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マニアックなレオ  作者: レオ
84/115

VOL84 「灼熱のセビーリャ 栄光と死」

2011年6〜7月に3週間スペイン、

ポルトガルひとり旅をした。

スペイン東部のバルセロナから

南部のマラガ、グラナダ、コルドバ、

セビーリャ、そしてポルトガルへ入り

リスボン、ポルト、スペインへ戻り

マドリッドへ。

ヨーロッパは趣のある街の雰囲気が

素晴らしい。

40℃近い中を毎日昼間から

瓶ビールをラッパ飲みながら

とにかくひたすら歩き廻った。

夜は街を移るごとに赤ワインを買って

部屋で飲んだ。

スペインのワインは4ユーロ

のものでも充分オイシイ。


この時の旅のテーマは

バルセロナでサグラダファミリア、

カサ・ミラ、その他ガウディが

手がけたものを観る、

フラメンコをいくつかの街で観る

(3ヶ所行った)、

ポルトガルでファド(現地特有の

音楽)のパフォーマンスを観る、

そして、スペインを巡っている間にも

体験するべきかまだ迷っていたものが

闘牛鑑賞だった。

NYではミュージカル、

ローマではオペラ、

ヴェネツィアでは

教会クラシックコンサート、など

普段特に興味はなくても

その場でないと体験できないものは

試すようにしてきている。

闘牛は、、、。

動物をショーのために殺す

ということにすごく抵抗が

あったけど結局観てみることにした。



セビーリャの有名で立派な闘牛場へ。

見やすいように観覧席はすり鉢型に

なっていて借りた座布団みたいな

クッションを敷いて座る。

現在の入場料は10ユーロと

なっているけど、当時はさらに

安かったような気がする。

観劇などの料金がやたら高い

日本とは違って、

ブロードウェイミュージカルでも

この闘牛でも超一流の

クォリティなのに安い。

(知らないひとが多いけど

ブロードウェイミュージカルは

売れ残っている当日券が半額

+2ドルで購入できるブースがあった)

平日でも観客はけっこう多かった。

アジア人は俺以外にひとりも

見かけないけど地元のひとだけでなく

世界中から観にきているんだろうな。


2頭の馬に乗って槍を持った

ピカドールが円形の場内に登場。

馬の胴体は牛の角から守るための

頑丈なカバーで覆われている。

続いて牛が現れる。

そして艶やかな衣装をまとった

マタドールが姿を現すと

観客席からは一段と大きな拍手が。

興奮しているわけではない牛には

ピカドールが槍で突いて

闘争心を煽る。

気の強い牛は馬に何度も

ぶち当たったりする。


やがて牛は大きな布を広げた

マタドールと静かに向き合い、

突進する。

観衆の「オーレイ!」の歓声とともに

マタドールは優美な動きで

布をひらめかせて牛の攻撃をかわす。

何回か繰り返してからピカドールから

剣を受け取ったマタドールは片手で

布を操りながらすれ違いざまに

牛の首の後ろに剣を突き刺す。

登場してきてからの1つ1つの動作は

しなやかで洗練されている。

また剣を受け取る。

2本、3本と刺されたままの牛は

だんだん動きが鈍くなっていく。

とどめに馬に乗ったピカドールが

槍を1本、2本と突き刺すと

ついに牛は地面に倒れ込む。

するとピカドールが死んだ牛に

長いロープを取り付けて2頭の馬で

場内を一周引きずって走り廻る。

土の上には牛の血の跡が続いてゆく。

この15分くらい?のショーが

4回行われた。

マタドールもそれぞれ別のひとが、

若い女のひとも登場する。

華やかであり、迫力もあるけど、

2頭目からは観るのがちょっと

つらい気持ちにもなった。


マタドールの衣装、姿勢、動きは

美しく、自分に向けて突進してくる

鋭い角を持つ牛と対峙する

勇気はスゴい。

相手は動物で当然予想外の

動きをすることもある。

時折ピカドールからの助けも虚しく

マタドールが大勢の観衆が見守る中で

大怪我、もしくは死亡することが

起きてしまうのだ。

ファンからすればなんという

ショッキングなことだろう。

だがスペインの多くのひと達は

この闘牛を国民の誇りと感じて

熱狂する。

う〜〜〜ん、俺は実際にこの残酷で

危険なショーを観て以前よりもさらに

複雑な気持ちになってしまった。


ショーのためにわざわざ生き物を

殺して、なぜか最後には馬で

場内を引き廻す。

マタドールもまた正に命をかけて

牛に向き合う。

今日は脇腹にちょっとだけ

牛の角がかすっただけで済んだ。

でも来週は無事だろうか、、、?

マタドールは尊敬される

国の英雄である。

若い頃からガイジンの知り合いは

けっこう多いけどスペイン人は

ひとりもいない。

闘牛、マタドールの栄光について

どういう気持ちを持っているのか

ぜひ訊いてみたいものである。


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