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「俺のところは上に兄貴が3人いて、みんな同じように1年目は休学してるからな。入学前から、そうなるだろうと俺は勿論家族も思っているわけだ。それを想定して、休学時の修行内容もスケジュールを組んでいる。」
「休学時のスケジュール……」
休学ありきの考え方を知ったばかりのガルディウスには、目から鱗の話である。
「学武祭は外部の人間も見学できるだろ?俺もエリシャも休学中に同じギルドに所属して修行する予定で、お世話になる予定のギルドのメンバーが俺らの実力を見に来る。だからまあ、ある程度実力を示すためにも可能なら勝ち進みたいとは思うが、向こうだって俺らが進級するほどの実力はないことは承知の上だからな。俺らとしては実力を出し切ることが全てで、勝敗は二の次。攻撃力が不足したペアだってことは承知の上で、どれだけ持ちこたえられるか見せることに重点を置いてんだ。」
事情を知ってしまえば、当初のようにその心持を責めようとは思わないが――
「……それにしても、相手ペアの構成によってはかなり厳しいペアだと思うんですけど。」
エリシャはほぼ回復能力限定と言える。攻撃力も、自己防衛力もほとんどないに等しい。
前衛が攻撃、後衛が援護。あるいは、前衛が防御で後衛が攻撃にあたるバランス型の組み合わせであれば問題はないだろうが――前衛・後衛ともに攻撃に徹するペアというのも存在だろう。
学院では比率でいえば武闘科の人間が一番多いのだ。むしろ、そういった攻撃型のペアの方が比率としては多くなることが予想される。
その場合、ディアラが二人の攻撃を一手に引き受けなければならないのだ。
「勿論そうしたペアも予想したうえで準備はしてるさ。あんたらと当らないとも限らないから、さすがに詳しく教えられねえけど。」
そう言って苦笑するディアラに、ガルディウスは頷く。
こうしてクエストを共にしていても、学武祭では敵同士なのだ。手の内を隠すことは理解できる。
「物知らずな落ちこぼれのために教えてやる。言っておくが、ディアラのところのような考えのペアは多い。実力が自分たちよりも下のペアですら自分の力量を示すためになんらかの準備をしている。勝敗が明らかでも、決定打を与えるまで相手はあがくということだ。下手をすると1戦1戦が長期戦になるぞ。」
それはユハスなりの助言だ。
助言とはいえ、バーデルであれば到底感謝する気にはなれないだろう高圧的で嫌味な物言いだが、ユハスを好意的に見ているガルディウスは、その助言をありがたく受け止める。
それにしても――
「以前からその……ユハスさんのことは親切な方とは思ってましたけど、随分僕に協力的ですよね?」
少し気になって問いかけたガルディウスに、ユハスは何とも言えない表情を浮かべる。
ユハスは他者から悪く思われたいとは特別思わないが、自分が人の敵意を買いまくっていることは自覚している。
「俺を親切だと思ってるのはおまえくらいだと思うが……まあ、おまえらに一泡吹かせてもらいたいペアがいるんでね。そいつらにあたる前に雑魚ペア相手に敗退されちゃ、困るんだよ。」
「一泡吹かせたいペア?」
「下手に意識されるのもどうかと思うから相手は教えないが……おまえらがそいつらに一泡吹かせることもなく負けた際には俺の労力分、きっちり別の形で返してもらうからそのつもりでいろよ。」
「はい、わかりました。」
あっさり頷くガルディウスに、バーデルはぎょっとする。
「おいおまえ、あっさり頷くなよ!『おまえら』ってことは俺も含まれてるんだろ!?」
「でも……良識ある人として、借りはきちんと返さなくちゃだめですよね?」
「相手がまともな人間ならともかく、良心皆無のユハスの貸しをあっさり認めるじゃねえ!!」
「……ユハスさんは、良心的な先輩ですよ?」
「アホか!!」
怒髪天を衝く勢いのバーデルに、ユハスはニヒルに笑う。
「安心しろ。どんなに否定しようがしっかり貸しにしておくさ。」
「安心できるかー!!」




