VOL43 「Xファイル」
なぜかはわからないけど子どもの
頃からフシギ、ナゾ、といったものに
惹き込まれていた。
子どもには怖すぎる楳図かずお、
つのだじろうのマンガで幽霊や
なんだかよくわからない恐ろしい存在
がこの世界の闇の中に潜んでいるのだ
と信じるようになった。
ユリゲラーをテレビで見て超能力
というまたもなんだかよくわからない
チカラに出会ってコーフンした。
ネッシー、雪男、いろんなアヤシイ
ものが気になるようになった。
なんでも知っているオトナでさえも
よくわからないものがまだいろいろと
あるんやろか?
高1のある日。
仲良しの1人が登校して来るなり、
とんでもないことを発表したのだ。
「おい! みんな聞いてくれよ!
俺、昨日な、UFO見てん!!!」
えええーーーっ!!!
JR阪和線の鳳の駅で電車が
停まっている時に、オレンジ色の
ライトがいくつかついたでっかい
銀色の円盤がクルクル回りながら
わずか数十m前の上空に浮かんでいる
のをはっきり見た、というのだ。
ふと周りを見廻しても自分以外に
それに気付いている乗客はいない
ようで、発車してからもひとり
ずっと見続けていたそうだ。
遠くの方に何かが飛んでたのが
小さく見えた、とかのあやふやな
レベルではないあまりにリアルな
体験談に俺はものすごい衝撃を
受けたけど、周りのみんなはなぜか
あまり信じていなかった。
ニヤニヤしてるヤツを
腹立たしく感じた。
なんでなん?
正直なコイツがこんなに一生懸命に
報告しててウソのはずないやんか。
気の毒に、彼はそれからその話を
ひとにするのを避けるように
なってしまった。
オトナになってから空飛ぶ円盤では
ないけど、VOL15「ナゾの飛行物体」
で書いたように何回か正体不明な
モノや、幽霊のようなモノを
ハッキリ見た経験がある。
実際に経験のないひとは、そんなもの
存在するわけない、バカバカしい、
とバカにするか、このひとちょっと
アタマがおかしいのかな、
と思うかもしれない。
でも「月や他の星に水なんか存在
するはずがない!」といわれていた
「この世界の絶対的な常識」さえ
すでに覆されている。
「人間はこの世でダントツで賢い!」
もすごくオソロシイことではあるけど
かなり近い将来に驚くほどのペースで
学習、進化したAIにその事実を
書き換えられることになるだろう。
人間はアタマを柔らかくして
「自分が今までに見たもの、
知っているもの」だけが全てでは
ないし、必ず正しいとも限らない、
と可能性を受け入れる姿勢が
必要ではないかと思うんやけどなあ。
超常現象に起因する怪事件を捜査する
ドラマシリーズ「Xファイル」を
知った時はすぐにピピッと反応した。
期待しすぎてガッカリしないことを
祈って試しに観てみると、想像以上に
素晴らしいクォリティで、次々と
レンタルビデオを借りていった。
日本でも昔から時々フシギなことを
取り扱った番組はあったけど、
そんなに長いシリーズにならないし、
あまり観る機会もなかったから、
この重厚な作り、スリリングな展開、
魅力的でアヤシすぎる登場
キャラクターの面々、
そしてシリーズが長ーく続いていく
ことがすごく嬉しかった。
シリーズ全編に繋がるストーリーの
本筋は主人公のFBI捜査官モルダーが
子どもの時にUFOに連れ去られた妹を
取り戻そうとすることだけど、
個人的にはこのテーマのエピソードは
あまり面白く感じない。
それよりも短編というか45分ほどで
1話にまとめられた様々なタイプの
怪奇事件はハズレが少なくて
見応えがある。
なぜ「Xファイル」がアメリカで長く
人気を保つヒット作品になったのか?
昔は違うかもしれないけど、日本人
には他の国と比べると宗教を重んじる
ひとがずいぶん少ないように思う。
俺は仏壇がある家に住んでいるのに
子どもの頃から宗教が好きでは
なかった。
イタリアなどには街のあちこちに
教会があって礼拝が行われる。
アメリカにも神の存在を信じるひとは
かなり多い。
実際に見えるわけではない存在を
信じる、つまり幽霊、悪魔、怪物、
超能力、呪術、UFOなどの存在をも
宗教心の薄い多くの日本人より遥かに
抵抗少なく考えることができる
のではないか?
アタマが固く発展性のない
頑固ジジイにはなりたくない。
ミュージシャンとして以外にも
芸術をより深く堪能できる感性を
磨いていきたい。
「Xファイル」シリーズは2、3回
通して観たけど、もう10年くらい?
経ってる気がするし、
また楽しんでみようかな。
レオがまたわけわからんヘンなことを
書いてるわ〜、
と嫌われないことを祈ります。