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48話 「ピアツェンツェア王都」その2

「お待たせしました。

国王代理のヴィアール様がお会いしたいと、ご案内します」


イリス達に対応した兵士を連れて、おそらく部隊指揮官と思われる将官がやって来て国王代理の言葉を告げた。


「国王代理・・・ですか?」首を傾げるイリス。


「ええ、お恥ずかしい限りですが今回の建国はゴルド王国に対抗する為だけに行った建国で誰が国王になるのかもまだ決まって無い有様でして」

そう言って肩を竦める将官。


現在王都に集まっている人間達は烏合の衆なんてレベルじゃ無い。

各地でバラバラにゴルド軍に抵抗していた集団が自分達の土地を追い出されて逃げて自然に集まって命を守る為に協力体制を築いただけなのだ。


それで他の勢力と交渉し易そうにする為に「国」を名乗ったと言う訳だ。


「そうだったんですね」

何とも言えない気持ちになるイリス。

頼りない!と思った訳で無く、どちらかと言うと「気の毒」に思ったのだ。


将官に案内されて街の中心部まで足を踏み入れたイリスだったが状況は余り変わらなかった。

ただ中心部に女性と子供を集めて守っているのか兵士の数は少ない印象だ。


「食糧不足とかは無いのですか?」

イリスが見る限り街に飢餓が発生している印象は少ない。

飢えがないので士気が高い印象まで受けるのだ。


「それだけが救いなんだ。

俺達が討ったこの街の前の領主が強欲張りでね、食糧庫に領民から巻き上げた大量の食糧を隠していたんだ」


それこそ今現在の王都の人員を丸1年は養える量らしい。


「君がゴルド軍の食糧庫を叩きまくってくれたおかげで奴等の方が食糧不足になっているのが笑えるよ」

とウインクする将官、どうやら素は結構陽気な人物な様だ。


「彼らは食糧を取り返しに来ないんですか?」


「来たよ何回もね、全て撃退してやったけどね」


ここに居る兵士は、見すぼらしいナリだが、かなり強い兵士が揃っているとの事だ。

見かけに騙されてゴルド軍は手痛い思いをしているとの事。


会話しながら歩いている内に総司令官部、国王代理がいる前領主の館に到着した。

激しい攻防戦であちこちが破壊されているが無駄に豪華な館だったのが伺える。


中はしっかりと清掃されて綺麗だが調度品などが一切無い。


「全部、流れの商人達に売っぱらって武器を買ったんだよ。

戦をするのに、そんな物は意味ないからね」


イリスの考えてる事を先読みして答えてくれた将官。

イリスは驚いたがシルフィーナとブリックリンも驚いた顔だ。


「ん?ああ!ごめんごめん。

我がエスピナス家の固有の能力でね、相手の目で何を考えてるのが分かってしまうんだよ、かなり大雑把にだけどね」


「・・・目」イリスは両目を拳でコシコシする。猫の様な仕草で可愛いのだ。

これは絶対にダメ精霊が騒ぐ!と思いきや・・・


《イリス・・・彼は多分、「勇者」です》

ここまで黙っていたシルフェリアが真面目な声を上げる・・・おや?


《勇者!・・・って何?勇気がある人?》イリスは勇者を知らない。

と言うかまだこの世界には「勇者」の概念が無いのだ。


《正確には「人間の進化の先」の一つが勇者なのです。》


《進化?!人間って進化するの?!》これには驚いたイリス。


《イリスも「ハイエルフ」に進化したでしょう?当然人間も進化します》


この言葉にシルフィーナが反応する。

《そう言えば・・・ハイエルフのイリスを見ても全く驚いた様子が無かったですわ》


《自分も進化した人間?だからハイエルフのイリスを見ても別に何とも思わなかったって事すか?》

なるほど?と思うブリックリンだがイマイチピンと来てない。


《彼の使っている能力はおそらく「思考加速」です。

人間固有の能力で思考速度を数倍から数百倍に加速させます。

それでイリスとの会話からさっきの答えを導いたのだと思います》


《そっ・・・それじゃ私の考えは筒抜けって事?》


《いいえ?心なんて誰にも覗けないのでそんな事は不可能ですよ?

イリスだって私の心は覗けないでしょう?こんなに近く身体まで共有しているのに》


《そうかビックリしたぁー》

もしイリスがシルフェリアの心を覗けたら愛情たっぷり過ぎて悶絶するだろう。


《ここからが大事な話しです。おそらく彼はブリックリンより強いです》


《ええ?!》《へえ?俺より?凄いね》《冗談でも笑えませんわシルフェリア様》


《冗談ではありません、どの様な種族でも進化の先は龍種に届きます。

・・・それからこれは本当に内密にお願いします、他言無用です。

彼はユグドラシルの瞳を継承してます》


《ええ?!・・・ユグドラシル瞳?ママの目を継承したの?》


《私もその話しは知りません、シルフェリア様、詳しく説明願います》


《ユグドラシル瞳・・・

ユグドラシル様がご自身亡き後の異界門を監視する為に各種族にご自身の力と見通す目をお譲りしました。

その内の一つを彼が受け継いだのです》


《異界門の監視ですか・・・なるほど理解しましたわ》


《ユグドラシルの瞳を受け継いだのは私が知る限りで・・・

天龍王アメデ、地龍王クライルスハイム、海龍王アメリア、ハイエルフのクレア、

それから彼だと判明しました。

他の継承者の事はユグドラシル様からお聞きする事は叶いませんでした。

つまり彼は三龍王に並ぶ力がある・・・と思うべきです》


《そ・・・そこまでですの?》


《あれ?!ちょっと待ってこんなに長時間相談してたら彼に気付かれちゃう?》

そう思って恐る恐る彼の顔を見上げると・・・


「ああ!僕の事は気にしないで相談を続けて。

僕もシルフェリア君やシルフィーナ君と同じユグドラシル様の眷属になったからね、良からぬ事なんて考えて無いから安心して?」


「そ」


「そ?」


「そう言う大事な事は最初から言えーーーーー!!」

最初からおちょくられていたイリスは彼にキレたのだった。


どうやらかなり良い性格をしている勇者の様だ。

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