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5話 「ユグドラシルの死、そしてシルフェリアとの別れ」その5

{転生に際しては過去の記憶はまた封印して送り出す事になるのう}


「えっ?なんで?」

前々回の八千代への転生も記憶を封印されて送り出されたのだ。

八千代の時は一切シルフェリアの時の事は思い出す事は無かったのだ。


{お主の2500年分の記憶を人間の赤子の脳に入れて見い、脳の回線が容量オーバーを起こして「ぽん!」じゃ、下手すれば死ぬ}


「是非とも記憶を封印して下さい!」

転生した瞬間に頭が爆発する未来を想像してしまいガクブルの妖精シルフェリア。


『では、シルフェリアの記憶は「記憶の泉」で私が預かりましょう。

シルフェリアが大人になって必要な記憶だけ取り出せる様にすればよろしいでしょうね。

その為に最低限の記憶は残しましょう、そして年齢を重ねる毎に段階的に封印が解除される様にして』


「何から何まで手数をおかけしてしまいすみません」

結局の所、シルフェリアはこの「記憶の泉」超絶チートをほとんど使う事は無いのだが・・・


{それから転生先が庶民限定と言うのは少々無理がある。

魂と適合出来る肉体が庶民だけとは限らぬからな、ある程度は転生先の範囲は絞れるが

現状、イリスのいる国に人間は余りおらねのでラーデンブルク公国への転生は厳しいと思ってくれ}


「うーん・・・そっかぁ、残念・・・

あっ!なら、ユグドラシル様が居た場所の国が良いわ!」


{となると・・・今は、ピアツェンツェア王国になるのう。

ふむ・・・他の国と比べても人口が多く発展しておるし現政権は奴隷制度を撤廃しておるしお薦めじゃな。

少なくとも奴隷の子供に産まれる事はない。


「と言う事は庶民か貴族に限定される?」


{そう言う事じゃ}


「なら人口比率から見ても庶民に確定だねぇ」

自分の要望に限りなく近い転生になりそうで喜ぶ妖精シルフェリア。


「性別は「女」に確定される、お主は「女神」の魂も持っておるでな」


「うん!その方が良い」2500年間女性で過ごしていたのでここで急に男に産まれてもちょっと困るのだ。


こうして諸々の事が決まり、いよいよ人間の転生門をくぐる妖精シルフェリア。


「色々とお世話になりましてありがとうございます」

ペコリと頭を下げる妖精シルフェリア、彼女の根は素直で礼儀正しいのだ。


{うむ、ワシとお主は強い因果で繋がっておるからのう。

必ずどこかで会う事になるじゃろうて}

この予言は結構とんでもない形で大当たりする事になるのだった。


『次に私と会うのは今回のシルフェリアの生が終わってからになるでしょう。

その時に迎えに行きますね。

・・・今回もシルフェリアが幸せな人生になる事を祈り祝福を」

そう言って妖精シルフェリアの頬に祝福のキスをする女神アテナ。


この時の女神アテナの祝福のキスでシルフェリアは女神アテナの愛子となる。

そして次の転生先が女神アテナと同じ「金髪に蒼い瞳の女の子」に限定されたしまった事に神々も気がつく事は無かった。


そしてピアツェンツェア王国で「金髪に蒼い瞳の女の子」と言うのは「天龍」の祝福を受けた王族か王族の系譜に連なる「大貴族」にしか産まれないのだ。


こうして妖精シルフェリアはピンポイントでピアツェンツェア王国のカターニア公爵家の長女セリスとして転生を果たしてしまうのだった。


見事、超低確率で公爵令嬢を引き当ててしまったシルフェリア改めてセリスに待ち受ける運命とは?!


それは「幽霊退治屋セリス」をご覧下さい。









「うふふふ、こんな感じでセリスに転生したのよ」

懐かしそうに話すお婆様は御歳145歳のセリスお婆ちゃんだ。

流石にもうベッドから起き上がる事は出来ずこのまま死者の国から女神アテナのお迎えが来るのを待っている。


「そう・・・」

寂しそうにセリスお婆ちゃんの頬を撫でるのはエルフの女王イリス・ラーデンブルクだ。

今世のセリスとの最後のお別れをしに来たのだ。


「ああ・・・それにしても今世も随分と長生きが出来ました。

皆様には感謝の言葉しかありません、イリスも本当に今までありがとうございました」


145歳・・・この魔法の世界でも純粋な人間として、間違い無く最高年齢の記録としてずっと残る事になるだろう。

結局、セリスは精霊化する事も女神の力を使う事も無く「純粋な人間」としての生を全うしたのだ。


「うふふふ、いよいよ次のセリスの生は「女神セリス様」ですね。

今度こそ・・・今度こそ私の事をずっと見守って下さいね・・・し・・・し

シルフェリアぁああ・・・うわあああんん!ああーーんんーー!!」

もう我慢が出来ずボロボロ涙を流すイリス、子供の様に大泣きする。


長い長いハイエルフの人生の中で親しかった者達との別れなどもう数え切れない程あったが毎回毎回悲しくてイリスは全然慣れないのだ。

特に今回は1200年越しの大親友のセリスの死だ、泣くなと言う方が無理だろう。


前回の別れの時も大泣きしたが今回もギャン泣き、大泣きだ。

前回のように「死んじゃ嫌だー!」と駄々っ子にはならないが・・・


何せ145歳だ、さすがに「死んじゃ嫌だーー!」は無理があり過ぎる。

今回のセリスの死は大往生なんてレベルでは無いからね、本当にお疲れ様でした。


フルフルともう力が入らない手を上げて自分に縋って泣いてるイリスの銀髪を優しく撫でるセリス。


「そうだ、イリスにずっと聞きたい事があったのです。

私がシルフェリアとして生を終えた後にイリスは何をしていたのです?」


「グス・・・何を?してたか?・・・グスグス」


「そうです、私は凄く聞きたかったのです。

イリスがハイエルフになった経緯やラーデンブルクの女王様になった経緯も」


「・・・凄く長くなるよ?それでも良い?」

頭を上げてセリスの目を見つめるイリス。


「うふふふ、当たり前じゃないですか、勿論イリスの聞きますよ」

しわくちゃになった手でイリスの頬を撫でて笑うセリス。


女神アテナのお迎えが来るまで時間、イリスは自分のこれまでの人生をセリスに語り始める。

こうして物語はイリスの少女時代へと時間が巻き戻る。

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