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夏の特別企画「宇宙を駆ける変態」その6

「「アメデ・・・すまぬ・・・」」


常日頃から「我は万能では無いし絶対者では無い」」と自身を評価している地龍王クライルスハイムだが、ここまで変態にやられてしまったのでは凹まずにいられない。


「「クライルスハイムで無理ならばこの場の誰にも不可能であろうよ」」


20000年の付き合いの幼馴染がここまで凹んでいるのを見て娘のリールが変態の手に落ちた事に対して文句を言える訳が無い天龍王アメデ。

一生懸命にクライルスハイムを宥めている。


何だかんだ幼馴染同士で仲が良いのだ。


「「あんの変態~!!!!!今度は銀河の果てまで蹴り飛ばす!!」」

怒りの余り幼い頃の悪ガキに戻ってしまった海龍王アメリア。


普段と違う三龍王の異常な状態に事態がかなり逼迫していると悟り超真剣モードになっている2000名強の龍戦士達。


人質が3名も取られては迂闊な事は出来ないので急ピッチで地龍と海龍の宇宙適正の獲得を目指して訓練をしている。


魔法世界から遠ざかるが仕方ない、訓練を行いつつ変態の星と平行して宇宙遊泳をしつつ同行戦を仕掛ける事になった。


事の発端は人質シーナ本人の凡ミスからなのだがジャコブが変態だから仕方ないのだ!


そう言えば・・・こんな事態になっても魔法世界の主神が出てこんな?


『世界の守護者がいきなり星から殆ど居なくなったんですよ!

魔王とエルフとで、世界の維持にてんやわんやですよ!!!』


あ・・・そう言えばそうだね、ごめん、頑張れ!

魔法世界は偉大なるパシリ女神様が守って下さる様子なので龍達には頑張って頂きたいモノである。


「「ガアアアアアアアーーーーーーーーーー!!」」

ズドオオオオーーーーーンンンンンン!!!!

地龍と海龍が訓練を終了して本格的な戦闘に入る前に天龍達が遠距離から嫌がらせのドラゴンブレスを変態の星に撃ち込む。


「「コレって効いてるんかね?」」


「「彗星のガスに分散されているっぽい・・・」」


しかし効果はイマイチな様子だ。

彗星の地下は要塞化していると思われるので地表を焼いてもダメージは限定的だろう。


「「もうちょっと近寄って撃って見ようか」」


「「!!!おい馬鹿!やめろ!」」


若い天龍が変態レーザービーム(唾液)の射程圏内に入った途端に・・・

ビビビビーーーー!!!シュバシュバシュバーーー!!!


「「うひゃあああ?!?!」」200本以上のレーザービーム(唾液)が彗星より放たれて若い天龍を捉えて彗星に引き摺り込むのだ!


「「ああーー!いやーー!変態いやーー!助けてーーーー!!」」


こうなると天龍に出来る事は無い、あっという間に変態の塔に消えて行ってしまった・・・マジ怖ええええ!!蟻地獄じゃん!

ここまでに被害者は10名を超えている。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「「だから必要以上に近づくなっつってんだろぉーーーー!!!」」


「「申し訳ありませんでしたーーーーー!!!」」


言い付けを守らない天龍達に怒り心頭の海龍王アメリア。

現状、地龍と海龍の訓練終了まで打てる手が無くてイラついているのだ。

しかしそこは百戦錬磨の王様、現状打てる手は全て打っておく。


「「クローディア!!!」」


「「はいいい?!?!」」


「「ジャコブと人質解放の交渉をして来なさい。

こちらの条件は「ジャコブのS78彗星への支配権を認める」です」」


「「そうなりますよね~」」


今、アメリアが考えている最優先事項はジャコブの殲滅より人質の解放だ。

人質が居る限り地龍と海龍の訓練が終了しても彗星破壊を目的とした全面攻勢に出られないからだ。


要するに「人質と交換にジャコブの支配権は認めたけど攻めないとは言ってないよね?」と言う作戦だ。

なかなか卑怯でエグい作戦だが変態を相手にするならこれくらい致し方なし!


何せS78彗星はジャコブに完全に侵食されてしまっているのだ。

チマチマ攻略するより消し飛ばした方が良い。

原因を丸ごと排除、害虫駆除の基本である。


「「ニームよ、クローディアを助けよ」」

無慈悲な命令がアメデよりニームに下される。


「「何でーーーー?!」」


いや君、世界の法の執政官じゃん。

総督のリールが捕まって居ないんだから外務官のクローディアの軍事交渉を法的にバックアップすんの当然じゃん?


「「ノイミュンスターよ、クローディアとニームの護衛をせよ」」

ニームが可哀想なので助け舟を出してやる心優しいクライルスハイム。


「「承知!!」」


「「クライルスハイム様!好きーーー!!」」

強力無比な護衛の同行に一気にテンションが上がる現金ニーム。


こうして海湊龍クローディアと天朱龍ニームと地琰龍ノイミュンスターの古龍3名が変態との交渉に赴く事になった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「「リールよ、大丈夫か?」」


「何とかねー、と言うか何も起こらな過ぎて暇・・・」


アッサリと変態の星に入れた交渉団、クローディアとニームが変態代表と交渉している間に「戦時下においての捕虜との面談についての権利」の戦時法を適用して人質と面談するノイミュンスター。


意外な事にジャコブって法律を遵守するタイプなのだ。


ジャコブ趣味のフリフリドレスを着せられてフカフカベッドの上に座っている天舞龍リール。

待遇は良さそうだが魔力封印の鎖に繋がれている。


ノイミュンスターが見る限りでも鎖は高性能で無理矢理破壊するとリールにも大きなダメージが来るのは明白なのでこの場での救出は諦める。


「「何か不利益な事をされたか?」」


「「驚くくらいに何もされてないわ。

でも、シーナとアリスには会えないのよね~」」


リール曰く、捕まってここに入れられてからは基本放置されているとの事。

他の捕虜達には会えていないので、どうなっているか不明。

可能な限り龍眼で彗星を観察しているが魔力封印の影響と隠蔽魔法の効果で全く情報は得られていない。


「「ならばシーナとアリスも殆ど動けぬか・・・」」

リールが全く動けないのでリールより力で劣るシーナとアリスが何かを仕掛けるのは絶望的だろう。


「何か変だよね?」


「「そうさのぅ・・・対応が普通過ぎる」」


そうリールに対するジャコブの対応が「普通」なのだ。

危害は与えないが情報制限や能力封印を普通に行なっている。

基本的に放置も捕虜に余計な情報を与えない措置だろう。


何か裏がある!と感じるリールとノイミュンスターだった。


クローディアの交渉の結果、天舞龍リールと12名の天龍は解放、その代わり龍種達は遠距離攻撃を中止して彗星から150000kmの距離を保つ事。

シーナとアリスの解放は今回の約束が履行された後に再度交渉する。


以上だ。




「「普通ね」」

ゲン○ドウスタイルでクローディアからの報告を聞いたアメリアの反応。


「「普通じゃのう」」

違和感ビンビンだが娘のリールが無事に帰って来たので嬉しいアメデ。

解放されたリールは即座に天空城に送還されて診察と休養に入る事になった。


「「じゃあ後はよろしく~」」めっちゃグッタリしているリール。

今回は良い所無しのリール、レンヌに付き添われて魔法世界へ帰還して行ったのだった。


「「頑張ったんだから普通普通って言わないで下さいよぉ~。

でも私も普通で何かおかしいって感じてますね」」


確かに今回は交渉としては成功の分類になる・・・それが逆に気持ち悪いのだ。


「「ジャコブが妙に落ち着いていた事にも違和感を感じました」」


性格はサボり魔でアレだが仕事はキッチリとこなすニーム。

クローディアが変態と交渉している間、龍眼でジャコブの隠蔽魔法を貫通させて彗星の地形や地上の構造物の情報を入手している。

ニームの龍眼は龍種随一とも言われているのだ。


「「隠蔽魔法が貫通されたのにジャコブは無反応・・・か」」


何だかんだ言っても上位龍種、自分の魔法が貫通されてジャコブが気が付かない訳が無い。

ニーム的には挑発と休日を潰された仕返しのつもりでわざと正面から貫通させたのだがジャコブには無反応でスルーされたのだ。


「「見られても問題は無いと言う事でしょうか?」」


三龍による全面攻勢が始まると100%確実にジャコブは負ける。

首を傾げる龍種達だがS78彗星の深淵では驚愕の計画が進行しつつあったのだ。



そこから3ヶ月後、そろそろ地龍と海龍の訓練が終わろうとしている頃に事態は急速に動き始める。





「降伏します」


「「はあああああああ?!」」


何か知らんがガリッガリに痩せ細ったジャコブ346号機がやって来て降伏を宣言したのだ!

一体この3ヶ月の間でS78彗星では何が起こっていたのか・・・次回明らかになる!








「あれ?終わるの?」


そろそろ幽霊退治屋セリスと魔法世界の解説者の改稿をしませんと・・・


「早く書け」

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