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19話 「紫虫王と兎人族」

単独での山降りを余儀なくなってしまったイリス。

幼いエルフはさぞ不安だろうと思いきや・・・


「1、2、3、4、5、7、8」元気いっぱいに準備体操していた!


「ああ!でもその前に・・・」


イリスはシルフィーナから「何事を行うのもご飯を食べてから!」との教えを守って拠点に戻り野菜炒めを作り出した。


なぜ野菜炒め?それは「何となく」だ!


出来上がった野菜炒めを一口食べて「う~ん微妙な味」と自分の作った物にケチをつけ始めるイリス。


すると匂いを嗅ぎつけ先程の一角うさぎが現れた。

「アナタも食べる?・・・味は微妙だけど」

野菜炒めを差し出すとクンクンと匂いを嗅いでパックンチョする一角うさぎ。


「・・・・キュン?」《食べれなくはないけど微妙?》と言ってる正直うさぎ。

そんな微妙な野菜炒めを2人で食べ終えて。


「じゃあ私は行くね?」とイリスが立ち上がると、

「キュンキュンキュン!!!」《ここら辺の夜はここからが危ない!》と一生懸命にイリスの服を引っ張って騒ぎ出す一角うさぎ。


「危ない?魔物?」イリスが尋ねると、

「キュン!!」《そう!》と答えたので用心の為に入り口から外を伺う。


「グウウウ」不気味な唸り声が聞こえた。

ザワワワ!!イリス背中が今まで感じた事が無い寒気に襲われる!

ダイレクトに生命の危機を感じたのだ。


「うひゃあ?なぁにぃ?」恐る恐る片目だけ出して正体を探る。


そこに居たのは金色の毛並みで体長6mほどの「キングサーベルタイガー」の成獣、

Aランクの魔物が居たのだがイリスの直感は「違う!タイガーじゃ無い!」と警鐘を鳴らしている。


「ガアアアア!!!」突然咆哮を上げるキングサーベルタイガー!

しかし威嚇の方向はイリスに向かっていない。


「ゴオオオオオ!!」ズドオオオオンン!!

違う雄叫びと共にキングサーベルタイガーの前方30mに土煙が上がった!


「!!!!!むぐ?」悲鳴を上げそうになったイリスに一角うさぎが口に飛び掛かって声を殺した!


イリスが悲鳴を上げそうになったのは、土煙の中から体長20mの「紫虫王」が現れたからだ。


「紫虫」とは体が紫色のカマキリ型の魔物でこの世界を代表するどこにでも生息するザコモンスターだ。


しかし紫虫の王、「紫虫王」は別格だ!

人間達からはSSSランクと言われている「魔王」なのだ!


この「迷いの山」は最近「紫虫王」に制圧されたばかりで、復権を狙うキングサーベルタイガーが勝負を挑みに来たって寸法だ。


ドキドキドキドキ


初めて見る高位の魔物同士の対峙に心臓が高鳴るイリス。

イリスの周囲には「地龍」と言う絶対者が居るのだが理性が高く、ウッドエルフには凄く優しい龍達なので「生命の危機」など感じた事は一度も無かった。


しかし目の前の魔物達はイリスを見つけると「餌」としか思わないだろう。


「コオオオオ!!」独特の威嚇音を出す紫虫王。


「ガアアアア!!」負けじと咆哮を上げるキングサーベルタイガー。


次の瞬間!キングサーベルタイガーが先制攻撃を仕掛ける!

ガリリリ!!!不快な音を立て紫虫王の脇腹に喰らいつくキングサーベルタイガー!


バギーーーーーーン!!紫虫王の外皮を喰い破れずに両牙がへし折れる!

ズドオオオオンン!!そこに紫虫王のエルボーがキングサーベルタイガーの背中に炸裂する!


メキメキメキメキ!!背骨が折れる音と共に「ブハァ!!」大量の吐血をする、

キングサーベルタイガー。


この時点で即死したのたが、紫虫王は魔物の本能でキングサーベルタイガーを鎌でズタズタに切り刻み始める!


思う存分切り刻み満足した後は「勝利の宴」だ。


グチャグチャと強烈な不快音を立てキングサーベルタイガーだった肉塊を食べ始める紫虫王。


「ひゃああああ?!気持ち悪いよぉー!」頭の中で絶叫するイリス。


綺麗に肉塊を食べきり満足そうに、メキ、メキ、メキメキと背の低い木々をなぎ倒しながら立ち去る紫虫王。


後には血溜まりしか残って無かった。


余りにも酷い光景を見てさすがにびびったイリスは一角うさぎを抱きしめながら朝を待つ事にした。

トラウマにならなければ良いが・・・


一角うさぎは大人しくイリスに抱っこされたままだった。




翌朝目を覚ましたイリスは顔に柔らかい何かが・・・いや、覚えがある・・・

これは母親の胸の感触だ、寝ぼけた幼女イリスは赤ん坊の頃に戻ったと思い思い切り胸を吸った?!


「きゃーーーーー?!」女性の悲鳴が鍾乳洞内に響いた。


その悲鳴でパッチリと目を覚ましたイリスは、

「ふええ?ふぁに?ふぁに?」胸を口に含んだまま喋り出すと、

「きゃーーー?!喋らないでぇーーーー?!」


「プハァ」やっと胸から口を離して正面を見ると、服をはだけさせ真っ赤な顔に涙目の15歳くらいの兎人族の女性が居た。


「アレェ?一角うさぎさんと寝てたはずなのに・・・お姉さんは誰ですか?」

そう言いながらイリスは首を傾げる。


「アタシの名前は「トト」よ、君が言うその「一角うさぎ」よ」

「一角うさぎ?」言われて見ると女性の額には一角うさぎと同じ物が生えている。


聞けば山で薬草採取をしていたら紫虫王と遭遇してしまい「変化」の魔法で一角うさぎになって小さな隙間に逃げ込んだら今度はイリスと遭遇したのだ。


一旦は集落に帰ろかと思ったがイリスが心配になって戻って来たのだ。


そして紫虫王の戦いだ。

やはり少しトラウマになったのか寝入ったイリスはうなされ始めたのでトトが変化の魔法を解いて抱きしめたら落ち着いたらしい。


「そうなんだ!トトは優しいね!ありがとう!」

優しいお姉さんに感動したイリスは抱きついてお礼を言う。


「う~、可愛い」

トトは自分の胸に抱きつく幼女エルフが可愛くて思わず後ろ頭を撫でてしまう。


「それで?イリスはなんでこんな所で1人でいるの?」


「それは・・・」

イリスは昨日の経緯をトトに説明し始める、聞き終えたトトは、

「イリスは見かけによらず結構、すっ凄いのね」少し引いた。


「でもそう言う事なら兎人族の集落へ一回行く?集落は魔力障害区域から外れてるし集落までの道ならアタシでも案内出来るよ?」


「お願いします!」即答エルフ。

いやこんな千載一遇のチャンスを見逃す奴はいないか・・・


こうしてイリスは兎人族の集落へと向かうのだった。

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