小鳥
一羽の小鳥が水たまりつついていた。
大きさはスズメほどであり、頭から尾にかけての背面は濃い灰色だが、正面からみえる腹などは白い毛がふさふさしてる。
小鳥が水を飲んでいた。水を飲み終えると顔をあげた。くちばしから水が滴っていた。あごをつたって流れるしずくがあった。
小鳥は急に飛び立った。地面の小石が二、三転した。
小鳥は悠々と風を切って飛んでいる。波がゆらゆら流れるように飛んでいる。
実際は風を正面に受けており、しかも今は冬だから、風がつついてくるように感じている。胸のあたりに水滴がついていたが、風を受けているうちに毛の先で凍りつつあった。
この凍りつつあった水滴が、鳥の血液の冷えを促した。翼の動きが鈍くなってくる。何回かに一回は羽ばたきがぎこちなく、風を上手くうちつけ進むことができないことがあった。そのちょっとした誤差が飛ぶ方向を変えさせた。小鳥は少し斜めに傾いたのだ。
小鳥はビルの屋上で休むことにした。屋上のベンチにとまると、両翼を広げ、体を伸ばした。胸のあたりが冷たい気がして首をひっこめ、それでも冷たい気がしたから翼を胸にあててこすった。
ビーズほどの冷たく丸い結晶がベンチの下に転がった。