VOL17 「超危険な世界 その1 ウィングスーツフライング」
子どもの頃からどうやら自分は
ちょびっとスリルジャンキーだと
自覚して生きてきている。
でも強い生存本能を有していて
自身の欲求が暴走しないように
制御しながら行動してきたから
これまで致命的な危機に陥らずに
これたのである。
今までで最も勇気が必要であった
アクティビティはバンジージャンプ。
渓谷に架けられた吊り橋で両足首から
伸縮性のある太いロープをつないだ
状態になり、端までにじり寄って
はるか下で白波が立つ川面を見下ろす。
102m、、、。
もし、このロープが切れたら?
金具などが壊れたら?
これは遊びで簡単にやっては
いけないものなんじゃないか?と
原始の防衛本能が警告発令した。
(「世界はオモロイ」
驚愕のニュージーランド編
VOL13「キョーフの102mバンジー」、
VOL14「今日だけは俺が日本人代表」参照)
そしてこの2年後、再びこの地
クイーンズタウンを訪れた時に
つい先日にバンジーのロープが外れて
初の事故が起きた、とスタッフに
聞きたくはなかったニュースを
知らされて蒼ざめたのである。
落ちたひとが無事だったのかどうかは
わからないままだった。
ウチでひとりで飲みながらパソコン本体
ではなく、そこから線で繋いだテレビの
大画面でユーチューブ動画をよく観る。
ステージに立つ身として音楽のライヴ映像は
もちろん、他にもいろいろ。
スリリングな映像ジャンルの部門では
アイルランドのマン島TTオートバイレースの
車載カメラ映像と、
ダンオスマンの命綱なしの
クリフクライミングとロープジャンプが
今までは最高にシビレるものだった。
テレビなどで観てまえから知ってはいたが、
最近ユーチューブで観るたびに
先述のクレイジーな世界を越える
この新たな驚異に打ちひしがれてしまう。
それは、、、。
「ウイングスーツフライング」。
これはほんとにタダゴトではない!
専用のフライングスーツを着て
ムササビのように崖の上から
飛び降りて滑空していく。
水平飛行世界最高速度記録は
日本人による360キロ以上!!
1990年代半ばにフランス人により
考案されたもので、
ダンオスマンの命綱なしの
クリフクライミングと同等か、
おそらくそれ以上の最狂危険スポーツだ。
なんと毎年2、30人!も亡くなっている。
考案者のフランス人も亡くなった。
滑空中の彼らのヘルメットに
搭載されたカメラ映像。
その衝撃の臨場感。
これは人間が踏み入れるべきではない
空間なのではないだろうか。
笑顔で軽く手を振りヒョイっと
崖からジャンプして、わざと崖スレスレに
飛んでゆく彼らの心理とは一体
どういうものなんだろう?
山あいでは急に風向きが変わるとか
強風が吹くとかもありそうだし、
下調べした飛行コースの地形が
思いのほか複雑だったり、
ウィングスーツの一部が風の力で破れて
バランスを崩したりとか、
ちょっとしたまさかの予想外のことが
起きてしまった場合、
一瞬で方向を変えたり、ブレーキを
かけれるわけもなく、恐らく即死なのだ。
うううーーーーーーん。
俺にはできない!!!
彼らは何回も何回も飛ぶ。
いっぺんだけ体験してみよう、
という話ではないのだ。
今回こそは崖に激突するかもしれない。
今日は大丈夫だった。
でも明日は?
実際に何人も今まで一緒に飛んできた
仲間が墜落死、激突死してきているのに
なぜ飛び続けるのだろう?
平凡にシゲキの少ない人生を過ごすよりは、
もしかして死んでしまうかもしれないけど
他では絶対に経験できない究極の
ブッ飛ぶ遊びを楽しみたいのか?
地球の丸みを感じる雄大すぎる風景を
飛行機などではなく、体ひとつで
自由に飛びながら眺める体験を
してしまったら、その世界からもう
離れられなくなってしまうのだろうか?
俺は飲みながら身悶えしてまた観てしまう。
https://youtu.be/SxjBTS5bf7Q?si=Cax7JT2lkCggN_fY