穴埋めで小説を書かせる
次に、既存の小説を穴埋めさせる方法を教えます。この手法の最大の利点は、既に確立された物語の骨格を活用できることにあります。既存の文を使うので、もとの文とは乖離が少ないです。この方法は、原文の世界観や雰囲気を維持しつつ、物語に新たな息吹を吹き込めます。これにより、原文との連続性が保たれ、違和感を覚えることなく、物語に深みや広がりを持たせることが可能となります。
具体的な実施方法としては、小説の既存のテキストの中に、新たな描写や対話を挿入したい箇所を特定し、そこに特殊な指示文を挿入していきます。
まずは冒頭に「この小説を穴埋めして。指定された箇所に新たな文を書いて。詳細かつ具体的に語彙力豊かな書いて。」のようなプロットを書き、次に小説の新たな文を挿入したい箇所に「(新たな描写を書いて)」や「(新たな台詞を書いて)」といった簡潔な命令文を使用します。これらの指示文は、AIモデルに対して、その場所に適切な新しいコンテンツを生成するよう命じる役割を果たします。
さらに、より精緻な制御を行いたい場合は、「(これこれこういう描写を書いて)」というように、具体的な内容や方向性を指定することも可能です。例えば、「(主人公の内面の葛藤を表す心理描写を書いて)」や「(雨上がりの街の情景を五感を使って描写して)」といった具合に、AIモデルに対してより詳細な指示を与えることができます。これにより、生成される内容をより精密にコントロールし、物語全体の調和を保つことが可能となるのです。
たとえば、「彼は黙って立ち去った。」という簡素な文章があったとしましょう。ここに「(彼の表情や動作を詳細に描写して)」という指示を加えることで、以下のように変化する可能性があります:
「彼は唇を噛みしめ、拳を握りしめたまま、重い足取りで立ち去った。」
このように、登場人物の心情や場面の雰囲気が格段に豊かになり、読者の想像力を大きく刺激することができるのです。
この手法の効果は一つの追加命令につき、平均して約30文字程度の新たなテキストが生成されます。これは、一見するとわずかな量に思えるかもしれません。しかし、巧みに配置された30文字の描写や対話が、物語全体に与える影響は計り知れません。それは、絵画における一筆の違いが、作品全体の印象を大きく変えてしまうのと同じです。1000文字ほどの短い小説を3000文字にするには、66個ほどの命令分が必要です。
しかしながら、この手法を用いる際には、フリープランでのAIモデルの使用には文字数制限があることを認識しておく必要があります。多数の追加命令の入った既存の小説のプロンプトに加え、Claudeの出力した小説を合計すると、あっという間に制限に達してしまう可能性が高いのです。これは、長編小説や複雑な物語構造を持つ作品を扱う際に特に顕著な問題となります。
例えば、1000字の小説に60箇所の追加命令を書いて出力させるのを何度も繰り返すと容易に1.5万字を超えてしまう可能性があります。これは、多くのフリープランの制限を大きく上回る量です。
もっとも、Chatgptならこの問題は起こらないはずです。