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仮面の紋章使い  作者: 9BO
Chapter2:院内クエスト
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05

「クエストはここ――学生課で受けられるわ。ほら、この掲示板に依頼が張り出されているから、やりたいものを選ぶの。」

「い、いっぱいあるんですね。」


 ずらりと並ぶ巨大な掲示板。

 そこに隙間なく貼り付けられている依頼書の数は膨大だ。

 学院案内と違い書面は簡潔に書かれているため、ガルディウスにも何とか概ね理解できそうだが、あまりの数に圧倒される。


「うちの学生課はギルドと提携しているから、ギルドの依頼も単位クエストとして受けられるのよ。まあ、学生に不相応な依頼は学院がはじいているけど。あと、数は少けど赤い紙の依頼書がちらほら交じっているでしょ?あれは院内クエストよ。」

「院内クエスト?」

「学院内の人間――要は、教師や生徒が出している依頼よ。」

「教師はともかく、生徒もですか?」

「ええ。自分の単位を報酬にして依頼を出すことができるの。ガルは単位足りないんだから、受ける方専門になるでしょうけど。」


 学院に入る前にギルドの仕事はしたことがあるため、大体の内容は想像がつく。

 護衛や、採取。魔獣の討伐。

 目につく限り、かつてやったことがあることと内容はかわらないようだ。

 しかし、学院内の依頼については今一想像がつかない。


(自分の単位を報酬になんて、ここの生徒はどんな依頼をしてるのかな?)


 興味を覚えたガルディウスは、一番近くにある赤紙を覗き込み――依頼者の名前に見知った名前を見つけた。


「……あ、これ。サザーラ先生の依頼だ。」

「サザーラ先生って、確か紋章術の教師よね?」

「う、うん。」


 武闘科の生徒であるアルティナにとっては馴染みがないだろうが、紋章術を最も得意とするガルディウスにとって、学院内でもっとも馴染み深い教師である。


「依頼内容は、リードリーフの採取ね。……いいかも。ガル、一緒にこれを受けてみない?」


 リードリーフは魔穴と呼ばれる魔力の満ちた洞窟の奥に自生する薬草である。

 魔穴内では良く見られる薬草だが、魔力の満ちた場所には魔獣が住みつきやすいため人のいない辺境の地にあることがほとんどだ。


「この辺りに魔穴なんてあるんですか?」

「学院の管理下にある修練場の一つ『シモンの洞窟』は、魔穴なの。近いわけではないけど、学院から転移陣で跳べるからすぐに行ける場所よ。」

「院内クエストといっても内容はギルドの依頼とあまり変わらないんですね。」

「内容的にはね。ただ院内クエストは、受けようと思っても学院内の評判によっては依頼者が拒否することがあるから、ガルの場合現時点だと受けるのは難しいと思うわ。」

「ううっ……僕、落ちこぼれですからね。」


 成績のこともあるが、アルティナと仲が良いことから男子生徒の嫉妬を買ってしまい、怪しい仮面を常に身に着けているため女子生徒からも避けられているガルディウスである。

 まともに話せる相手は学院内には片手で数えられる程度にしかいない。


「まあ紋章術の教師なら、ガルのこと評価してるだろうし拒否はされないでしょ。院内クエストの方が報酬単位は多めだから、単位不足を補うことを目的とするなら効率がいいのよ。」

「う、うん。サザーラ先生なら、僕にも依頼を受けさせてくれるかも。」



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