しむらくは………
「ねぇ、ちょっと。何で私の胸にそんな悲しい物を見る目を向けているのかしら?」
「嫌、ただ、惜しいなぁ………と思っ「殺す」悪かった!悪かったから首を絞めようとするなぁ!!」
「く、抵抗するんじゃ無い!潔くあの世へ旅立ちなさい!」
「おい、バカ、止めろ!死んだと思ったけど何とか生きてて良かったと生を噛み締めていた所なのに」
「何言ってるの?貴方死んだじゃない?」
「………え?」
「え?」
何を言っているんだこの絶壁「やっぱり死にたいようね」………この少女は?死んでたらお前と話出来るわけねえし、こんなにピンピンしてるわけ無いに決まっているだろうが。
「その「何言ってるのこの子?」見たいな視線
。止めていただけるかしら?貴方が生きている………というより、生き返ったのは私のお陰よ」
「はぁ?何を言っていやがる。お前が俺を生き返らせた?はん。バカも休み休み言いやがれ」
「ふん!なら証拠を見せてあげるわ!貴方自分の胸を見てみなさい。」
「それがどうし………………っ!?!?」
「ほらこれで分かったかしら?」
確かに俺はこいつ………………かどうかは知らないが誰かに生き返らされたってのは確かだ。理由は簡単だ。胸の上に魔方陣がある。それも特徴的である。【ネクロマンサー】のスキル持ちが生き返らせた生物に付く魔方陣だ。
「ふふん。これで私が貴方を生き返らせてあげたってのが分かったかしら?」
「………あぁ。なぁ、何で俺を生き返らせたんだ?」
「な、何でって、そりゃ、その、なんて言うか………モジモジ」
「俺が操りやすそうだったからか?」
「あ、貴方の事が………………へ?」
「違うのか?それ以外だと………恨み、とかか?誰かに恨まれるような事をした覚えは無いんだが」
「ちょ、ちょっと待ってよ!いきなり何を言ってるのよ!」
「何って、俺を生き返らせた理由を聞いてるんじゃないか。そうたなぁ、恨みでも無いとすれば金………か?でも金なんて無いぞ?」
「ち、違うわよ!そんな理由じゃないわ!」
「だったら、どんな理由だよ?こんなスキルも無い、ただ善人ぶってただけの男に何のようだ?」
「それは、だから、その」
「ほら、言えないような理由なんだろ?まぁ、好きにしてくれよ。お前が生き返らせたんならどうせ俺に拒否権なんざねえしな」
「な、な、な、なによなによ!せっかく生き返らせてあげたんだから喜びなさいよ!」
「うるせえ!」
「っ!」
「こちとら、生き返らせて欲しいなんざ一言も言ってねえだろうが!勝手に生き返らせて、理由も言わねえ、それなのに喜べってか!?お前の命令一つでしたくねえ事さえしなくちゃならねえのにか!?」
………そう。【ネクロマンサー】のスキルで生き返った者はは強制的に主従契約の様なものをさせられる。つまり、こいつが俺を生き返らせたのなら俺はこいつの言うことを全て聞かなければならない。【ネクロマンサー】のスキルってのはそういうもんだ。
「べ、別に無理やり言うことを聞かせる為に生き返らせたわけじゃ………」
「だったら何の為なんだよ?さっさと教えろよ」
「………………もう良いわよ!私が勝手に生き返らせただけよ!理由なんて無いわ!さっさと何処へでも行けば良いじゃない!」
そう言って少女は走っていった。彼女が走り去る間際、彼女の頬には涙が流れていた様に見えた………
「………何だってんだよ」