表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マニアックなレオ  作者: レオ
4/108

VOL4 「ハロウィンクレイジーパーティー」

ハロウィンで仮装したりしますか?

ハロウィンとは元々はキリスト教の

祭りで死者の魂が家族のもとへ

還ってくる、と言われている

日本でいう盆のような行事だ。

でも欧米の多くのワカモノにとっちゃ

そんなカタイことはどうでもよく、

とにかく大勢で仮装して騒ぐ機会が

ほしいだけなんじゃないかな。

ほとんどのひとは知らないやろけど、

まだ日本で今のようにコスプレ文化が

定着する前、大阪では毎年この時期

タイヘンな騒ぎが

起こっていたのであった。



1980年代後半、大阪では

長居公園付近を中心に急激に

ガイジンが移住してきていた。

なんで梅田やミナミじゃなく長居に?

たぶん彼らが基本的に広い公園が

好きだから、それと長居公園内に

バックパッカーに人気の格安宿泊施設

であるユースホステルがあって、

日本を気に入った彼らが自分の国から

友達をどんどん誘っていった、

からじゃないかと言われていた。


1988年、長居公園のすぐ横にある

屋内プールでのスイミングコーチの

後輩が誘いをかけてくれて出かけた。

好奇心旺盛な彼は指導している

オーストラリア人ペアとカタコトの

英会話で仲良くなり、ビリヤードを

しに行くことになったのだった。

ガイジンは日本人より遥かに

ビリヤードに馴染んでいる。

欧米の広いバーにはよくビリヤードの

台が置いてあって客は飲みながら

無料、又は1ドル程度でプレイする。

俺は学業全体は中の上くらいで

平凡だったけど、中学の時から

英語にだけは興味があって

成績がよかった。

塾の先生が本格的な発音や

アクセントまで教えてくれていた。

ビリヤードをしながら、初めて英語を

使って話してみると予想以上に

コミュニケーションが取れて、英語が

上手だと言われてワクワクした。

初めてガイジンの友達ができた

瞬間だった。


ビリヤードのあと、よく行くバーが

近くにあるから行こう、

と連れていってもらった。

こんなところにバーなんてあるのか?

というなんとも怪しげな古びた鉄の

階段を3階まで昇っていって

ドアを開けると、、、。

なんてことだっ。

50席くらいの店に平日だというのに

100人ほども客がいて、

その8割がガイジンだったのだ!

一体この店はなんなんだ?

なんでこんな繁華街じゃないフツーの

住宅地にこんなに大勢の

ガイジンがいるんだ???

居酒屋とは違って、みんな立って

ビールを飲んで話している。

毎週木曜はここにガイジンが

集まるという。

オーストラリア人ペアは慣れた様子で

何人かの友達に声をかけると、

俺と後輩を紹介してくれた。

見たこともない異様でシゲキ的な

生の国際交流の場にコーフンした。

俺はハマってしまってひとりで毎週

木曜にそのバーへ通うようになる。

行くたびに友達がまたその友達を紹介

してくれて、これまでの自分の世界、

感覚が大きく変わっていくのを

感じていた。


1990年春、初めての海外旅行で

アメリカを1ヶ月近くひとりで周った。

帰国後カルチャーショックからすぐに

アメリカンバーを経験ゼロから

準備して夏に新装開業した。

友達のアイルランド人がイギリス人の

ドミニクを店に連れてきた。

バイクの話ですぐに仲良くなった。


長居のバーのハロウィンパーティーに

行くと様々な仮装をしたガイジンが

飲みまくり、普段以上にクレイジーな

大騒ぎでそこにドミニクもいた。

毎年近所の住人からの騒音苦情で

警察が来る。

バーの外に出された30人ほどで

まだ騒いでいると、ドミニクがそこに

停めてある警察の125ccバイクを

見つけて、悪ガキの表情で

横の路地へ運んで行って隠した。

店の外に出てきた若い警官は

バイクがないことに気付いて

真っ青になって慌てた。

ニヤニヤ笑いの酔っ払い

コスプレガイジン集団が見守る中で

すぐに隠されたバイクを見つけると

心底ホッとして

「もお〜〜〜〜っ! 

アカンやんかあ。

こんなもの隠したらあ〜〜っ!」

とボヤいた。

心配させてちょっと気の毒では

あったけど、まあ、、、ねっ、

可愛いイタズラですよ。

クレイジーガイジン集団は

大ウケしていた。

ドミニクはとにかくガイジンの中でも

すごく有名で、人気者だった。

その時はまさか自分がこのいちばん

目立つガイジンと親友になり、

将来ロックバンドREVolutionを作って

ライヴ活動を続けていくことになる

なんて思いもしなかった。



日本のアニメが世界にどんどん広まり

コスプレ文化が定着してきて、

ハロウィンパーティーもどこでも

開かれる現在とは違って、

当時はガイジンが集まる場所以外では

誰も仮装はしていなかった。

クレイジーガイジン達は大阪の

JR環状線に目をつけた。

まだネットも普及していない時代、

強烈なクチコミで日時を決めて

大阪駅、天王寺駅などに大集結して

電車に乗り込み、飲んで大騒ぎした。

仕事帰りのスーツ姿のオッチャンが

車両の隅っこで迷惑そうな顔をして

座る横で、ちびまる子ちゃんに

出てくるぐるぐるメガネの丸尾君に

扮したガイジンがランドセルを

背負って座り、

全身にトイレットペーパーを

巻き付けたミイラ男がよたよた歩き、

魔女が笑い、網棚の上には海賊が

寝っ転がり、ホームではオノを持った

ジェイソンが吠えていた。

鶴橋、京橋、、、ガイジン集団が

降りていき、乗ってきて、

環状線をぐるぐる回る。

毎年警察が出動して解散させられた。


今やフツーの日本人もどこでも

仮装するようになり、このイカレた

「ハロウィンループライン(環状線)

パーティー」はたぶんもう

やってないんちゃうかなあ。



さて、21日土曜は大阪、天王寺の

ティンズホールでライヴをして

盛り上がった。

初めて観たガイジンペアが感激して

一杯ずつゴチソーしてくれた。


今週28日土曜も同じく

ティンズホールでハロウィンライヴ

パーティーをやります。

よかったら仮装して遊びに来てね〜。

チャージなし、ドリンク代のみ。

6時オープン。

数組が出演。

REVolutionは10時頃登場。

もちろん今回はロックスター仕様だぜ

ベイベエ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ