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7話 「エリカの翼」

《シルフィーナママ?これ説得は無理ですねぇ・・・トレジャーハンターさん達にお宝を渡しましょう?》


《ええっ?!エリカちゃんどっちの味方なの??》


《だって国際法上でも彼らの行動に問題無いんですもの・・・

魔石が絡まないなら彼らの仕事の邪魔をするのは良く無いと思います》


《え~?山を好き勝手にされるなんて霊峰シルバニアとしてのプライドが・・・》


《それならシルバニア教を起こして無断立入厳禁の聖域だと世界に向けて宣言すれば良かったと思いますよ?

入山禁止宣言もほとんど徹底しないで、いざ人が入ったら問答無用で追い返すのも良く無い行為と思います》


《だって!!・・・・・・・・・神様とか面倒臭くないですか?》


『シルバニアちゃん!面倒臭いって何ですかぁ?!』

「神様面倒臭え」発言に思わず反応してしまったパシリ女神。

パシリ女神は酷く気落ちしたイリスが心配でずっとエリカ達を見ていたのだ。


《おや?ハルモニアちゃんじゃないですか?

これは丁度良いです、「調和」を司る女神様ならシルフィーナママとトレジャーハンターさんのどちらが正しいと裁定しますか?》


『ええ?!・・・そうですね。

シルバニアちゃんの方に整合性が取れていないと思います』


《があああああんんん?!》

パシリ女神にもキッパリと否定されてしまったシルバニア。


『いえね?先程のエリカの指摘そのままに私も過去に同じ事をシルバニアちゃんに言っているんですよ?

私は「ちゃんと宗教として成立させなさい」って言いましたよね?』


《はい・・・言われました・・・》過去の自分に見事に狙撃されるシルバニア。


《それならトレジャーハンターさん達の入山を許可しますか?》


《うう~・・・・・・・・本当に今回だけだからね!》

エリカに論破された事が悔しくてツンデレになってしまったシルバニア。


『ん?!ところでエリカは何で私が「ハルモニア」だって知っているんですか??』

あまりにもエリカがアッサリとしていたので聞き逃したが割と重大な事だ。


《え?!だって転生した時にハルモニアちゃんが最初に自分で名乗ったじゃないですか?「調和の女神」だって》


『そうでしたかぁ?!?!』


《はい、ハッキリと》


転生した一発目にエリカに話し掛けた時「世界の言葉」の所を「調和の女神」と盛大に言い間違えていたパシリ女神。

そしてエリカは世界の神話、特にギリシャ神話大好き西洋学科の大学生だったので、調和=ハーモニー=軍神アレスの子である女神ハルモニアと直ぐ分かった。


《ハルモニア様だってガバガバじゃないですかぁ・・・》


『エリカって日本に居た時も頭が良かったんです・・・アレでばれるなんて』


《いえ・・・ハルモニアちゃんって有名だから分かりますって。

本当に何故だか皆んな私を上げますよね?


あっ!!そう言えば・・・神話の話しが出たついでなので聞きたいんですけどハルモニアちゃんってカドモスさんと御結婚されているんですか?》


『え?!結婚?!いきなりなんですか?!』


《いえ、ギリシャ神話だとハルモニアちゃんはゼウスさんの命令でカドモスさんと結婚したとなっているんです。

それって本当かな~?ってずっと気になっていたんです》


『いいえ??私は結婚した経験なんて無いですよ??

え~と?それにカドモスさんって確か純粋な人間の方でしたよね?さすがに無理があり過ぎます』

神話とは読み手の人間に都合良く作られているモノなのだ。


《そうなんだ~、これは残念》


《本当にねぇ》案外と恋バナ好きなシルバニアも残念そうだ。


そんな感じに緊急会議を変な方向に脱線させていたら・・・

「???どしたぁ?グリフォンのお嬢ちゃん?」

いきなり行動停止してしまったエリカを不思議そうに見ている団長さん。


「え?ああ、すみません。話し合いは終わりました。

女神様の公認の元に皆さんの入山許可が霊峰シルバニアより出ました」


「はぁあああ?!女神様?!」


「はい、マジモンの女神様です。ですが幾つか注意事項があります。

先ず立ち入れるのは山頂の遺跡のみです。

他への立ち入りは一切認められません。立ち入った途端に問答無用で攻撃が来ると思って下さい」


「え?え?え?何言ってんだ?嬢ちゃん?まさか嬢ちゃんって神使なのか?」


「違います、私はラーデンブルク公国の龍騎士です。

それから皆さんの安全の担保と監視の為に私も登頂に同行させて頂きます」

エリカと一緒に行動すれば攻撃を受ける事は無いと言う訳だ。


「無いとは思いますが一応、私に危害を加えようとしても攻撃が来ます。

もっとも私は、エクセル・グリフォン・ロード、ランクSS級の魔物で超強いですからね?くれぐれも襲っては行けませんよ?」


「え~?口説くのもダメなのかい?」

エリカに一目惚れした若いトレジャーハンターの青年がガッカリそうにしている。


「う?!・・・・ま・・・まぁ後日・・・食事くらいなら・・・」

どうやら青年はエリカのモロにタイプだった様だ。


「マジで?!いやったぁあああああああ!!!」

ちなみにこの青年、後のエリカの旦那さんなのだ。その内詳しく書きます。


「私は、ま・・・魔物ですが良いんですか?」

めっちゃ喜ぶ青年に恥ずかしくなり頬を赤らめるエリカ。

エリカは、ごくごく普通に男性が好きなのだ。決して百合では無い。


「良い良い!約束したからな!絶対だぞ?」


「女の子とイチャつくのは仕事が終わってからにしろっての。

それで?300人全員で向かっても良いのか?少人数だと山岳部の運搬に手間取りそうなんだよ」


「それは構いませんが、アレを運ぶのに300人も要らないと思いますよ?

多分、めちゃくちゃ驚かれるかも知れませんけど」


「へ・・・へえ?驚くくらい期待して良いお宝って訳だな?」


「少なくとも私は見た時にドン引きしました」


「そりゃあ楽しみだ」


この後、遺跡に到着したら中に想像を遥かに超える重量300kgのもの凄い金鉱石の塊が中央広場に鎮座しており頬を引き攣らせる団長さん。


ちなみに地球で見つかった世界最大の金鉱石の重量は約60kgだ。


その金鉱石を依頼主の豪商に引き渡したら、それはもう大喜びで追加報酬を5000万円(相当)も出してくれた。


この余りにも見事な金鉱石は製錬されず、どことなく片翼の翼の様な形をしていた事から「エリカの翼」との名前が付けられて、当時のままの姿で数千年に渡り世界屈指の重要文化財として世界各地を巡る事になる。




「だから何で私の名前を付けるんですかぁ?」


数年後に自ら運営している博物館に展示されている「エリカの翼」の存在を知り豪商に抗議しに行ったエリカ。


どうやらこの豪商は博物館の展示用の為に世界各地のお宝を集めている知識人だった様だ。

大金持ちの道楽だね。


「エリカがそれを言う?」

今まで散々ぱらエリカに自分の名前を使われているイリスは半目でエリカを見ていたとの事。




そんな事が起こっているとも知らずに寝不足イリスはスヤスヤと寝ていたのだった。

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