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ガルディウスがどういうタイプの魔法使いか、ユハスは知らない。
攻撃魔法を得意とするのか、援護主体の魔法を使うか、そもそも戦闘向きではない魔法の使い手なのか。
「俺が用意したクエストは、全部で3つ。」
「3つも?」
ガルディウスの問いに、ユハスは頷く。
わからない。だからこそ選ばせるのだ。
自らの魔術を活かせる――その特質を見ることができるクエストを。
「おまえは出来そうな物を選べばいいという訳だ。」
どのクエストも初級魔法では達成困難。
入試条件でもある中級魔法を使わなければ、果たせないものを用意してある。
選ばせることで、ある程度系統を絞ることもできる。
「1つ目。これは俺の操るゴーレムとの戦闘だ。ゴーレムを介してのみこちらも攻撃はするが、生命の危険があれば攻撃はやめる。おまえが降参した場合も同様だ。ただし、ゴーレムの機能停止、あるいは行動不能を以てクエスト達成とするため、勝利しなければ報酬は出ない。」
これは、攻撃魔法に特化した魔法使い向きのクエスト。
ゴーレムを動かす核を破壊するか、頑丈な造りのゴーレムの体を行動不能とするまで破壊しなければならないため、威力の高い攻撃魔法が必要だ。
「2つ目。俺の魔法の的になること。威力としては中級程度の魔法だ。必要とあればアルティナを使って二人で受けてもいいが、俺自身への攻撃は禁止。あくまで俺の魔法を防ぐことに専念するクエストだ。俺の魔法全てを無事受け切れば達成となるが――これは守りに自信がないならおすすめしない。ある程度手加減はするが――運が悪ければ死ぬ可能性もあるからな。」
これは援護や守備を得意とする魔法使い向けのクエスト。
身体能力の高いアルティナを攻撃禁止とはいえ参加可能としたのは、他者を援護する魔法を得意とする場合、独力ではその能力を見せない可能性を考えてのことだ。
身体能力の高いアルティナを使えるとなれば、援護に特化した魔法使いであればこのクエストを選ぶであろう。
結界などの守りに特化した魔法使いであれば、中級程度の魔法であれば一人で防いでみせるだろう。
「そして最後。3つ目がこの箱を開けることだ。俺の魔法で何重にもロックがかかっている。オリハルコンを使っているから、力技で壊すのはまず不可能だ。箱の中身を取り出すことができれば、クエスト達成とみなす。」
そう言ってユハスは、箱を目の前の机の上に置く。
一見したところ何の細工もない直径10シーム程度の手のひらサイズのシンプルな金属製の箱。
しかし、この箱にかけられた魔法の封の数は、数十にも及ぶ。
このクエストでは攻撃を受けることは一切ないが、よほど解析系に優れていなければまず達成不可能なクエストだ。
あくまで戦闘以外で力を示す魔法使いであれば――そう思い用意したクエストだが、実のところ1番達成困難なクエストだとユハスは考えている。
「さて、おまえはどれを選ぶ?」
そんなユハスの問いに、ガルディウスはおずおずと口を開く。
「ええと……ど、どれが一番、報酬がいいんでしょう?」
そんなガルディウスの言葉に、ユハスは目を見張る。
「……へえ?どれも中級魔法を使えないと達成できないレベルのクエストだけど、どのクエストでもおまえは達成できると?」
「内容を聞く限りでは………………た、多分。」
最後に自信なさそうに付け足された一言が気にはなるが、弱気に見えるガルディウスの想定外の肯定に、ユハスは愉快そうに口の端を歪めた。
自分の実力を理解していない愚か者でないというのなら――当初ユハスが想定した以上の魔法使いだということだ。
その実力が確かならば、ますます見る価値があるというものだ。
「じゃあ、全部やってみるか?報酬はどれも同じ。1つに対し、サザーラ先生のクエストの倍は出す。」
「そ、そんなにいいんですか!?」
もし全部達成すれば――今期でガルディウスが落とした授業の単位を全て補うことができるほどの報酬に、ガルディウスの目が爛々と輝く。
「ああ。できるものなら、な。」
両者ともに上機嫌で始まったクエストに、アルティナもまた笑みべる。
「ええと、じゃあまずこの箱から……」
そう言ってガルディウスは、ユハスの考える最難関クエストである箱へと手を伸ばした。
1シーム(=1センチメートル)、1メーム(=1メートル)、1キーム(=1キロメートル)です。




