41
ガルディウスは、学院随一の劣等生として有名だ。
悪目立ちする仮面。そして、学院一の美少女であるアルティナと仲が良いこともあって、その認知度は高い。
真偽のほどはともかく、学院の生徒であれば誰しも、ガルディウスに関する噂の一つや二つは耳にしているだろう。
基本的に他人にあまり関心のないユハスですら、いくつもの噂を耳にしている。
数多くある噂の中に、ガルディウスの魔術の招待を解明するヒントが隠されている可能性もある。
噂の全てが信じられるものではないが、中には事実もあるはずだ。
事実、魔力値が50しかないことや、初級の精霊魔術一発で魔力切れをおこしたことは間違いない。
男子生徒が妬みから口にしたねつ造だろうと思われるような、仮面が呪われているなんて噂も――ユハスは初対面の時にそれが事実であると本人の口から確認している。
たった50の魔力値で、ゴーレムとの戦闘で見せた魔術を使うなど――魔法具でも使わなければ、不可能に近い。
ガルディウスが魔法具を使っているようにはみえなかったが――呪われた仮面もまた、一種の魔法具である。
「呪い……か。その線もあるな。」
魔力的な力を帯び、身につけたものに何らかの影響を与える装備。
使用者にプラスに働く力は『加護』と呼ばれ、『呪い』はその対極――マイナスに働く力であるとされるが……呪いもまた、魔力的な力であることには変わりない。
「要は、呪いだって使い方次第ってわけだ。」
それはユハスの独自の考えというわけでもない。
呪術の一種とされる、代償魔術はその典型だ。
術者に負の効果――呪いのようなもの――があることから好んで使う者は少ないが、自らに及ぶ負の効果と引き換えに、自分の魔力値以上の力を発揮する魔術であり、危機的な手段を乗り切るための最後の手段として多くの魔法使いたちに学ばれている魔術だ。
「あいつの極端に少ない魔力値。それにあれだけ素早く発動する無効化……有り得ない話じゃない。」
一般人でさえ平均的に見て200~300はある魔力値。それが50しかないというのは、異常とすら言える。
しかしそれが――呪いの効果ならば?
魔力を喰らい、魔力を打ち消す――そんな呪いが、あの仮面にあるとすれば。
そしてガルディウスが、その呪いを生かした魔術の使い手ならば――すべてに説明はつく。
これはあくまで一つの仮説。
ユハスが現状から考える一番有力な仮説で、筋は通るが――証拠はない。
「この仮説を検証するには……これだな。」
次のクエストに備え、ユハスは一つの魔法具を取り出した。




