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72話 「コリーン山攻防戦」その1

木の枝を振り水を撒き終わるとクレアは祭壇に供えられた野菜の種を一つ掴み、それを祭壇下に作られた小さな畑に埋めた。


「皆さん、種が芽吹く様に祈りましょう」

そう言うと畑に跪いて手を組みクレアが祈りを始めると、その場の居る者全てが同様に祈り始める・・・


すると・・・・・・・ポンっ

畑から小さな芽が出た。


「おおおおお??」大きくどよめいたゴブリン達。


「ふう・・・とりあえず最初の儀式は成功じゃな」クレアがそう言うと・・・


ワアアアアアアアア!!大歓声が上がった。


「この畑を中心に範囲を広げて行くのじゃ」


それからメインの祭壇を中心に円形上に半時計回りにサブの祭壇で同じ儀式を繰り返していく、なかなか地味で根気のいる作業だ。


「では、参ります!ウインド!!」

ここからが風竜シルフィーナの出番だ。撒く水の範囲が広げれ広いほど良い。


《ウインドー!!》

グリフォンロードのエリカも《ウインドですか?使えますよ》とアッサリと言い、水の拡散の手伝いをしている。


イリスはメイン祭壇の魔力維持と不足の事態に備えて居残りしている。


ゴブリン達は祝福が終わった土地に大急ぎで畑を作り種を撒いている、時間との勝負らしくゴブリンとオーガの総員の総力戦だ。


「アースクエイク!」

より広範囲に畑を作る為にブリックリンが局所地震を起こして地盤を緩くして耕し易くしてくれている。


「わはははは!!」ザッシュザッシュ!!

ロイが大喜びで鍬で大地を物凄いスピードで耕して行く。


リザードマンは農耕民族でもあり畑作業は本能の様なモノで大好きとの事。


「ママー、これくらい?」ミイも小さい身体でドンドン種を撒いている。


「そうねー、最初だからもう少し離して撒きましょうか」

レイも凄い勢いで鍬を振るっている。


「すっ・・・凄え家族だ」リザードマンの耕作能力に鬼族も舌を巻いている。


「是非!農業指導を!!」

とゴブリンロードのドンゴに懇願されてロイ一家は暫くの間、鬼族の街に滞在する事になり「先生」と呼ばれる。


ガストン・・・は案の定、クレアと白ちゃんのドエロ衣装をモロに見てしまい鼻血を吹いてダウンしている。


うなされるガストン「ううーーーんん・・・ピンク・・・」お前はナニを見たんだ?


快調な出だしの豊穣の祝福の儀式、予定よりハイペースで進み4日目終了時点で予定の半分を終えた。


うおおおおおおおお???!!!


メイン祭壇の畑に最初に植えたピーマンが実ったのだ!

実はコッソリと緑の大精霊のシルフェリアがイリスの身体を乗っ取り「植物成長」の特殊スキルを使っていたのだ。


「これは・・・たまげたわい」クレアもめっちゃ驚いている。


《これで儀式の効果も高まると思うんです》

ニコリと笑うイリスシルフェリア集合体、やはりババア・・・年の功である。


《おい・・・誰がババアだ・・・それから集合体はやめろ》


《えー?私はシルフェリアとの集合体なら嬉しいよ?》


《イリスーーーーー???♪♪♪♪》


「な・・・なんて非常識な・・・」

イリスシルフェリア集合体はハイエルフ的に見ても非常識らしい。


まぁ、確かにハイエルフと緑の大精霊の能力の同時発動なんて相当なブッ壊れ能力だよね。


それをアッサリやってのけるシルフェリアはさすがの霊樹である。

しかしダメ精霊であるのは変わらんが・・・


全てが順調に行っていたのだが・・・


「大変です!魔族300名がこちらに向けて進軍中です!!」

偵察のゴブリンから緊急念話が入る!


「やれやれ・・・やはり来おったか・・・」


「では!予定通り龍騎士隊イリス!迎撃に向かいます!」


魔族の襲来は予想済みだった。

ゴルド王国の裏に居る魔族が貴重な奴隷資源の流出を黙って見逃す訳が無いと最大の警戒をしていたのだ。


「イリス!アタシも!」


「白さんは儀式の継続を!進撃ルートは予測通りです。

あのルートは罠と防衛施設だらけです!私達で食い止めれます!」


「ならオーガの精鋭も向かわせるわ!気をつけて!」


「はーい!了解です!」


今回はイリス、エリカ組、ブリックリン、ロイ組、ガストン、シルフィーナ組の編成の戦いになる。

予想決戦場はゴブリンの街から北北東25kmにある標高2500kmのコリーン山だ!


既にゴブリンの戦士2000名が迎撃準備をしている。

後発でオーガの戦士200名も援軍に来る予定だ。


問題は魔族300名の中で「スペクター」と呼ばれる高位魔族が何名いるかだ。

ゴブリン隊が敵を食い止めて龍騎士隊イリスはスペクター討伐を行う。


《罠ってどんな物を設置したんですか?》


「主に落石かな?」


《標高2500mなら山頂付近は雪ありますよね?》


「うん、あったよ」


《雪崩れを起こしては?》


「雪崩れ?」


《はい、広範囲に雪崩れを起こせばかなりの足止めになります》


「でも狙い通り簡単に起こせるかな?」


《私は上空から見ればすぐ雪崩れのコース分かりますよ?》

エリカは元登山家だ、普通は地図で雪崩れ発生予想を立てるが今はグリフォン。

上空から直視で山肌を確認出来るので雪崩れコース予想など造作もないのだ。


「登山家って凄いんだね」


《これが出来ないと危なくて登山なんて出来ませんから》


イリスの中で「登山家」は戦士に加えて兵法家だとの誤解が増えた。


「雪崩れなら下を破壊する?のかな?」


《いいえ、一番破壊力があるのは上部崩壊の雪崩れです。

一度流れ出すとドンドン雪量が増えていきますので》


前世のエリカはこの上部崩壊雪崩れで亡くなっている。

その恐ろしさを一番理解していると言える。


《私の風の魔法で発生ポイントに刺激を与えると簡単に起こせると思います。

ただ雪崩れ発生したら止めるのは不可能です。味方の退避済みが絶対条件ですね》

登山家に加えてゲーム脳全開のエリカ。


もしかして山岳戦で勝てる者はほとんど居ないのかも?


《もし可能なら全面崩壊の土石流も起こします》

エリカの「山津波」での攻撃宣言に少し引いたイリスだった。

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