表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仮面の紋章使い  作者: 9BO
Side story1(時間軸:Chapter1~Chaper2の間):
25/76

ルームメイトⅠ

 魔法科生徒としてごく標準的な魔力値の持ち主であるハルルクは、魔法科の授業だけでなく武闘科の授業もいくつか受講している。

 標準的な魔力値しか持たない生徒にとっては、よくあることだ。


 そして今日、この時間は武闘科に入学した同じ村の幼馴染二人と一緒に体術の授業に出ているのだが――。

 


「うおぉぉ!やっぱアルティナ先輩は可愛いなぁ!」

 3人の中で一番体格の良いジェイクが野太い声を張り上げて身悶えれば、鼻息も荒く細身だが背の高いヒュージが力強く肯定する。

「ああ。あんな美少女他にいないぜ!」  


 学院一の美少女として名高い武闘科2年のアルティナは、絵本の中から抜け出してきた姫君のような――あるいは、地上に舞い降りた天使のような――そんな表現さえ彼女を飾る言葉としては不足があるほどの、とびきり上等な美少女である。


 盛り上がる幼馴染二人の姿にハルルクは、こっそり溜息を漏らす。


(確かに見た目は非の打ちどころのない美少女……なんだけどさ。)


 ハルルクとしては、二人の幼馴染と同じように彼女へ熱いまなざしを向ける気にはなれない。


 

 アルティナの動きは、伊達に武闘科の2年ではないとはっきりわかるほどに生徒たちの中で群を抜いている。

 見た目は可憐でか弱い美少女にしか見えないのだが、その動きは鋭く、とんでもないほど力強い。


 うっとりと二人の幼馴染が見とれる先で、アルティナの正拳突きが丸太を粉砕した。木端微塵に。


(こ、こわーっ!)


 もし今の一撃を自分が食らったら――そう考えるとぞっとする。

 あれを見て、うっとりできる二人の幼馴染の図太さがある意味うらやましい。

 


 

 あれだけの美少女だ。

 あの一件さえなければ、自分もその恐ろしさに気づかずに、あの見た目に夢見ていることもできたかもしれないが…… 






 アルデルト学院は全寮制である。

 基本的に寮は二人部屋で、同じ学年の生徒と二人で一つの部屋を共有する。

 そしてハルルクの不幸は――仮面の新入生ガルディウスとルームメイトになったことから幕を開けた。


 不気味な仮面の同室者と一緒にやって来たアルティナは、ハルルクを見て笑顔を浮かべた。

「はじめまして。貴方がガルのルームメイトね?」

「は、はいっ。は、ハルルクです!」

 見たこともないようなとびきりの美少女の微笑みに、胸を高鳴らせしどろもどろになるハルルクに、アルティナはささやいた。



「もしガルをいじめたりしたら……地獄を見せてあげる。」



 あくまで表面上は笑顔で――ハルルクにしか聞こえないよう耳元でされた宣言だった。



 

ガルディウスはアルティナと仲が良いので、多くの男子生徒に妬まれていますが、こうして本人の知らぬところで守られてもいたりもするというお話。

ガルディウスを妬むよりも先にアルティナへの恐怖を植え付けられた、ハルルク少年でした。

ちなみにハルルクの魔力値は8200。魔力値だけでなく、対魔獣技能も魔法科1年の生徒として標準的な生徒です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ