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50話 「グリプス戦隊」

《おや?》


敗走して後退する連合軍を上空から監視しているエリカが何かを発見する。


「エリカどしたん?」


《あれ、グリフォンじゃない?》


「・・・・・・・・本当だね、グリフォンの旗だ」


これから接触予定の左翼に陣取り動かなかった部隊が掲げる旗の図柄がグリフォンなのだ。

2体のグリフォンが横向きで剣と盾をそれぞれ持っている図柄だ。


《へー?結構カッコ良い図柄だね》

グリフォンを掲げる左翼部隊に少し好印象を持つグリフォンロードのエリカ。


「エリカ?油断しないでね?」


《しっ、してないよ?!》少し油断していたエリカ。


すると行軍していた連合軍が突然左翼部隊に攻撃を始めた。

やはり動かなかった事が他の部隊にかなりの不評を買っていたのだ。

左翼部隊も予想していたのが猛然と反撃している。


「あっ・・・強い?」


攻撃を受けた左翼部隊だが明らかに他の部隊より強く、ドンドンと攻撃をして来る部隊を撃退して行く。


遂には全ての攻撃を弾き返してしまい、連合軍は左翼の部隊に本格的な大損害を受けて瓦解してしまい四散して壊走して行った。


「えー?何あれ?」

先程のヴィアール共和国との戦いより遥かな大損害を味方だった部隊に受けた連合軍。

突然始まった仲間割れに呆れ果てるイリス。


《連合の内容は想像以上に悪い見たいだね》


「どうする接触して見る?」


《そうだね、警戒しながら接近して見よう」


イリスとエリカは魔法攻撃を警戒しながら慎重に降下して行く。

接近するイリスとエリカに気が付いた左翼部隊、全員が目を見開いている?


「え?どうしよう?何か怖いんですけど?」


驚愕と言って良い表情の左翼部隊にゾクっとするイリス、1000人全員がイリスでなくエリカを見ているのだ。


《えっ?私が?どうしたんだろう?》


「旗から察するにグリフォンが好きなんでないの?」


すると?!ザザザザ!!と左翼部隊が突然全員がエリカに対して平伏した?!


《えーーーー?!何それーーーー?!》これには驚いたエリカ。


どうして良いのか分からない二人が上空でオタオタしていると・・・


「グリプス様の御降臨をグリプス戦隊全員感謝致します!

出来ればグリプス様に我々の願いを聞いて頂きたいとお願い致します!」

見るからに隊長らしい綺麗な鎧を着けた男が大声でエリカに話し掛けて来た。


「うひゃあ?!声が大っきい?!」


《多分、「恫喝」のスキル持ちだよ》

「恫喝」とは大きな声を出せるスキルである・・・では無く、怒声を波動にして相手に恐怖恐慌を与える「威圧」系のスキルである。


これに対抗する手段は二つ、使用者より精神的に強くなければならない。

もう一つ簡単なのは耳栓をする、これは簡単なのだか普通の耳栓は声が貫通するので対抗出来る耳栓はとてもお高い魔道具になる。


先程の戦いでも「恫喝」を使い先鋒部隊を恐慌状態にして勝利を勝ち取ったのだ。

しかしエリカに対しては攻撃意思は無く、単に声を届かせているだけの様だ。


《どうしようイリス?》


「うーん・・・・・・敵対意思は無さそうだから、エリカが嫌じゃ無ければ接触して見ようか?」


《そうだね・・・仲間の事も聞きたいし・・・》


エリカは仲間のグリフォンを探す為の目的もあってラーデンブルク公国に在籍している。

イリスと出会って40年ほど経つがグリフォンは見つかっていない。


何でもグリフォンの羽は物凄い耐寒性能が有るらしく、素材として寒冷地の国々を中心にグリフォンを乱獲したらしく、激怒したグリフォンは人々の前から完全に姿を消した・・・


もう100年は人里でグリフォンの目撃情報は無いそうだ。


天舞龍リール曰く、

「グリフォンの居場所は同族のエリカにしか教えられないよ?

グリフォン達との約束だからね。

だから、たとえイリスと言えど教える事は出来ないんだよね」

との事。


グリフォン族の人族に対する不信感は未だに凄まじいらしい。

一応リールから聞いた場所に行って見たエリカだが住処は大分前に放棄されていた。


物凄く警戒しながらジリジリと左翼部隊に近づくエリカとイリス。


エリカの声が左翼部隊の耳に届く距離まで近づくと、

《えーと?私はラーデンブルク公国のエリカと言います。

あの・・・貴方達はどちら様ですか?》と尋ねると・・・


「おお・・・なんと麗しいお声か・・・」

顔を上げた隊長はダッパダッパと涙を流していた・・・・・・・・え?やだ怖い。

と言うかエリカが喋っても驚かない所を見るとグリフォンの生体にかなり詳しいのだろう。


そう一般のグリフォンも言葉を話すのだ。


《麗しい??えーと?出来ればお名前を教えて頂きたいのですが?》

エリカも何か怖いのかメッチャ敬語になっている。


「はっ!我々はグリプス王国の戦士団、「グリプス戦隊」です!

わたくしめは、隊長のハドソンと申します!

エリカ様!これより我らはエリカ様の忠実な僕として働かせて頂きたく存じます!」

20代後半だろうか、若い隊長がハキハキと答える。


《エリカ「様」???僕??働く???

いえ・・・私は僕を募集してませんので、お気持ちだけで・・・ごめんなさい》


そうエリカが言うと一斉に1000人の隊員が啜り泣き始めた。

《ええええーーーー?!怖いんですけどーーーー?!》

もはやグリプス戦隊とやらにドン引きのエリカ、ジリジリと後ろに下がる。


《ににに逃げ逃げ・・・・》


「まあまあ・・・理由を聞いて見ましょう?ねっ?エリカ」

エリカに拒否られて、さめざめと泣くグリプス戦隊が可哀想に思ったのか怖がるエリカを宥めてグリプス戦隊から何でエリカに仕えたいのか話しを聞くイリス。


これが結構重い理由だった・・・


中央大陸の東部にある山岳地帯の国「グリプス王国」

その名の通りグリフォンを神獣と崇めて共存していた建国300年の小国だ。


「あの忌まわしい事件が起こるまで我々の国はグリプス様達と裕福では無かったですが上手く行っていたのです・・・」


「えーと?事件とはグリフォン大虐殺の事ですか?」


「そうです!強欲な蛆虫共が!あろう事かグリプス様を!」


《グリフォンを良く思って下さるのは嬉しいのですが、なぜそこまでグリフォンを?

私が言うのもアレですがグリフォンには龍種の様な特別凄い能力がある訳で無いのに?》


「大勢のグリプス様が飛び立つ時に巻き起こす風が山岳地帯を抜けて国に良い風を運んで来てくれていたのです」


《!!!あー!赤カビ病ですね?》

さすが山岳農耕民族日本人だったエリカ、これだけの会話でグリプス王国に何が起きたのか察してしまう。


「ええええ???エリカ??何?何が分かったの???赤カビ??」

イリス的には1を聞いて10解るエリカの頭の方が怖いのだ!


「さっ・・・さすがグリプス様です、そうです「赤カビ病」が発生しました!」


こうしてグリフォン大虐殺事件がグリプス王国にどんな悪影響を及ぼしたのかがハドソン隊長より語られる。

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