68話 「グリフォンロードのエリカさん」その2
グリフォンロードのエリカをゲットした龍騎士隊イリスはジョギングの予定を変更して隊形の再調整をする事になった。
「俺がエリカさんに乗るのは無理です。
妻のいる身で他の女性に乗るなど言語道断です」
ロイが凄い誤解を招きそうな物言いでエリカへの騎乗を拒否する。
でもそりゃそうか、レイがヤキモチ妬いちゃうもんね。
「となると私か白ちゃんになるね」
「うーん?エリカにアタシだと重くない?重力操作で飛んでるブリックリンならともかく」
超重量級オーガキングの白ちゃんの体重は850kgある。
ちなみにイフリート・・・精霊化すれば身長154cm体重52kgとイフリートにしてはかなり小柄になる。
当然、肉弾戦になれば激弱だ、なので白ちゃんは精霊化を嫌う。
純粋に翼で飛ぶエリカには850kgはかなりキツイ、シルフィーナは背骨がポキっと折れそうだ。
「えーと?シルフィーナとガストン、ブリックリンとロイと白ちゃん、私とエリカ、
になるのかな?」
「そうだね、エリカが参入してバランスが良くなったね」
イリスの提案にブリックリンも頷く。
ブリックリンの負担がまだかなり大きいが、前衛、後衛、遊撃の形にはなったのだ。
「ブリックリンは大丈夫?」
「うん、かなり良い修行にもなりそうだね」と笑うブリックリン。
むしろ「白ちゃん望む所」の頼れる地龍である。
でもやっぱり一対一が好ましい・・・
「やっぱりロイの相棒探しをしないとね」
「ロイの相棒だと前衛だから頑丈な奴が良いよね」
「我儘ばかりで申し訳ありませんが出来れば男性で・・・」
こんな感じにあれこれと相談していたら、
《あっ!私少しなら戦えますよ》エリカが頼もしい事を言い出す。
「え?そうなの?」イリスはエリカに回避能力だけ期待するつもりだったのだが。
《はい、あの子から、ご飯の狩り方を教わりましたから》
あの子・・・おそらく元々のグリフォンロードの事だ。
現在はエリカと精神的に同化したのか表層意識に出て来る事は無い。
「ご飯と言う事は魔物とかの生肉だよね?抵抗なかったの?」
グリフォンは雑食だが主に魔物を狩って食べる。
血が滴る生肉を食べる・・・
元日本人で女子大生のエリカにはかなり厳しい苦行のはずなのだが?
《だって食べないと死んじゃうじゃないですか。
これでも「登山家」の端くれですからね、
魔物のお肉程度にビビっていたらエベレストなんて狙えません!》
と多分めっちゃドヤ顔のエリカ。
グリフォンは鳥型の魔物なので表情が良く分からん。
前世のエリカは有名登山家の父親を持ち幼少の頃から山に登りまくっていた結構有名な女子大学生登山家で雪崩れ事故に遭わなければ次の年にはエベレストに挑戦する所だったのだ。
つまり相当強靭な精神力を持っているのだ。
「へー、「登山家」って強いんだね」
イリスが登山家は戦士か何かかと盛大に誤解を始めた瞬間だった。
その事を伝えると、
《いやですねぇイリスさん、どちらかと言うと「冒険家」ですよ》
とエリカは笑うがこの世界の「冒険者」は戦士がなる職業でもある。
登山家=戦士の構図が成立してしまった。
「でも白殿は拳闘士ですよね?接敵したらかなりの接近戦になりそうですが」
ガストンが次の問題を指摘する。
確かに拳闘士は龍騎士には不向きだ。
「うふふ、そこはアタシもキチンと考えているわよ」
ジャーン!と取り出したのは全長2mの長弓だ。
「イリスに作って貰っちゃった」
バジリスクに惨敗した後、白ちゃんは考えた。
「アイツらに近寄りたくない」と・・・
それで自分やゴブリンが弓を作って練習していたのだがオーガキングに見合う弓など作れずお蔵入りしていたのだ。
エルフと言えば弓!なので元ウッドエルフのイリスが人間なら誰にも引けない様な強弓を作って試しに引いて見た所・・・
ズゴオオオオオンンンンン!!!
引いた白ちゃんが自分でドン引きする威力の大砲のような弓が完成してしまった。
「弓ですか・・・ちょっと貸して頂いても?」
白ちゃんから弓を受け取って引いて見るガストン。
「おお?!さすがは「勇者」ねえ」ガストンの剛力に驚く白ちゃん。
普通の人間には絶対引けない様な強弓も軽々と引くガストン。
ヒュン!・・・ゴガアアアンンン!!狙った岩が粉砕された!
「これ良いですねイリス殿、私にも作って頂いても?」
「良いよー」
「ガストンさん!素敵ですわ!」
「次は俺が引いて見ますね」
次に挑戦するのはリザードマンのロイだ。
ギリリリ!
ロイも強弓を軽々と引いてしまう。
ヒュン!!・・・ズガアーーーン!!また標的の岩が粉砕される。
「素晴らしい弓ですイリス様、俺も欲しいです」
「良いよー」
「アタシのアイデンティティがアッサリと奪われてしまったわ」
これには苦笑いの白ちゃん。
この後に発生する戦争で大砲の如く弓矢を連射して来る龍騎士隊イリスは敵軍に絶大な恐怖を与える事になる。
「でも白さんは「魔法」を使わないんですね?」
ブリックリンが素朴な疑問を白ちゃんにぶつけると、
「アタシの魔法は「獄炎」ほとんどの物を燃やし尽くしてしまうから環境破壊が酷すぎるのよ、勿論、君達に危機が訪れたなら使う事を躊躇わないわ」
つまり「強力過ぎて使い辛い」のだ。
試しにシルフィーナの「ウインド・ブラスト」と「獄炎」の合成魔法を海に向けて撃ってみたら・・・海が割れた。
冗談抜きに海が割れたのだ!
「危な過ぎる!使用禁止ーー!!」イリスが絶叫したのは言うまでも無い。
《皆んな凄いんですね!私も頑張らないと!》
人外共の圧倒的な力を見て引くどころかヤル気を出すエリカ。
「その意気ですわエリカさん!」
そんなエリカを見てますますイリスの登山家=戦士の誤解が強くなってしまうのだった。
これはエリカの映画鑑賞の趣味で視覚的に破壊現象の感覚が麻痺しているからのせいなのだ。
ネットを探れば核爆発の映像とかたくさん出て来るからね。




