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マニアックなレオ  作者: レオ
57/115

VOL57 「4時間耐久ミニバイクレース」

高2で初めて買ったバイクは

中古のスズキRG50。

同級生7、8人で奈良や和歌山へ

ツーリングに行くのが楽しくて

たまらなかった。

その後ほとんどの友達はバイクより

クルマへと興味が移っていったけど、

俺はクルマには興味がなくて

必要以外あまり乗らずにいた。

バイクは400、750、1100cc、

と排気量が大きくなるごとに

パワー、外観、オトの迫力が

格段にレベルアップしていった。

現在まで45年乗り続けて16台目。


38歳?の時にミニバイクレースに

出てみないかと誘われた。

ええ? 今さらミニバイク?

50cc?

最高速度300キロ近いスズキ

TL1000Sで岡山国際サーキットを

時々走るようになっていた俺は

自転車より小さいオモチャみたいな

バイクをちょっとバカにしてしまう。

でも岡山までバイク仲間のドミニクと

2台のバイクを積んだ車で夜中から

何時間もかけて行くことを思うと、

すぐ近くにあるコースで、

高くないエントリー代で、

マシンも使わせてもらえるのなら

気軽に楽しめるかと思って参加した。



堺カートランドに行くと、

30歳くらい中心という出場者が

車からマシンを降ろして

パドックで整備をしている。

ん? これって、、、。

思っていたより意外と本格的だ。

使っている工具、備品、ツナギ

とかを見ると、スズカや岡山

といった国際サーキットでも

走っているひとがけっこういるかも。

全体の8割ほどはホンダNSR50で

小さいながら改造されたレーサー。

多分最高速度は90キロくらいで、

ある程度のエンジン回転をキープ

できればそこそこ走れる。


いくつかのチームが

ウォーミングアップを始めた。

50ccと言えど2ストロークエンジンの

パイーン!という独特の甲高い

排気音、そして焼けたオイルの匂いに

闘争心をかき立てられる。

やっぱりサーキットって

ワクワクできる空間なんやなあ。

それにしてもわかってはいたけど

とにかく車体が、ち、小さいっ!

まるで子ども用だ。

革ツナギを着て、ゴツい革ブーツを

履くと膝や足首がすごく窮屈。

マジか?

こんなんでシフトチェンジ(左足)の

レバー操作ができるのか?


7月の晴天。

コース上はさらに温度が上がり、

全身フル装備では殺人的に暑いっ!

一周40秒前後、2人、または3人で

交代して4時間走り続ける。

炎天下の中、まさに耐久レースだ。

出場は17組ほど。

最高齢が40歳で俺はその次。

初体験の俺にはとにかくまず

体力、持久力が大事だろう。


マシンがグリッドに並んで

エンジンを吹かす。

スタート!

1000ccよりずっと車体が低くて

コーナーを曲がる時には簡単に

膝を路面に擦る。

もちろん膝にはプラスティックの

パッドを装備。

様子を見ながら走る俺を

あっさり抜いていくライダーは

フォームがしっかりしている。

おおー、これは遊びというほど

気軽なものじゃないぞ!

みんな速いやないかっ。

最初の2周くらいで数台が転倒。

コーフンしすぎやで。

ヘルメットの中で深呼吸。

ふうーっ、落ち着け。


それにしても30分が長い!

次々と続くコーナーでブレーキを

かけて、右に左にシートから腰を

完全にずらして車体を倒し込む動きは

めちゃくちゃハードだ。

ようやくサインボードで

ピットインの指示が。

真ん中より少し後ろの順位で

パートナーのシモちゃんに交代。

ぶはあーーっ。

暑すぎるう!!!

体温は40度くらいに上がってる

かもしれない。

ツナギを脱いで日陰に干す。

Tシャツ、短パン、サンダル姿で

観戦。

あと3回ツナギを着て走るのかあ。

シモちゃんが転倒。

クラッチレバーが折れる。

あちゃー。

パドックまでマシンを押して戻り、

急いで新しいレバーに交換する。

他のチームも修理したり、

走行不能になってリタイアしたり。

長丁場のレースの空気を肌で感じる。


再び着換えてコースイン。

ちょっと雰囲気に慣れてきて、

冷静に前を走るライダーの走りを

観察する。

コースのどのあたりでコーナーの

イン側に付くのか。

どのコーナーでなら

抜きやすいのか。

ここでの走り方を学習するんや。

俺は峠を走ったら速いように

言われてるけど、こうしてレースに

参加してみると俺なんかより

速いひとがいくらでもいるんやな。

ラップタイムをある程度縮めれて

順位を少しずつ上げる。


シモちゃんに交代して8位くらいで

フィニッシュ。

たかが50ccと思いきや

ものすごい集中力、耐久力を

求められて乗り切ったレース。

接触、転倒、ケガ、リタイア。

激しすぎるオトナの遊び。

10歳年下にも体力的には

まったく負けていないと感じれて

嬉しかったけど、

コーナリングの基本はマシンの

大きさに関係なくセンスと

経験なんやな、と思い知らされた。


この後4、5年たぶん俺が最高齢で

関西の他のいくつかのサーキットでも

10数回耐久レースに出場した。

順位はたいてい真ん中より少し前。


マシンさえ用意してもらえるのなら

今でもまた参加してみたいな。

「真剣に遊ぶ」って楽しい!

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