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マニアックなレオ  作者: レオ
65/115

VOL65 「スケート、そしてインラインホッケー」

今では若いひとはもうすることが

ないのかなあ、と感じるけど、

小学5年からアイススケートを

よくしていた。

スキーと同じく滑って進んでいく

感覚が楽しい。

バイク仲間がみんなスキーや

スノーボードを好むのは基本的な

感覚に近いものがあるからかも?

アイスリンクのコーナーでは足を

内側へ内側へとクロスさせて曲がり、

止まる時はスキーのようにシューズを

横向きにしてジャッ!と一瞬で停止。

後ろ向きでも前向きと同じくらい

スピードを出して足をクロスして

曲がって何周でも滑れるように

なったけど、フィギュアスケート

のようにクルクル回るスピンは

やり方がよくわからないままだった。

コケるとジーンズが濡れて、

休憩する時に大型ストーブの前で

乾かすと暖かい。

白い湯気がもうもうと立ち上がるのが

なんか楽しかった。


高校の時にはローラーディスコ

というものが流行。

キラキラした照明とディスコサウンド

をノリノリで楽しみながら

木製のリンクを四輪の

ローラースケートで滑るもの。



27歳で初のアメリカひとり旅へ。

ロスアンゼルスのダウンタウンの

靴屋でローラースケートと違って

ホイールが縦一列に並ぶ

インラインスケートを見つけて

驚いて購入。

1990年当時日本にはまだなかった。

この旅行で強烈なカルチャーショック

を受けて帰国後いきなり

アメリカンバーを開業。

店に飲みに来て仲良くなった

イギリス人ドミニク、カナダ人クリスと

この2、3年後から長居公園で

インラインスケートを履いて

ホッケーをするようになる。

今までのようにリンクをただグルグル

周回するのとは違う。

サッカーやバスケットボールのように

相手と向き合って急激に曲がったり、

止まったりしながらスティックで

パックやプラスティックのボールを

ホールドしたまま滑っていって

パスしたりゴールキーパーを避けて

シュートする、というのは

めちゃくちゃ難しいものだった。

アイスホッケーが大人気のカナダで

よく滑っていたのかクリスは

走るように激しいスケーティングから

シュートまでを軽快にこなし、

それまでスケートをしたことが

なかったドミニクは短期間で

俺より上手く滑るようになった。

二人はインラインホッケーのチームに

入って西日本の大会にも何回か出場。

器用で才能豊かなドミニクには

インラインホッケーだけでなく、

バイクのレース、楽器演奏、空手でも

まったくかなわない。


長居公園のスタジアム前の広い

スペースで3人でパス練習などをする。

新しく買ってきたスケートのかかとに

付いているストッパーはやたらと

飛び出していて大きい。

ドミニクが「それは引っかかって

ジャマになるから外した方が

いいんとちがうか?」と言うけど、

メンドーだからそのまま滑る。

後ろ向きに滑った時にストッパーが

接地して急ブレーキがかかり、

一瞬で背中から倒れてしまった。

この勢いで後頭部をコンクリートの

地面に打ちつけたらヤバいーっ!!!

必死に全身の筋力を使って

なあーんとか助かった。

駆けつけてきたドミニクはすぐ

ウエストバッグから工具を取り出して

硬直した表情のまま俺のスケートから

ストッパーを外し始めた。

「I told you、、、I told you、、、。」

彼は3つ年下だけどまるで俺の

お兄ちゃんみたいでいつも正しい。


俺が打ったパックが横へそれて

向こうの方へ行ってしまった。

「ボクが取ってくるよ。」

ドミニクが長いスティックを両手で

体の前で横向きにした状態で左右に

大きく振りながら豪快に猛ダッシュ。

身長187センチでスケートを履いて

さらにデカくなっている当時

ソフトモヒカンのドミニクが爆走

してゆく先にはポカポカ陽気の下で

談笑しながらのんびり歩く二人の

女子高生?の姿が。

「きゃあああーーーっ!!!」

悲鳴が響き渡る。

巨大で凶暴な死神がカマを

振りかざして襲いかかってきた

ようにでも見えたのだろうか。

ドミニクは立ちすくむ彼女らの

すぐ横にあるパックをスティックで

ヒョイッとすくい上げると

こっちへ向かってまた滑り始めた。

俺とクリスは大笑いする。

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