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仮面の紋章使い  作者: 9BO
Chapter3:秘匿されない魔術
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 核が機能しなくなったゴーレムの修理には、かなりの費用が掛かる。

 ゴーレムの核には、魔石と呼ばれる魔力を内包した石が使われており、これが大変高価なためだ。


 魔石には大きく分けて3種類ある。


 魔力が結晶化した『魔晶石』。

 宝石などの魔力を蓄積する性質のある石が長い年月をかけて外遊魔力を蓄積した『魔宝石』。

 そして、魔法使いが人工的に魔力を注ぎ込んだ石である『魔工石』だ。 

 

 ユハスのゴーレムの核となった魔石は、『魔工石』。 

 魔力を込める器となる石である素体の価値にもよるが、魔石の中では一般的に最も安価とされるものだ。

 とはいえ、魔石自体が基本的に高価な代物である。

 ユハスがゴーレムの核にした魔工石の素体は安価なものだが、込められた魔力の量はそれなりに高いため庶民の家なら1つで2・3軒建てられるくらいの価値がつく。

 それが108も――それこそ村を丸々買えてしまうほどの金額ともなれば、学院でも有数の資産家であるユハスとしてもゴーレムを直すというガルディウスの提案には心ひかれる部分もあったが――直されるよりも先にゴーレムがどのように機能停止に追い込まれたのか――理解できない部分が多かった以上、現状の分析は研究家として不可欠だ。

 手間はかかるが購入などせずとも魔石を自作できるユハスにとって、修理費用やその手間以上に、ガルディウスの魔法を解き明かす手がかりは価値がある。



 ガルディウスが防御に使っていた無効化をゴーレムに向けて放出し、その無効化がゴーレムにまで到達。

 その結果、ゴーレムは機能を停止した。


 ――見たままの情報のみを整理すればそういうことだ。


(だがそんなこと……ありえない。)


 魔石の素体は、高い耐魔性を持っている。

 魔力を内に蓄え、基本的に外へはその魔力を放出しない。 

 複数の術式を組み合わせることで魔力の道をつないで、はじめて魔石に秘められた魔力に干渉することができるのだ。

 

(無効化できるとすれば、俺の干渉で外に出た魔力だけ。中の魔力まで無効化できるはずがないんだが……)


 ユハスの干渉で外部に漏れていた魔力を全て無効化したならば、一時的にゴーレムは機能停止するだろう。


 ゴーレムを無効化で機能停止に追い込むなんていう発想はなかったし、それを実践レベルで使用できるということは、感心に値する。

 だがその方法での機能停止は、あくまで一時的であるはずだ。


(また俺が中の魔力に干渉すればゴーレムは動くはずなんだが、完全停止してやがるのは何故だ?) 


 ガルディウスたちを追い返したユハスは、すぐに地に伏すゴーレムを検分する。


 近くで改めて見ても、ゴーレムに目につくような破損はない。

 やはり問題は――核だ。

 


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