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64話 「ゴルド王国軍の反撃」

沿岸要塞での戦いから約1ヶ月、ゴルド王国軍が南の大陸に上陸に成功する。


とは言ってもラーデンブルク公国はおろか、どの勢力も領有していない南端にだが。

これは元々想定していたのでラーデンブルク公国としては万全の対策をしている。


突然要塞に艦隊突撃して来たのが逆に想定外だったのだ。

主戦力から外れている龍騎士隊イリスも案外戦果を上げているのだ。

ここに来てようやくイリスも少佐に昇進して給料アップに隊予算もアップしたのだ。


そしてエリカも中佐に昇進して各小隊長も大尉に昇進したのだ。

規模としては中隊編成から大隊編成にレベルアップした訳だ。


「でかしたよ!エリカ!最高!もうキスしちゃう!チュウチュチュチュウウウ」

自分の昇進より隊予算大幅アップが嬉しいイリス、エリカに抱きつき顔中にキスをする。


「も・・・もうやらん・・・営業マンを尊敬するわ・・・」

連日に渡り予算交渉の為に各省庁を走り回り疲れ果てたエリカは椅子に座り放心状態でイリスからのキスの嵐を甘んじて受けている。


こうして多額の予算を分捕った龍騎士隊イリスの爆弾開発は一気に加速した。

新型爆弾“イリス(改)”の生産数は遂に100発を超えた。


「何でもかんでも私の名前を付けるんじゃ無いの!てかアレ名前あったの?!

龍騎士隊の名前もそうだけど、そろそろ使用料取るわよ!

それに周りから、「全ての者に自分の名前を付けるメチャクチャ痛い女」に見られるじゃないのよ?!」


新型爆弾イリス(改)・・・いや・・・これ以上ない適切な名前だと思うよ?


そしてラーデンブルク軍の軍令会議。

クレア公爵を筆頭に軍務大臣と参加可能な将軍と提督が一同に集まる重要な会議だ。


「ゴルド王国は随分と気の長い長期戦を選択しましたな」

報告書を手に軍務大臣が先ず発言する。


ゴルド王国陸軍が上陸した南の大陸の南端はどの勢力も領有していないので手付かずの原生林が広がっている。


その上陸ポイントからラーデンブルク公国の南の国境線まで1500km以上はある。


そこを開拓しながら北進して来るのだが、自己利益優先の連中にそんな厳しい行軍など出来ないだろうと軍令部は考えている。


「・・・南の国境の防衛態勢は?」

女王クレアもそう思っているが万が一が有るので備えは万全にしておく必要が有る。


「国境線の平野は捨ててベレンガレア山脈に要塞を築いて防衛線を引いています。

国境付近の全ての開拓民の避難も完了してます」


「そうか・・・肝入りの開拓だったのじゃがのう・・・」

ベレンガレア平野の開拓はラーデンブルク公国の主要国策の一つだった。

開拓が出来ればかなり資源と穀倉地帯を得られる予定だった。


しかしゴルド王国軍の上陸に合わせて全面撤収したのだ。


「偽装で開拓した地域の畑には原木の瓦礫を撒いて、鉱山の入り口は土嚢を積んで封鎖しています。

井戸は蓋を閉じて岩を置いて、建物は全て解体して洞窟内に資材を隠しています」


「奴らにはベレンガレア平原の本当の「宝」が何なのか分からないでしょうからね。

その偽装で充分です見向きもしないでしょう」


「ゴルド軍の進軍はアガスティア川沿いに・・・ですかな?」


「他に水源が無いのでそうなるでしょうね」


侵略国家のゴルド王国には開拓の概念が無い。

ベレンガレア地方の宝が豊かな穀倉地帯なのを理解する事な出来ないだろう。

連中は出来上がった小麦の袋と加工済みの高価な宝石にしか興味が無いので小麦を作る過程や採掘現場の事は知らんのだ。


瓦礫と土嚢に隠された「宝」には露ほどの興味を示さないだろう。

もっとも連中が「ベレンガレア地方に到達出来たなら」の話しだがな。


ラーデンブルク公国にだけ目が行き南端に10万の兵力を上陸させるか。

ここは原生林地帯、そして真魔族にとっては最高の戦場じゃな・・・

今こそエルフとの盟約を果たす時が来た様じゃな、上陸して来た軍団は誰一人として生かして帰すつもりは無い。


魔王軍の支配領域に無策に足を踏み入れた事を大いに後悔するが良かろうて。

まあ、これは半年後くらい後の話しなので作戦会議に話しを戻そう。


「アガスティア川沿いに進軍・・・いやあ大変ですなぁ、敵ながら哀れですね。

私が侵攻軍の将軍だったら断固拒否してますよ」

ベレンガレア方面軍の将軍が笑う。


「?アガスティア川沿いとは、そんなに危険なのか?」

ベレンガレア地方より南は支配領域外なので女王クレアでも正確に状況を知らない。

将軍の発言に首を傾げる。


「そうですね正しく「魔境」ですよ。

古代より魔神と魔獣が住むと言われており、入り込んだ者は魔神に食われるのか生きて帰った者は居ませんね。

50年ほど前に調査に赴いた植物学者の一団150名、誰一人として帰って来ませんでした」


「なんと!恐ろしいのう・・・魔神とはな」


あっ・・・すまん・・・その「魔神」ってウチのマクシム君だわ。


あの辺ってマクシム君の修行場所で入り込んだ者は、もれなく捕まって真魔族の集落に放り込まれるんだよな。

でも捕まった奴らは全員元気一杯に生きてるから安心するが良い。


なんで捕まえるのか?それはマクシム君だからじゃ。

「我の姿を見られた以上は帰す訳にいかん!」って良く分からん理由で拉致ってくんだわ。

捕まった奴らも100%変わり者しか居ないから真魔族領で楽しくやっておるよ。


その捕まったエルフの植物学者の一団など、「素晴らしい!これが真魔族の集落!実に興味深いです!」とか言い出して、「そうだろう、そうだろう、貴様等は見どころが有る!」とかマクシム君と意気投合しちゃって今はウッキウキで真魔族領内を調べ回っているのだよ。


ほら君達、皆んな心配しているよ?早く帰ってくんない?

えっ?やだ?まだ調査したい?・・・あっ・・・そう・・・

気が済んだらラーデンブルクに帰るんじゃね?知らんけど。


それに「魔獣」話しは本当だ。あの辺りは「ヘビモス」達の支配領域なんだよなぁ。


高位存在のヘビモスは基本的に中位存在の人は馬鹿していて襲わんが10万人に土足でドカドカと自分達の支配領域に入って来られたら、さすがにヘビモス達も怒ると思うな。


マクシム君があの辺りで修行するのもヘビモス達と修行するのが目的じゃしなぁ。

魔王と同格の最高位の魔物の大群・・・

あれ?ゴルド王国軍って真魔族云々の前に既に詰んでね?

奴らは絶対にヘビモスに対して無礼な真似をするじゃろうから。


・・・・・・・・面白そうだから後で覗いて見よう。

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