第四話 最後の国内奥義!? 祥子、謎の民間療法師に弟子入り
春休み直前のある日。
森での荒療治に敗北した祥子は、帰宅後すぐに「花粉症克服ブログ」を夜通しで漁った。
その結果――
彼女は、国内最後の希望を見つけてしまったのだ。
「……その名も、『気功花粉除け道場』……!」
聞きつけた紗季は、当然、またしても止めに入る。
「やめときなよ! もう薬でいいじゃん! 正常な方法で! 病院行こ?」
「ダメだ……私には、民間療法という夢が残されている……!」
祥子の目は充血しつつもギラギラしていた。
週末、祥子と紗季は某県の山間部に降り立った。
そこにはプレハブ小屋に大きく掲げられた看板があった。
『気功で吹き飛ばせ! 花粉症』
師範代・花田仙人 直伝
「……怪しい以外の何物でもない……」
「怪しいけど……ここが最後の希望なんだってば……!」
小屋の中に入ると、仙人と呼ばれる白い作務衣のおじいさんが、薄暗い座敷で座禅を組んでいた。
「おお……君か、噂の重度花粉少女は……」
「噂!? 私そんなに有名!?」
「SNSで変なことしてる子としてな……。まぁよい。ここで“花粉気功”を学べば、花粉など恐るるに足らん……」
そう言うと、仙人は両手を祥子の鼻の前でヒラヒラさせ始めた。
「……何これ……」
紗季はドン引きだったが、祥子は真剣そのものだ。
仙人の指導は、内容がシュールすぎた。
花粉を気で跳ね返すイメージをする
体の中の花粉を気で追い出す妄想をする
花粉に感謝して仲良くなるマントラを唱える
「……花粉様……ありがとう……出ていけ……」
祥子は泣きそうな顔で座禅を組み、花粉に感謝し続けた。
「祥子、もう帰ろ……。見てて恥ずかしい……」
「だめ……ここで諦めたら……私の春が終わらない……!」
二時間後――
「……どうだ、感じるか? 鼻が通っただろう?」
仙人のドヤ顔を前に、祥子は鼻をかんだ。
「……さっきより詰まってます……」
帰りの電車の中。
「結論:花粉を気で吹き飛ばすのは無理。」
「……紗季……」
「ん?」
「……やっぱ病院で薬もらお……」
「最初からそうしなさいよ!!」




