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マニアックなレオ  作者: レオ
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VOL8 「身近な芸能人との夏」

38歳くらいの時、スイミングスクールの

コーチ時代の2歳後輩ですごく

慕ってくれてる、というか

完全に俺をナメきっているとも言える

エーキが突然ウチに遊びに来た。

電話(固定)を貸してください、と言う。

俺がぼんやりテレビを観ている横で

20分くらいどうでもよさそうな

ことを話している。

すると

「ところでな、リサ。」

と聞こえた。

「リサ? リサっておまえ、、、

東京かあ!」


元アイドル、女優の立花理佐。

彼女は小学〜中学の時に彼女の両親と

ともに水泳を習いに来ていた。

彼女の兄は俺らと一緒にコーチを

していた。

リサは芸能活動を一時休止して

東京から大阪に戻って来た時には

しばらくコーチもしていた。

その時に彼女はエーキと特に

仲良くなったのだった。 

週2回通うウチのオカンも

リサの指導を受けて喜んでいた。

フライデーか何かの週刊誌には

プールでのリサの写真が掲載された。


「わ、わざわざセンパイの家まで来て

長距離のどうでもいい長電話

しやがってえ!!」

「あはははっ。 まあまあ。

リサ、レオさんと替わるわ。」

「レオさんと替わるわ、って、、、

これは俺の電話じゃあ!」

このエーキとはバイク仲間でもあり、

アメリカンバーを経営していた時には

バイトに来てもらったり、

いろいろ付き合いが深いんだけど、

ホンマにフザケたヤツなのである。

板東英二と笑福亭鶴瓶が司会の

クイズ番組のスタジオ収録に招待

してもらって楽屋で会って以来

久々にリサと話をした。



エーキは大阪の南部の泉南市の

海水浴場から徒歩数分のところの

一戸建てに引っ越した。

ある夏の日、誘われてエーキ宅の

庭でBBQをすることになった。

リビングに入ると女の後輩とリサがいた。

「あ! レオさん、久しぶりですう!」

リサは30歳近くになっても

相変わらず無邪気で短パン姿で

なぜかでんぐり返りをして笑った。

いたってフレンドリーだけど、

父親譲りの黒くキリッとした眉毛と

パッチリした瞳を見るとやっぱり

別世界、芸能界のひとなんだな、

と感じる。


皆で海水浴場に行く。

リサは何年か前に一緒に遊園地に

行った時は濃い茶色のサングラスを

していたけど、最近はテレビにほとんど

出なくなっているからか素顔のままだ。

リサと浜辺で並んで座って

初めていろいろ話した。

芸能人としての生活は華やかでも

タイヘンな部分もあったようだった。


夕方近くにエーキ宅に戻り、風呂に入る。

海で冷えた体が温まる。

考えてみると、リサの次に湯船に

浸かっているわけだけど、

彼女に憧れるファンにとっては

信じられないような特別な経験に

思えるのかなあ。

コーチは指導を終えたあと

水着のまま男女一緒に狭い湯船に

くっついて入ったりもする。

競泳用水着は生地が薄くて、

体のシルエットだけでなく、

ひとによっては乳首も透けて

見えたりするけど、

みんな職場のこの環境に慣れていて

ハダカに対する抵抗がかなり少ない。



庭でBBQを始めると後輩の岡田と

そのカノジョもやってきた。

「ええーっ!!

立花理佐さんですかあ!!」

カノジョは初めてリサと会って

すごくコーフンしていた。

しばらくするとリサが

「レオさん、お兄ちゃんと

話してあげてもらえませんか?

仕事のことで最近すごく

悩んでるみたいなんです。」

うーん、俺が役に立てるんやろか?

リサからケータイを受け取って久々に

5分ほど話してさり気なく励ますと彼の

声はずいぶん明るくなってホッとした。

みんなそれぞれいろいろあるんやな。

リサはすごく喜んでくれた。

「これ、プライベートの名刺です。

東京に来た時にでも電話ください。」

ケータイの番号と、可愛らしい

生ビールのイラストが描かれていた。


「さあ、もう焼けてきましたよお!」

おでこに白いタオルを巻いて

張り切っているエーキが皆の皿に

肉や野菜を取り分けてくれる。

オレンジ色に染まる夕暮れが近づくと

街中とは違う涼しい風が心地良い。

エーキがランタンの明かりを灯す。

ああ、夏なんだな。


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