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40話 「レムリアの民と勇者 その2」

ヴィグル湖の民が西の大陸に根付き早いモノで8000年が経過した。


物語の時代の経過の単位が千年単位とかヤバいとは我も思いますが寿命無制限のハイエルフと神様の話しなので仕方ないのです。

そう言うブツだと思って頂けたら嬉しいです。


なので大きな場面転換の際は、登場していた定命の人族はパタパタと寿命でお亡くなりになっております。


そう言う悲しい別れを乗り越えて立派なエルフの女王になるイリスの物語なのですが、チャランポランエルフのイリスが本当に成長しているかが伝わっているのか甚だ疑問ではあります。


「アンタが端的で特に変な出来事ばっかりスッパ抜いて、めちゃくちゃ悪い書き方をしているだけで私はちゃんと日々ハイエルフの役目を日々こなしてます!」


・・・貴女は知らん人の日々の真面目な仕事の話しを読んでてそれが本当に面白いとでも?


「真顔になんな!良いからとっとと話しを進めなさい!」


そっすか?大変失礼しました、話しを続けます。


元々、地球の高度文明であるレムリア民族の末裔の彼等の発展は目覚ましく、西の大陸において人の手が掛かっていない所は無い(西の大陸の総面積はおおよそ2500万㎡、北アメリカ大陸と同程度)と思われる程に活動範囲を広げたのだ。


そうなると次に発生するのは、お約束とも言える各勢力による領土拡大戦争だ。


だが、地球と違い魔法世界の覇者は人間では無く龍種である。

地球の様に人類のやりたい放題と言う訳にはいかない。


しかもこの世界に入植をする際にヴィグル民族と地龍の間には「私利私欲の不必要な諍いをしない」との単純明快な契約が結ばれている。


この契約を反故にするのは、西の大陸のヴィグル系民族の大半の者が信仰している「地龍教」の背教行為に他ならず、庶民からも嫌われ大陸全ての人間を敵にする可能性が高い。

なので大抵の領土を巡る諍いは戦争では無く、話し合いの末に解決していた。


しかし欲に駆られて屁理屈を宣う輩は何処の世界にも何処の時代にも居るモノで、「地龍との契約はヴィグル地方(西の大陸)に限られている」とか言い出して、中央大陸に自分達の勢力を伸ばさんと開拓に乗り出す国が多発する。


魔法世界版の「大航海時代」の幕開けである。


実際に地龍からは、「世界進出してはいけない」とは言われておらず、地龍もまた人間達による中央大陸への開拓を承認する。


しかし地龍王クライルスハイムが1番最初にレムリア民族の入植先に中央大陸を選ばなかった理由「中央大陸は土地が痩せている」が障害になり開拓を困難なモノとした。


それでも100年程続いた開拓をにより徐々に沿岸部の開拓は進んだのが、やはり費用対効果が改善しない。


そこで西の大陸北部を支配している「ゴルド共和国」が自分の国からも比較的近く、中央大陸より肥沃と言われる北の大陸に目を付けて開拓先を北の大陸へと変更する。


しかしこれが凄く不味かった・・・


北の大陸はユグドラシルや地龍より定められた魔物達の勢力圏なのだ。

自分達の縄張りを荒らされた知能が高い魔物達は当然ながら激怒して人間対魔物の戦いが始まってしまう。


しかもゴルド共和国側が勝利して負けた知恵有る魔物達を奴隷としたモノだから、さあ大変。

こんな悪業は地龍との契約違反の上に「地龍教」の教義に反する行いに他ならない。


重大な契約違反を犯したゴルド共和国をヴィグル系諸国は「地龍教」の連盟より追放して後の世に長く続くゴルド王国対ヴィグル帝国の戦いの土台が出来てしまう。


手に入れた権益を捨てたくないゴルド共和国も「地龍教」を捨て「フォボス」を主神と新たな国教を立ち上げ地龍教教圏より完全に離脱する。


このフォボス教は、ゴルド共和国の支配層に都合の良い教義が満載で他国より正式な宗教とは認められる事は無かった。


いきなりですが女神ハルモニア様、弟君のフォボス神が主神であるフォボス教についてどう思われますか?


『ええ?!本当にいきなりですね?

・・・そうですね・・・フォボスを主神として崇める事自体は良いと思いますが・・・

教義に問題しか無いと思います。


「偉大なるゴルドの民が全人類の支配者と定める」とする教義のどこがフォボスに関係有るのか理解に苦しみます。


それに多分フォボスも、この宗教の事は知らないと思います。


本当に彼らが心の底からフォボスを崇めているなら彼らの信仰心はフォボスの元に届き、何かしらの影響がこの世界に出ると思いますが、この世界で全くの彼の気配を感じませんから。


・・・まぁ、下手にこの世界に来たら私にどんな仕事を押し付けられるか分からないから逃げ回っている可能性もありますけど。


私も用事が有ってフォボスを探しているのですが行方不明なんです。


この世界の主神になってからフォボスともう一人の弟のダイモスも私を全力で避けている様子です。


少し前にダイモスにも会いに行ったら気配を察知されて凄い勢いで太陽系の外まで逃げられました。


ナマハゲ扱いされてお姉様は結構ショックでした・・・


そして実際にダイモスやフォボスがこの世界に来たら、お姉様権限で仕事を手伝わせる気マンマンです、絶対に逃しませんよ、飛んで火に入る夏の「衛星」です』


え?!フォボス神やダイモス神って火星の衛星そのまんまだったんすか?

凄い勢いで太陽系圏外へトンズラかます衛星・・・ヤベェちょっと見て見たかった。

つーか火星の衛星の一つが行方不明って、今の火星はどんな状況なんすか?(ワクテカ)


『正確言うと衛星が彼らの本体で精神体が他で活動しているだけなので別に衛星が動いて天体が居なくなっている訳ではありませんよ?』


なんでぇ、つまらん。


しかしなるほど・・・ゴルド王国の国教の「フォボス教」にフォボス神の加護が伴っていないのは、とっても、とぉーっても、おっかねぇ、お姉様である女神ハルモニア様のおかげ・・・と。

つーか「恐怖」を司るフォボス神を恐怖させるなよ・・・


『私が怖いと言うより「この世界」が怖いのだと思いますよ?・・・主に深夜残業的な意味で。

これってどこの誰が創造した、いい加減な世界のせいなんですかねぇ?』


さぁーてと話しを進めちゃうぞぉ。


そんな中で北の大陸に「アトランティス文明」の末裔である「魔族」が入植して来る。


アトランティス系の人間は既に魔物寄りに進化を果たしており龍種達も彼等を「亜人」としても見なさず魔物として北の大陸を入植先とした。


先に魔法世界に入植したかつてはメソポタミア系の人類だったが現在は吸血鬼になっている「真魔族」と同様に人類から区分したのだ。


味方が少なくなりふり構っていられないゴルド共和国は利用されるリスクを承知で魔族と同盟を結ぼう画策する


世界制覇を目的していた魔族もゴルド共和国を情報収集に利用しようと考えてこの同盟は締結された。


初めからお互いを利用してやろうと考えた同盟は案外上手く機能して長き渡り両者の同盟関係は続いて行くのだ。


魔族の協力で力を盛り返したゴルド共和国はいよいよ本性を現して共和制を破棄して王家独裁の「ゴルド王国」となり、自分達を一時的にも追い込んだヴィグル系諸国を敵視して小規模な領土紛争を起こし始める。

龍種の抑止力が無ければ、かなりの大乱になっていた事だろう。


益々対決姿勢を強めるゴルド王国と魔族同盟に危機感を抱いたヴィグル湖周辺に多数存在していたヴィグル系独立領郡も連合を形成して「ヴィグル帝国」を建国して対抗する。


それから200年程、2つの大国と魔族が小競り合い続けて睨み合う冷戦状態が続くがヴィグル帝国は来たるべき一大決戦に備えるべき図上演習を積極的に行った。


その結果を書物として残し子孫への警告として伝える。

この書物が後の世の人々から「黙示録の書」と呼ばれる様になる。


その黙示録の書の中で「人類の可能性の研究」と言われる章が存在して「上位者」と呼ばれる人類の進化の可能性についての記載があった。


神の御技を擬似的に行使する「聖人」、魔道を極めて到達する「大魔導士」など20種程有るが、一際異彩を放っていたのが半精霊化を果たして生命体ごとあらゆる能力を向上させる「勇者」だ。


どうやら地球を旅立ち異世界へ向かった2000名の戦士達はこの「勇者」に近かったらしく、基本的に精霊は「他者の慈しむ勇気ある者」を好み、その身体に宿るのだと言う。


「これだーーー!!」と当時の皇帝が勇者に着目する。


黙示録の書には何をどうやれば勇者になるか書かれていたのだが・・・


1、とにかく身体を鍛えましょう。1日、10時間は筋トレです。


2、とにかく技を磨きましょう。1日、10時間は鍛錬です。


「書き方がアバウト過ぎる?!

いやこれ、ほとんど不眠不休で修行じゃねえか!!脳筋か?ご先祖は脳筋だったのか?」


3、とにかく魔力向上を目指しましょう。1日、10時間は魔道の研究です。


「いや合算して30時間って24時間超えてんじゃねえか!物理的にもう無理じゃね?」


4、と言う覚悟と勇気を持って自分なりにとにかく頑張りましょう、何とかなります。


「なんじゃこりゃ?具体的には?具体的にどうするんだっちゅうに」


ヤベェ・・・これ書いた奴はアホだ・・・

と思っていたら後述でちゃんと具体的に精霊を宿す方法が書いてあった・・・


「舐めとんのかい!」


5、「舐めとんのかい!」と思った貴方はメチャクチャ短気なので精霊が怖がって近寄ってこないので勇者に向いておりません。

「グラディエーター」とかを目指して頑張って下さい。


「すみませんでしたーーー!!」


この様に黙示録の書の著作者に遊ばれまくった皇帝だった。





「・・・・・・・・・・・・え?!

黙示録の書って本当にこんな事書いてあったの?」


「一言一句同じ事が書いてあったわ。

ちなみにのこの変な押し問答は「全18巻」に渡って続くわ」


「私なら本を暖炉にぶん投げる自信あるわぁ」

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