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66話 「魔王が魔王たる所以」

オッス!オラはバルドル!・・・・・え?もう古臭いネタはいい?残念じゃ・・・

日本人時代に好きだったアニメだったのでな。


現在儂は人ん家の庭にズカズカと入り込んで来た侵略者を虐殺する為に原生林にて四天王のマクシムとベヒモス達とで待機中。


剣聖シュナイダー君と仲間達がここから逃げる様なので彼らが逃走したら攻撃開始じゃ。


何で彼らは見逃すのか?


それは殺すには惜しい者達だからじゃ。

儂は「世界の守護者」でもあるからな、世界に有益な者を殺す訳にはいかんのだ。

良い者、悪い者に関わらずにな。


《しかし・・・最初は魔王のみで攻撃とはどう言う事なのだ?

皆で一斉に攻撃した方が良くはないのか?》


「あー・・・原生林は魔王のテリトリーなんだよ」


《??もっと詳しく説明してくれよ?それじゃ何も分からん。

相変わらず説明が下手だなマクシムよ》


「実はな・・・・・」


何かマクシム君とベヒモス君がヒソヒソ話しをしているが攻撃準備を進めておこう。

これ事前準備が大事なんだよね。


「real mastermimd 」

儂は吸血鬼の真祖固有スキル「影の支配者」を発動させる。


これでこの原生林の影は、ほぼ気配も無く儂の支配下に置かれたのじゃ。

おお!さすが誰の手付かずの原生林、魔力伝達率が素晴らしいな。

これは最大出力である周囲7kmくらいに儂の魔力を注ぎ込めそうじゃ。


街中や植林地域など人の手が入った場所は魔力伝達経路が彼方此方が遮断されてスキルの効果範囲が狭くなるが原生林の根や枝は全て繋がっておるからな。


つまり、それ等は細い電気の線の集合体の様な物だと思ってくれて良い。


そんなモノの中に人間が居て電気を流すとどうなるか?

結果は全方位からの感電に晒される訳じゃな。

もっとも「影の支配者」はそんな感電などの生易しい代物では無いがな。


ただ無差別に殺戮を行う為だけの破壊スキルじゃ。


さて・・・最初の一撃で何人が生き残れるかな?



ーーーーーーーーーーーーーーーー



《!!!!!うう?!これは?!

ヤバい!何かヤバい感じがする?!未だかつて感じた事のプレッシャーだ!

周囲の森の全てに襲われるかの様な危機感を感じる・・・コイツは支配者級が存在する?

それでここを狙っている?!広範囲極大魔法か!!!!

いかん!急がねば!!》


オッス!オラはシュナイダー!・・・・・・・・え?しつこい?すまん、パニクッてて。

いや!ふざけている場合じゃないな!


ベヒモスと違う、何か不気味な途轍も無い存在がここを狙っているのを感じた儂は計画を前倒しする事にした。


「グスタフ公爵閣下・・・どうやら我々は海軍にしてやられた様ですぞ」


「ああ!忌々しい奴等だ!この私をこんな汚らしい場所に送るとは!ああ!暑苦しい!

海軍の奴等め!帰国したら断罪してくれよう!処刑だ!処刑!

おい!貴様!もう酒が無いではないか!早く持ってこいウスノロ!!」


公爵の威厳も何も有ったモンじゃ無い、ヒステリックな総司令官のグスタフ公爵。


クサレ国王の甥で頭が悪くて使い勝手が良く散々利用させて貰っていたが、ここで「さようなら」じゃな。


「我々ハーゲン家の兵力を持って予定していた蛮族共の開拓村を制圧して参ります。

閣下は後ほど緩りと起こし下さいませ。

閣下の為に快適な邸宅をご用意してお待ちしております」


「おお!そうか侯爵!やってくれるか!

女だ!私はエルフの美女を手籠めにしたいぞ!用意しておけ!30人だ!良いな!」


「はっ!仰せのままに」

・・・・・・・・・・・・・・・・・コイツ!マジできめえ!!

要するにエルフの女性30人捕まえて自分専用のハーレムを用意しろと言っているのだ。


ふう・・・危ない危ない、余りのキモさに危うく斬りそうになったわ!

まぁ・・・ハーレムの夢を見ながら死ぬがよいわ!


こうして戦線離脱の大義名分を手にして急ぎ準備を進めていたら、知らん傭兵団の団長が話し掛けて来た。


「侯爵閣下、僭越ながら我々も同行させて頂けないでしょうか?

これからは閣下の為に誠心誠意働きたく存じます」


ふむ・・・ここにも危機管理が出来てる者がおったか。


「何名おる?」艦隊には伯爵の兵士達も乗せるからキャパシティの限界が近いのだ。


「私も含めて284名です」


「乗船先は倉庫になるが良いか?」

キャパシティを増やす為と逃げるスピードアップの為に倉庫に有った酒やらなんやらはボンクラ公爵閣下に全部くれてやったのだ。


その人数なら無理をすれば何とか乗せられる。


「充分でございます、我らは直ちに乗船致します」

お?中々迅速な男じゃな?これは中々の拾いモンかも知れぬ。


「給料は後払いじゃぞ?」


「喜んで」


思わぬ新しい仲間が出来た儂は優雅に(内心メチャクチャ焦りまくりながら)旗艦に乗り込み緊急出航したのだった。


出航したのと同時に儂は上半身裸になり自ら櫂を手に持ち全員を鼓舞する。


「全艦!全速前進!手の空いてる者は全員、櫂でも櫓でも洗濯棒でも何でも使って死ぬ気で漕げい!」

とにかく一刻の猶予も無い!逃げろ!逃げるんじゃーーー!!

漕げい!無心で漕げええええええ!!!


人間・・・死ぬ気になれば何でも出来るモノじゃ、出航から15分で沖合8kmまで艦隊を進ませる事が出来た。


いやーーーー、久しぶりに漕いだわーーーー、これ手漕ぎでの世界新記録だろうな。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



・・・・・・・・・・・剣聖が去ったか。


では始めるとしよう・・・・・・・


既に原生林に注いだ魔力は臨界点に達している。


精神を極限まで集中させて・・・・・・


「shadow spear!!!!」


儂は注いだ魔力を全て「影槍」して効果範囲7km全域に撃ち出した。



ズガガガガガガ!!!ドガガガガガ!!!ズガガガガガガ!!ズガガガガガガ!!

「影槍」50000本がゴルド王国軍を襲う!


不意打ちなんてモノでは無い、一瞬の内に上下左右全方向のありとあらゆる影から槍が飛び出してゴルド軍の者を無差別に蜂の巣にした。


「え?・・・・・」

7本の「影槍」に全身を貫かれるグスタフ公爵、うち1本は右目から脳天を貫いている。


貴族だろうと平民だろうと誰だろうと等しく訪れた死。


誰も一言も発する事は出来ない、何が起きたか分からぬうちに即死する者、生きていても痛みを感じる時間も無かったのだろう、自らからが吹き出す血を唖然と見ている。


一拍を置き、激痛が生き残った者を襲う・・・


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!


もはや悲鳴では無く、雷鳴の様な轟音が原生林に響き渡った・・・

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