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Begining-襲撃者-

書きました。

ぜひ見てください。

結局、学校に来たのは良かったのだが一限が嫌いな数学だったのでこっそり

授業を抜け出して屋上でたそがれていた。


「ファ~・・・気持ちいい~!」


今日は見事な快晴なのでこんな日には屋上で日向ぼっこをしないのは惜しいことだ。

屋上は好きなので毎日一回は来て昼寝をしていた。

上瞼と下瞼がそろそろお付き合いをはじめようとした頃、

不意に携帯が鳴った。

眠気を振り払いポケットから電話を取り出す。

電話ではなく緊急ニュースのお知らせだった。



『先程9時50分ごろ、風上町の倉庫で大きな爆発がありました。

憲軍は事故とテロの両面調査をしていますが、なるべく外出は控えてください。繰り返し・・・』



「・・・近いな、隣町か?」


隣町の方角に目をやると微かに黒煙が上がっている建物が見えた。

テロはしょっちゅうある事なのでさほど気にならないのだが

近くで起きたとすればまた別である。

巻き込まれるのは絶対にご免こうむりたい。


ドオオォォォォッ・・・


憲軍の戦術空挺戦討機、『Schlacht Airborne Troopers』通称「SATサット」が群をなして

俺の頭上を飛んでいった。


憲軍最高峰の戦闘能力と最大の軍勢を有する部隊が何でこんなところに・・?

それほど強い敵なのか?


ヤベえな・・・ここも戦場になるのか?

そなったら早く姉貴にも知らせたほうがいいかもしれん。

そんなことを考えていたとき、屋上の扉が突然開いた。

振り返るとクラスメートの如月沙羅きさらぎさらが息を切らして

扉取っ手にてを掛けてこちらを見ていた。


「どうした沙羅、あせっちゃってお前らしくないな」


こいつが焦るの時は俺のみが危険な時だけだ。


「そんなのどうでも良いから早く!!皆避難開始してるよ?!」


「はあ?!何言ってんだ?」


「さっき避難警報が校内で流れていたよ?!聞こえなかった?!」


そんなもの聞いてもないし、ましてや流れてもいない。

ここまで聞こえるはずの校内放送が何故耳に入ってこない?



「いいから早く逃げるよ!!みんなグランドに集まってるよ!!」



急かそうと沙羅が龍護に近づいてきて袖を引っ張る。



「ほら!!早く!!逃げ遅れちゃうよ!!」


「・・・・・」


こいつ・・・こんな力あったっけ?

普段ともなんか違うし、こんな怖い顔初めて見た。



するとまた屋上の扉があいた。



「お~い龍護~、如月がなんかお前に用があるらしいぞ・・・・ん?」


「龍護~、また授業サボって・・・あれ?」


氷室と沙羅がこちらを見て固まっていた。

俺もびっくりして口をパクパク動かすことしかできなかった。

姉妹?ドッペルゲンガー?


「おい、如月って姉妹いたか?」


「いませんよ!第一私あんなに強引じゃありません!」


「お前は何の話をしていやがんだよ」


氷室と沙羅も動揺してるようだ。


「あ~あ、もう来ちゃったか~残念だなー」


いきなり俺の腕をつかんできた偽沙羅は

さも残念そうに肩をすぼめながらこちらを見やった。

顔が異常なほどにつりあがった笑い顔を浮かべており

その瞳の奥の凄まじい殺気に最初に気付いたのは氷室だった。


「龍護!!そいつから離れろ!!」


「え・・・?」


氷室の注意をようやく龍護の思考が理解したとき――




ブチィイッ・・


骨が折れ、肉が千切れる音が屋上に響いた・・・

龍護はようやく理解した。

自分の右腕が根元から引き千切られた事に



「え・・あっ・う・うわああああああああああああああああああ!!!!」



自分の身に起こった事にようやく理解したと同時に

想像を絶する痛みが全身を駆け巡り

大量の鮮血が屋上に撒き散らされる。


「いやあああああああああああああ!!!!」



「龍護!!」


氷室と沙羅が声を上げる。


「うるさいなぁ・・・少し黙ってなさいよ」


偽沙羅がそう吐き捨てながら俺の腕を観察していた。


「う~ん・・・外れか、当たりだと思ったのに~」


「このやろおおおおおおおおおおお!!」


氷室が叫びながら。容赦なく偽者に殴りかかった。


だが――


「その程度の拳か、子供がきめ」


第三者の声、氷室は背中に何かがぶつかってきたような衝撃が走った。

偽者へと放った渾身のストレートが虚しく空を切る。

よく見ると背中には1本のサバイバルナイフが深々と刺さっていた。

声の主はそのまま落下防止用のフェンスまで氷室を蹴り飛ばす。


「脆弱だ、そんな拳で我々を傷付けられるとでも思ったのか?」


再起不能になった氷室を見て女はつまらなそうに呟いた。

外人で20代くらいのその女は黒い軍服を着込んでおり髪色は紫がかった黒、

美しい顔に浮かんでいる表情はまるで氷のように冷めていた。


「てめえっ・・・よくも・・氷室を・・!!」


痛みよりも怒りが大きくなった龍護は、女を睨みつける。

女は怯む事無く、ただただつまらなそうに俺を見てきた。


「なんだ、威勢だけはいいんだな。腕を千切られても

他人の心配をするとはお人よしな奴だ、まずは自分の事を心配したらどうだ?」



「黙れよ・・・何が目的だ、どうしてこんな事を・・!!」



「ここで死ぬ人間に、知る必要は無いだろう?」


女は右手を空にかざしながら冷めた声で言放った。


「ケリア、もう具幻化インクレーション使っちゃうの?」


いつの間にか偽沙羅が本物の沙羅を屋上のフェンスに縄で縛り付けながら言う。

ケリア――と呼ばれた女は龍護にとって絶望的なセリフを言った。



「ああ、頃合だろう。それに・・・この他人の心配ばかりしている馬鹿な奴の前で

 この学校の生徒――いや、友達が消えたら面白いとは思わないかね?」


この時初めてケリアが笑った。

まるで鴉が嗤っているかの如く,真っ黒い瞳を揺らしながら―――。

次回は覚醒編です。


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