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36話 「飛行用魔道具」

それから丸1年間、イリスは地龍王の間に居座った。

地琰龍ノイミュンスターの講義の無い時間は事務作業を手伝いながら。


「「イリスよ、お主を二等文官に任命する」」

頑張るイリスが給料無しだと可哀想と思った地龍王クライルスハイムがイリスを地龍の文官に任命してくれた。


エルフにして地龍の文官・・・無論、前代未聞の話しだ。

後にこれがイリスにとって強烈なアドバンテージになるのだが、まだまだ先の話しになる。


現在水晶攻略は3800問辺りだ。

半年・・・そう思ってたクレアの予想に反してイリスが全然根を上げないのだ。

弟子のド根性を嬉しく思う体育会系のクレアだった。


そしてこの頃になると、

「あっ!身長が1cm伸びたよ!」

「うそ?!本当に?!やったーーー!!」

イリスの魔力回路が完全に回復してようやく身長が伸び始めた。


《ずっとちっちゃいままのイリスで良いのに・・・》


「嫌ですよ?!」


そして更に1年が経った・・・遂に水晶攻略は5000問目になった。


『最終問題です。霊樹ユグドラシル枯れた後の世界はどうなると思いますか?』


最終問題・・・これはイリスは将来何をするのか?との師匠からの問いかけだ。

イリスは目を閉じて10分ほど考えて目を開けて。


「悔しいと思いますけどこれから世界は動乱の時代になります。

私は世界のエルフの為に戦います」


イリスの決意表明を聞き水晶は・・・


『パンパカパーーーン♪♪♪おめでとうございます♪♪

全問正解です。お疲れ様でした』

なんとも軽い感じで終了宣言をした。


「軽っ?!・・・フフフ・・・アハハハハハ♪♪♪」

イリスは2年と少しの間、めっちゃ苦労した水晶攻略があまりにも軽くアッサリと終わっておかしくなって笑ってしまう。


《なんか終わったと思えない軽さでしたねぇ?》


しかし水晶のメッセージには続きがあった・・・

『第一段階終了につき第二段階の仕掛けが発動します。

次も頑張って下さい』


「はっ?」《えっ?》

「第二段階だってさ、イリス聞いてた?」


「そっそう言えば、最初にそんな事を言ってたね・・・」


《完全に忘れてましたけど、これって飛行用魔道具の捜索でしたね》


「あ・・・・あは・・・あはははは」遂に心が折れたエルフだった・・・


第二段階・・・トボトボと実家に帰り師匠のクレアに、

「第二段階って何するんですか?」と蚊の鳴く声で聞いたら、

「そう言えば何も考えとらんかったなあ」との答えに膝から崩れ落ちたイリス。


結局、水晶攻略のご褒美に飛行用の魔道具は見せてくれる事になった。

隠してある場所は結構遠い場所だった。


遠いのでブリックリンが飛んで行ってくれる事になった。

え?飛行魔道具要らねえじゃん?

それはそれ、これはこれなのだ、子供らしく結構ワクテカしてるイリス。


ブリックリンがひとっ飛びして件の隠し場所に到着した。

「わあ!凄ーい」

龍都から北へ150kmにある活火山の火口より800m下がった場所に石作りの大きな建物があり、そこの倉庫に置いてあるそうだ。


洞窟関係無かったじゃん。


見た目はなんか火星の基地?と言った印象で草木は少なく硫黄の匂いが結構強い。

遠目では間欠泉が吹き上げている。


「ここは地琰龍ノイミュンスターの自宅じゃ」


「ほえ~、先生の家・・・」イリスはノイミュンスターの事を先生と呼んでいる。


「ほお、これは珍しい客じゃのう、久しいなクレア」

クレアの気配を感じたのかノイミュンスターが建物から出て来た。


「ほほほ♪ほんに久しいのうノイミュンスター。

元気そうでなによりじゃ、今日は「アレ」をイリスに見せてやりたくてのう」


「ほお、「アレ」に興味がある者がおるとはな」

ノイミュンスターは嬉しそうに笑う。


飛行用魔道具は奇抜過ぎて地龍で興味を持つ者が少なくて寂しかったのだ。

そして飛行用魔道具が置いてある倉庫まで案内してくれる。


「それで進捗状況はどんな感じなのじゃ?

妾の方が軽量化が上手くいかなくてのう、随分と苦戦しておる」


クレアとノイミュンスターは飛行用魔道具製作の同じ趣味を持つ仲間だそうだ。


「我も苦戦しておる。

軽量化すれば強度が足りなくなってのう・・・いたちごっこじゃ」


失敗するのも醍醐味なのだろう、楽しそうにアレやコレやと話しをしている。

倉庫に着いて中に入ると、


「おおー、凄い!やっぱり飛竜だった」

そこには前にイリスとブリックリンが予想した通りの物体が鎮座していた。

3機の鉄製のセスナに似た飛行機だ。


「これって飛べるんですか?」

男の子のブリックリンはやはり興味津々に飛行機を見ている。


「乗って見るか?」


「良いんですか?!」

某地龍君とは違い嬉しそうなブリックリン、さす兄である。

いそいそと早速操縦席に座るブリックリン。レバーと計器が所狭しと並んでいる。


「まだ動力が完成しておらぬので滑空しか出来ぬが良いか?」


「はい!」


どうやら倉庫からスロープで滑空してジャンプ台から飛ぶ様だ。

ノイミュンスターがハンドルをグルグル回してスロープのゲートが開けられる、

スキーのジャンプ台の感じだと思って良い。


「このレバーで上昇と下降、このレバーが右旋回と左旋回・・・」

操縦方法をノイミュンスターが教えている。


《イリスは乗らないの?》


「んー?見てるだけで良い」やはり女の子は反応がイマイチだね。


クレアは予備の機体を隅々まで見ている。

発進準備が終わったのかノイミュンスターが下がって拘束解除レバーに手をかける。


「準備は良いか?・・・3、2、1」


0、の掛け声と共にレバーを下げると拘具が外れて飛行機が滑走を始めた。


「おお!」楽しそうなブリックリンの声がする。


ガッシャアン!!ジャンプ台が音を立て軋むと飛行機は無事に空に飛び立った。

飛行機と言うよりグライダーだね。


さすが自分でも空を飛ぶブリックリンはすぐに操縦のコツを掴む、右旋回と左旋回を繰り返しながら着陸地点に向かう。


「ほほほほ♪良い操縦じゃ。

見た所、機体強度に問題は無い様に思うが?」


「動力を積むとな・・・重量で主翼が折れるのじゃ」


「妾もじゃ、何が悪いのじゃろうのう」

多分、柔軟性が低いのだろう頑丈過ぎても飛行機はダメなのだ。


2人がその事に気が付く日はいつだろうか?

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