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46話 「変形」その2

クレアとなってしまったイリス、双子なんてレベルで無い程に似ている。


クレアは両手でイリスのほっぺをみょーんみょーんと引っ張り、自分のほっぺも引っ張る。

「ふむ・・・やはりイリスの方が弾力があるのう、若さの違いか」落ち込むクレア。


「それだけで分かるモノなんだ・・・」ほっぺソムリエのクレアに呆れるエリカ。


「ふむ・・・「変形」スキルを解除しておらん時に他から魔力を注ぐとその者に変形してしまうか・・・これは興味深い現象じゃな」


「え?なら私が魔力を注いだらイリスもグリフォンになれるんじゃないですか?」


「エリカの魔力はイリスの身体が受け付けないから無理じゃと思うが・・・

色々と試して見るのも面白いかもな・・・イリスよ?体調はどうじゃ?」


「うーん・・・まだ魔力欠乏症気味で調子は悪いですね。

ただ師匠の身体は私に馴染んでいます、魔力の消費量はさっきより全然少ないです」


そう言いながらクルクル回るクレアイリス。

おそらく同じハイエルフで同属性で眷属でもあるからだろうな。


「でもこれで、いつでも敵の手から師匠の身代わりが出来ます!任せて下さい!」


「そんな事になったら妾は泣くぞ?絶対にやめい!」


「あっ!声はイリスの声だね」エリカが本人との些細な違いを見つける。

どうやら、イリスの精度の変形では完全は100%の同化は出来ない様子だ。


「ふむ・・・鑑定の魔法を使ってもイリスだと解るのう」


「なるほど!じゃあ、どの程度ならバレないか色々と試して見ましょう!」

そう言いながら救護所から走り出したイリス。


こうなるとイリスは止まらない!あっという間に見えなくなった。


「え?ええ?!イリスよ!何をするつもりなのじゃ?待つのじゃ?!」

余りの勢いにクレアは暫し唖然している。


走り去ったイリスを見てエリカは思った・・・

「イリスが師匠に変形出来たと言う事は、質量でイリスは師匠を超えたんだろうな」と、クレアが落ち込むだろうから思っただけで声には出さなかった。


「えっエリカよ!イリスを探して止めてくれい!!」

ハッと我に帰ったクレアが叫ぶが後の祭りだ。







「ふんふんふん♪」鼻歌を歌いながら公爵邸から5kmほど離れたラーデンブルク公国中枢の省庁館の中央回廊を歩くクレアイリス。


公爵邸で全て賄うのは効率が悪いと中枢機関は交通の便が良いここに移動している。

公爵邸は戦時などに司令本部として使う事になっている。


めちゃくちゃ笑顔のクレアイリス。

単純にクレアになれたのが嬉しいらしい・・・クレアを好き過ぎなイリスなのだ。


丁度都合良く前から厳つい顔で体長3mを超える、将官の軍服を着たオーガロードのホワイトが歩いて来た。

現在のホワイトは龍騎士隊イリスより脱退してラーデンブルク公国の第三軍軍司令官の任務に就いている。

龍騎士隊イリスもホワイトの指揮下の部隊なのだ。


《よし!実験開始だよ!》

そう思いながらクレアっぽくピシッと背筋を伸ばして手を前に添えて静々と歩く、正しく女王といった動きでホワイトに近づくと、


「おはようホワイトよ、丁度良かった、少し話しをして良いか?」


そう、クレアイリスが話しかけると、超怖い顔のオーガロードの顔が少し緩み、

「イリス?何遊んでるの?へえ・・・結構良く出来た「変形」ねぇ」

低ボイスでお姉様言葉のホワイトの声がクレアイリスを貫く!


・・・・・・ホワイトに瞬殺されたクレアイリス。


ガクッと項垂れて、

「えー?何で分かったの?」ひと目でバレて凄え残念そうな声のクレアイリス。


「そりゃアタシは上位精霊でもあるからね~、すぐに分かるわよ?うふふふ。

相手を見る時は常に姿と魔力波動を同時に見ているのよ」


つまり上位精霊などの高位存在にはイリスの変形は、まだ全然通用しないと言う訳だ。


「イリスはまだ「変形」の練度が低いわ、もっと修行しないとダメよ」

準戦時下で、かなり忙しいのかホワイトは「うふふふ」と笑い、ウインクをしてから急ぎ足で軍令部の方へと歩き去る。


「うーん?姿だけ真似てもダメかぁ・・・」


腕を組み、考え込むイリスの前からロイの娘のミイが歩いて来た。


《よし!気分を変えて実験再開だよ!》素早く気持ちを切り替える。


「丁度良かったミイよ、少し良いか?」

今度はなるべくクレアに似せた声を出して見るイリス。


「はい、何ですか?」話し掛けられてクレアイリスに近づいて来たミイ。


「・・・・・」《あー!話題を考えるの忘れてたー!」クレアイリス痛恨のミスである。

見つめ合う二人・・・ミイは不思議そうに首を傾げる。


「あっ!もしかしてイリス隊長ですか?!

すみません!また行方不明になってまして!隊員全員で捜索中です!」

そう言ってペコリと頭を下げるミイ。


「うううううむ、そうか・・・イリスは仕方ないのう」

そう言ったクレアイリスの背中に汗が吹き出す!


《やっばーー!!今日、セクション3の通常訓練の日だったじゃん!

やばいやばいやばい!!》


訓練をサボった隊長が目の前で変形のスキルで遊んでいるなんてバレたら絶対にミイに怒られる!


《よし!省庁館から撤退だよ!!》


戦略的撤退を決断した、サボり隊長!・・・アホか?お主、さっさと仕事せい。


「苦労をかけるなミイよ、イリスには妾からも良く言って聞かせるから、もう少し頑張ってくれい」

絶対にバレる訳にいかぬ!!と、ここでイリスの変形の練度が急激に増した!

なんと声までクレアになったのだ!


「はい!私からもキツく!キツく言い聞かせます!」

大事は事なので二回同じ事を言うミイ・・・イリス、ミイからの説教確定である。


図らずとも、「この時のクレアイリスがクレア女王に1番似てました」と、

後に懲罰委員会で証言をするミイであった。


スタコラサッサと省庁館より逃げ出したクレアイリス。

隊員総出で捜索中との事なので、とりあえず市街地外れの公園に潜伏する。


「うーん?・・・本当はすぐに隊舎へ行くべきなんだけど・・・」

チラリと自分の顔を手鏡で見る。


クレアに魔力を注がれて変形したので自分で変形を解除出来ないのだ。


「セクション3だから、ロイとガストンが居れば大丈夫・・・よね?」

セクション3とは空中での編隊飛行の訓練で各分隊の隊長が居れば良いかな?と思うクレアイリスだが、先頭の隊長が居ないとダメに決まっている。


イリス、ロイとガストンからも説教が確定する。


参謀のエリカは今回の戦技訓練には元々参加する予定では無くセクション3の訓練を今日やる事を伝達をされてもいない。

今日は完全休養日だったのでイリスと暢気に一緒に遊んでいたのだ。


無論、部隊規模の訓練計画を女王のクレアが知っている訳が無い、「隊長のイリス」が立てた訓練計画なのだから。

つまりイリスが全部悪い。


「うーん?うーん?」

クレアイリスは考えこみ・・・そして、「戻れないのは仕方ないよね!」

と遊び続行を決断したのだった・・・おっ、お主、自分で立てた計画なのに??

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