VOL28 「洞窟フラメンコ」
2011年夏にスペイン、ポルトガル
3週間ひとり旅をした。
(バルセロナ、マラガ、グラナダ、
コルドバ、セビーリャ、リスボン、
ポルト、マドリード)
フラメンコにはすっかり魅了された。
バルセロナで70、80人、セビーリャで
200人ほどの客席の劇場で、
そしてグラナダでは洞窟フラメンコを
観に行った。
日本でテレビでよく観るのは
70、80人規模くらいのものかな。
ほどよく身近な距離でイイ感じ。
200人規模のものは立派な建物で、
ステージは広く、出演者の衣装も
カラフルで豪華。
10数人の男女がグループで踊る。
ショーの時間も長い。
それぞれに良さがあるけど、
特にグラナダでの洞窟フラメンコは
体験として強く印象に残る。
ここではダンサーは劇場に設置された
ステージ上ではなく、狭く細長い
洞窟の両側に椅子を並べて座る
40、50人の観客の間で踊るのだ。
まるで電車の中のような密接感。
まさに目の前で感じる芸術の息吹。
閉鎖的な洞窟の中で薄暗い照明の元、
古くから継承されてきているであろう
手作りのようなシンプルな空間が
観る者をワクワクさせてくれる。
2人の男のギタリストが
スパニッシュギター独特の
右手すべての指を使っての
アルペジオとストロークを混ぜた
テクニカルな奏法で弾き始める。
女のダンサーが7、8人、
男のダンサーが2人、
5〜8分ごと?に順番に踊っていく。
踊っている者以外の演者は手拍子
(時には打楽器のカフォンを叩く)
をして、曲によって男のヴォーカルが
張りのある声で加わってくる。
ギターの演奏が抑揚をつけて
だんだんと激しくなっていき、
それに合わせてダンサーが
妖しく、力強く、華麗に舞う。
ターンすると風を感じ、
ドレスの裾が椅子に座っている
俺の膝に当たるのだ!
首筋に光る汗。
す、すごい臨場感だ。
情感的な動き、指先までの繊細な
表現力、異国情緒を感じる衣装、
そしてフラメンコの特徴である
タップも素晴らしい。
乾いた音が洞窟内に響く。
ギター、手拍子、タップすべてが
16ビートで見事にシンクロ。
ジャカジャカジャカジャカジャン!
とギターのブレイクとともに
大胆にドレスの裾を太腿まで
たくし上げたダンサーが
ポーズをビシッときめると演者らが
「オーレイ。」と口々に声をかける。
日本ではなぜか「オッレイ!」と
レイの部分を上げて叫ぶように
思われてるけど、かなり違う。
たいていは平坦にそんなに激しくなく
「オーレイ。」又は「アーレイ。」
と発音する。
「いいぞ。 その感じっ。」
と演者らがお互いを認めて
鼓舞し合っているように感じる。
ギターと手拍子はまた小さい音から
始まり、ダンスは続いてゆく。
演者が交代するとまた違った衣装で
違う動き、表現を見せてくれて
どんどん惹きつけられてしまう。
フラメンコ発祥の地グラナダ。
ホンモノってすごいよ。
※※この動画は実際に観てきたショーではないです。
こんな雰囲気。
「洞窟の中で繰り広げられるフラメンコ」
https://youtu.be/THPplyXGCpU?si=oSTP0kMXPGkH5ZW9