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再会2

「ええ!!! ゆかりちゃんって、あのゆかりちゃん!? でも、ゆかりちゃんの名字って、たしか石川だったはずだけど……」


 疑問には思ったけど、言われて見るとクリッとした大きな目が子供の頃のゆかりちゃんの面影を残しているような……


「青山は母方の姓なの。晶くんと別れてから色々あったのよ……」


 少し遠い所を見るようなゆかりちゃんの目は、本当に色々あって苦労したんだなぁって僕に感じさせた。でも、病気で苦しんでいたあの時の少女が、こんなに可愛くなるとは思っても見なかった。


「それにしても、晶くんって大きくなっても変わらないのねぇ。入学式で見かけた時、わたし、すぐに気がついちゃったわよ」


 ふふん、と得意気に言うゆかりちゃんに僕は驚かされた。


「えー! 入学式の時に気がついてたのなら、すぐに声をかけてくれたらよかったのに!」


「だってさ、他人の空似ってこともあるじゃない? あの時は、まだ名前も確認できなかったし、それにうちの高校って一応進学校じゃない? 晶くんって病院にいた時はゲームばっかりやってて勉強できなさそうだったから、ここに入学できるとは思えなかったからさ。あはははは!」


「ひどいなぁ。そりゃ、あの頃は勉強ができるほうじゃなかったけど、僕だってやればできる子なんだよ」


 ふて腐れながら文句を言う僕の肩をバシバシ叩きながら、ゆかりちゃんは『ゴメン、ゴメン』と謝ってくる。笑いながら話すその姿は、子供の頃と全く変わらなかったので、僕はちょっと馬鹿にされたけれどなんだか嬉しかった。


 お互い数年のブランクは、少し言葉を交わすだけで一気に縮まり、単なる同級生から親しい幼馴染と変わるのに時間はかからなかった。


 いきなり僕とゆかりちゃんが大声で親しげに話し始めたものだから、まだクラスに馴染めていない同級生たちから好奇な目で見られていた。特に、僕がクラスでも美少女の類に入るゆかりちゃんと親しく話すものだから、男子からの嫉妬の含んだ視線が痛かった。視線だけでなく、男子全員の頭の上のロウソクが真っ赤に燃え上がっていて僕をうろたえさせた。


 するとゆかりちゃんが声のトーンを落として僕に話しかけてきた。


「晶くん、まだ頭の上のロウソクが見えるの?」


 その言葉に僕はドキリとした。


 そうだった! ゆかりちゃんにだけ僕の特殊能力を話していたんだった!


「う、うん……」


 僕の困った表情を見て察してか、ゆかりちゃんが小声で、


「大丈夫。晶くんの能力のことは誰にも言っていないし、これからも誰にも言わないよ」


 人差し指を振りながら『2人だけのヒ・ミ・ツ』とかやっている。


 ひどいことを言うようだけど、こんな仕草をブサイクな女の子がやったら殺人級の怒りが込み上げてくる。でも、ゆかりちゃんみたいな可愛い子がやると本当に様になる。どんな男子もイチコロだ。


 そんな男子の1人である僕も、ゆかりちゃんの愛嬌のある仕草を見てニンマリしていたら、クラスの男子全員から殺人級の怒りのこもった視線をさらに浴びせかけられた。

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