第29話 漆黒の魔女1
「みなさん、見えているでしょうか。ここは東京のど真ん中です。信じられない光景が広がっています。」
フジミテレビのヘリの前を他局のヘリが割り込む。オサワギレイコはパイロットに檄を飛ばす。
「私たちが一番乗りするのよ。もっと前に出て。」「あまり近づくと危険ですよ。」
「きさま、それでもフジミテレビの社員かーーーーー」「分かりましたよ。死んでも知りませんからね。」
フジミテレビのヘリがさらに前に出る。
「みなさん、黒いキューブです。霞が関周辺がキューブに変わっています。人々やビルはどうなったのかーーーーー」
「現場のオサワギさん気を付けてくださいね。予定を変更して生中継をお送りしています。午後1時突然、黒いキューブが出現してパニック状態になっています。」
「新しい情報が入り次第、放送していく予定です。今はキューブ内の人と連絡が取れていない模様です。」
テレビにはLIVEの文字が出ている。番組の方も混乱しているらしく、アナウンサーはあわただしくメモを受け取りながら放送を続けている。
源次郎が日向にテレビを見ながら言う。
「大変じゃのう。」「僕たちにできることはないのですか。」
「警察や自衛隊が動くじゃろ。」「ヒーローとして何かしなくてもいいのですか。」
「いずれ、指令が来るじゃろ。それまでは情報収集じゃ。」「テレビを見ているだけじゃ。現場に行った方が・・・」
そこまで行って日向は黙り込む。師匠は誰よりも経験の長い超人だ。きっと時を待っているのだ。
「新しい情報が入りました。キューブに突入した警察官たちが行方をくらましたそうです。命綱は切れていた模様です。」
「繰り返します。警察官が行方不明になりました。無線は使えない模様です。」
「オサワギさんキューブから距離をとってください。危険です。離れて、離れて。」
「こちらオサワギです。キューブの直近にヘリを近づけています。中は全く見えません。」
「危ない。危ない。離れて。」
その時、突風が吹いてフジミテレビのヘリがキューブに触れる。
「今、ヘリがキューブにぶつかりましたがショックがありません。離れてください。」「吸い込まれる。コントロール不能。」
パイロットの悲痛な声が響く。フジミテレビのヘリは黒いキューブに取り込まれていく。
「オサワギさん。応答してください。オサワギさん・・・」
「只今、わが社のヘリがキューブに吸い込まれました。オサワギレポーターの安否が心配されます。」
超人協会本部では、ハバカル会長以下役員が集まって超人を派遣するか検討していた。




