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勇者ではなく、英雄ですらなく  作者: マンディ
終わりと始まり
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幕引き

あぁ、私は死んだんだな…。


真っ暗というよりも、視界が機能していない。

何も見えず、何も聞こえない。


何も触れられず、ただ身体が宙に浮いているような感覚だけはある。

恐らくここには、何もないのだろう。


死後の世界というのは、存外味気ないものらしい。


思えば、つまらない人生だった。

そしてその最期も…。


なんてことはない、通勤途中、交通事故に巻き込まれただけのこと。

死んだ瞬間は記憶にないが、その直前までのことははっきりと覚えている。

あまり実感は湧かないが、自分は死んだのだとはっきり確信できていた。


さて、どうしたものかな。

とは言っても、そもそも身体が動かないし、何も見えないのではどうしようもない。


これから急に光が差し込んできて能天気にラッパを吹きながら天使が迎えに来るのか、それとも門が開き始めて仏様からの有難い説法が始まるのか。


どちらにしても、今のところそんな気配はないが、早く何かしら進展して欲しいものだ。


この何も無い状態が続くのは、あまりに苦痛だ。

まさかこれが生前に対する罰なのだろうか。

そこまでの大罪を犯したつもりはないのだが。



時間が経つにつれ、不安と恐怖が募り始める。

何も無いこの空間で、何も出来ないまま永遠に独りで彷徨うしかなかったら?

ただただ考えることしか出来ないここは、本当に地獄なのだろうか。


あぁ、私は本当に死んだんだな…。

でも少し疲れてきた。


ふとそんなことを考えると、急に眠気のようなものが襲ってきた。

『眠気』という言葉が正しく表現出来ているかは分からないが、とにかく意識を削られていく。


まあ、少し休んだところで何も変わらない。


そう思った直後、思考も何もかもが止まってしまった。

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