VOL61 「ワインとともに」
前回はワインについて書いた。
今回は重要なアテとなるチーズ中心の
オハナシ。
昔バーを経営していたといっても
ウンチクを語るグルメではない。
チーズについて詳しくはないけど
いくつか大好きなものがある。
もちろんひとの好みそれぞれだけど
プロセスチーズならオランダ産の
「ゴーダチーズ」なんか塩気が
バッチリでグーだ。
子どもの頃に食べていた日本産の
なんだかちょっとプラスティック
っぽい印象で特に美味しいとは
感じていなかったプロセスチーズ。
20代の時に初めてこの
ゴーダチーズを食べてみてチーズに
対する感覚が一変したのだった。
アメリカンバーを開業して、
チーズを出すことにした時には
迷わずこれを選んだ。
そのまま食べても美味しいけど、
クラッカーと一緒に食べると
サイコーだ。
お客さんにも評判がよかった。
これも好みだけど、クラッカーは
どちらかというと甘い味が
ついているものよりプレーンな方が
チーズ自体の味を感じられるのかも。
続いて、30代の時に衝撃を受けたのは
イタリア産の
「パルメジャーノレッジャーノ」。
今では日本でも有名でスーパー
などで目にすることが多い。
1年半〜3年、長いもので5年以上
熟成させる超硬質チーズ。
開封するだけで、
甘いミルクの香りがフワッと漂う。
超薄〜くスライスして、
ほんの少しずつ濃厚な味を
ゆっくり赤ワインと一緒に楽しむ。
アミノ酸のジャリジャリした結晶の
独特の感覚がたまらない。
まあまあ高いけど、よく似たタイプで
熟成期間、生産地域などの差で
30%ほど安い「グラナパダーノ」
というものもある。
あまり見かけないけど。
続いてバターのように塗るタイプの
クリームチーズ。
デンマークのドッフォ社のもの。
もはやチーズが好きではないひとでも
ビックリするんじゃないかと思える
クラッカーさえあればいくらでも
食べてしまう反則的な美味しさ。
これはワインがなくても
ハマってしまう。
パイン味、オレンジ味など
いろんなバリエーションがある。
ところがもうずいぶん永らく
買ったことがなくて、今ネットで
調べてみたらこの会社がもう
なくなったようで、アーラという
会社が同じものを販売してるような?
そして赤ワインのお供に最も
勧めたいのはやっぱりブルーチーズ。
カビが生えてるなんて不衛生だ、
みたいな印象を持つひともいるかも
だけど、いやいやいやこのカビは
モンダイないのです。
濃厚な香りとまったりと舌に絡みつく
味に慣れるともうやめられない。
世界三大ブルーチーズと呼ばれる
イタリア産の割と高くない
「ゴルゴンゾーラ」と、
フランス産最古で最も満足感を
味わえるけどかなり高い
「ロックフォール」。
ロックフォールや
パルメジャーノレッジャーノは
少ない量でじっくり満足感を
得られるから値段が高くても
すごく価値があると思う。
俺はフグにまったく興味ないけど、
そういう薄く切られたゴチソーを
何枚も一度にガバッと食べてしまう
繊細な感覚が足りないタイプの
ひとには向かないのかもしれない。
チーズの他に赤ワインにピッタリ
なのは生ハム、パンチェッタ。
そして、これは日本の食文化に
浸透していなくて、まあなかなか
イタリアンやフレンチのレストランの
メニューで見かけないけどバツグンに
美味しいのが「レバーパテ」だ!
友達のイギリス人ドミニクは料理の
センスがいいんやけど、
このレバーパテも自分でつくる。
一番驚かされたのはなんといろーんな
種類のクラフトビールまでつくる。
しかも店で売られてる人気商品よりも
ウマイのだ!
まあ、これはまた別の機会に
書きましょうか。
レバーパテは詳しくは知らないけど
鶏のレバー、バター、ニンニク、
赤ワイン、コショーなどを煮て、
ミキサーにかけて、
冷めたら冷蔵庫に入れる、
という簡単な方法で
しかも安くつくれるけど、
チョー値打ちものだ。
ネットで調べたりして自宅で
試してみてねー。
ドミニクも俺も辛いモン中毒だから
一味もかなり入れる。
スパイシーバージョンはヤミツキだ。
出来たての温かいものより、いったん
冷蔵庫で冷やされて固くなったものの
方がグッと味が濃く、深くなる。
10数年前までは週末にドミニクの家で
しょっちゅう家族と一緒になって
夕飯を食べて、その後ゲームを
やったりしながらゆっくりと
ビールやワインを飲んでいた。
たまに帰りにおみやげにレバーパテを
もらうとうれしくて、家で毎晩
フランスパンやクラッカーに付けて
何日も赤ワインと一緒に楽しんだ。
今まで習慣的にビール、チューハイ、
カシスソーダとかばかり飲んで、
あまりワインを積極的に試すことの
なかったアナタ。
この冬、俺に言わせればもはやただの
飲み物なんて言えないんじゃないかと
思える深い味わいと香りのワインと、
素晴らしいチーズなどとともに
感性を拡げてみませんか?
「Cheers!」