VOL7 「仮想現実への恐怖 その2」
ー前回からの続きー
映画「リング」を観たひとは
すごく多いと思う。
恐ろしい呪いの連鎖、そしてラスト近くの
あの予想外のシーンにはまいったよねえ。
小説は読みましたか?
映画より綿密に複雑にシリーズ化
されている。
「リング」だけでも完成された
すごい作品なのに、なんとそれは
単なる恐怖の始まりだったのだ。
「リング」の都市伝説の不気味さ、続編
「らせん」の謎解明への科学的な
アプローチの描写までですでに作者の
鈴木光司は物凄い才能を見せつけていた。
そして「ループ」ではもはや続編とは
言えないような驚愕の仮想現実の話
へと発展させる。
これは映画化されていない。
その世界観を映像では表現しなくて
正解だったかもしれない。
彼のアタマは一体どこまで
ブッ飛んでいるのだ!!
「自分の周りに拡がるこの世界は
本物なのか?」
「俺の心は一体どこから
来たものなのか?」
小学生の時にドラえもんの「地球セット」
を読んで初めて感じた仮想現実への
淡い疑惑はより一層深くなったのだった。
映画「13F」は無名の俳優が出演している
せいか全く話題にならなかったのが
残念だけど、仮想現実がテーマの
スリリングな話。
そして「13F」と同年1999年に製作
された「マトリックス」。
スタイリッシュなコスチューム、
画期的な戦闘シーン、美しい映像などで
SFアクション映画のように扱われている。
でも、、、
俺にとってはこれはホラーなのだ。
「13F」のように科学者が製作した
仮想現実へと侵入するのとは違い、
「マトリックス」では人間は実際は
繭のような装置の中でまるで眠るように
過ごしているのに、完璧に創り上げられた
空間を現実と信じたまま事実を
知ることなくそこで一生を送る。
ええーっ!!
こういう「可能性」もあるのか、、、。
仮想現実というものをただのオハナシ
としか考えていないあなたはマンガ、
小説、映画で動揺する俺を
「イカレてるんとちゃうの?」
と思うでしょう。
俺だって考え過ぎだと思いたい。
でも、考えてみてほしい。
夢を見ている時、自分にとっては
その世界が現実だと感じている
のではないですか?
完璧な仮想現実の中で生きていて
「ここは創られた空間だ。」
なんて認知できるはずがない。
仮想現実に存在する者にとっては
その世界こそが「現実」なのです。
自分自身の存在や感覚、記憶、
そして周りの人々、全ての風景は
「誰か」によってもたらされたもの
なのかもしれない。
その疑惑と恐怖を押さえつける
唯一の方法はこの世界が現実の空間だ
と信じることだけだ。