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17話 「黒龍ラザフォード」

旅は道連れ世は情け、黒龍ラザフォードはイリスとシルフィーナの勢いに圧倒されて、

シルフィーナの背中に乗る事になった。


最初にぶっちゃけるとこのラザフォードは地球(ガイヤ)からの記憶持ちの転生者だ。


アメリア合衆国、ペンシルベニア州でロック歌手として活動をしていた時、

運の悪い事にツアーの最中に車での事故で亡くなり気が付いたら黒龍になっていた。


「なんでドラゴンなの?!」

最初はそう悲観したのだが、時間が経ち慣れて来ると、頑丈な身体で空を飛べ、

魔法生命体なので食事の必要がないとの事で「ドラゴンも悪くないわ」と思う様になった。


そして大分心に余裕が出来た時に当時旅人だったハイエルフのクレアに出会い人化の方法教わって人化に成功する。


そして前世で未練があった歌手として活動を再開した。

名前は自分が好きだったイギリスのロック歌手から拝借した。


今回はその恩返しにクレアの国で公演をする為に南の大陸に向かっている最中だったとの事だ。


黒龍は魔物達の王であり、本来なら三龍王に並べるだけの自力があるはずなのだが、

彼女は「歌と踊り」にしか興味がないので自衛が出来る程度の能力しかない。


「嫌よ!魔王だなんて 急に言われも私は知らないわよ?!」

そもそも元人間のラザフォードからしたら魔物は見た目が凄く怖いので全力で逃げ回っている。


歌手活動の再開当初、ロックと言う音楽はあまりこの世界の人々に受け入れられなかったが地道な活動の結果徐々にファンの数を増やして現在はかなりの有名人・・・

有名龍なのだ。


ここの所はずっと中央大陸の街を回っていた。

そんな時にシルフィーナはラザフォードのコンサートを偶然見かけて雷に撃たれた様な衝撃を受けた。


「「この前のコンサート最高でしたわ!」」

それ以来シルフィーナはそんなラザフォードの熱烈なファンの1人だ。


「いつも観に来てくれてありがとうシルフィーナ♪」


そんな2人のやり取りを見てイリスは思った、「みんな夢中になるよね~」と、


人の姿のラザフォードはキラキラと輝きサラッサラの長い黒髪に光加減で青くも見える黒の瞳、鼻筋がすらっとした美しい顔立ちに加えて長身に抜群のスタイルなのだ。


加えて普段の可愛い声色からは想像も出来ない迫力で熱唱するのだから注目を浴びない訳が無い。


「じゃあしばらく一緒に行動しましょうね」


「「勿論です!光栄ですわーー!!」」

シルフィーナの久しぶりの満面の笑顔に自分も嬉しくなるイリス。

やっぱり2人共今回の事はかなり精神的に堪えていたのだ。


その後はラザフォードのプチコンサートなどで盛り上がり退屈な長旅もあっという間に時間が過ぎて南の大陸上空へと入ったのだった。


目的地のエルフ達の街はここからまだ1000km以上あるので到着はまだとの事。

「そろそろ飛ぶの代わりましょうか?シルフィーナ」


「いいええ♪ラザフォード様の歌で元気は全回復しましたわ!」


世界中の風を味方につけている風竜シルフィーナは飛ぶのにほとんど体力を消耗しないので本当に元気なのだ。


「目的地まで休まず一気に行きましょう」などと5000kmの長距離飛行なのにそんな事を簡単に言える理由だ。


連続飛行能力に関しては世界で一番と言っても過言じゃないのだ。


ルンルン気分で軽快に空を駆けるシルフィーナ。

南の大陸は風が強い地域でシルフィーナにとって燃料が豊富なのでドンドンとスピードが上がる。


「シルフィーナ?!スピード出しすぎー!」


「「大丈夫ですわ!」」事故る時って大体皆んなそう言うよね・・・


「ああー!シルフィーナ!前ー?!」


ラザフォードの絶叫に前を見ると渡り鳥の群れが?!

この世界の渡り鳥はマジでデカくてゴツい!ほとんど竜だ。

前に居たのは体長15mもある大燕だ!そしてモフモフなのだ!


ボヨヨヨーーーンンン!!「ピピ?!」

大燕のお腹に激突してモフモフの羽毛に弾き飛ばされたシルフィーナ!


「「きゃああああ??!!」」


「ひゃあああ?!」


「きゃーー?!」


ほぼ無傷の大燕と違いイリス達の被害は甚大だ!

放物線を描きながら墜落していく3人!特に体重が軽い幼女のイリスは凄い遠くに飛ばされてしまう!


「いやーー!ウソーーー?!」

あっという間にシルフィーナとラザフォードが見えなくなってしまう。


このまま地面に激突してしまうと死んでしまう!!


「あわわわ!!「浮遊!!」」必死に魔法で浮き上がろうとするもスピードがあり過ぎて浮き上がれない!


だが勢いは大分軽減されて来た!「イケる!」そう思ったイリスは再度「浮遊!」と二重に浮力を唱えると徐々にスピードが緩んで静止した。


「ふう~、危なかったぁ」ホッと息を吐くイリス。

空を飛ぶ事は出来ないのでゆっくりと自由落下して行く。


「でも・・・普通はこう言う時って」

イリスは下を見て「やっぱり川があるよねぇ」と呟く。


エルフの成瀬川土左衛門が確定した・・・


近づく水面にイリスが叫ぶ!

「そんな訳ないでしょぉーーー!」トボーーーン!!

哀れ幼いエルフは川に落ち流されて行く・・・・・・・・おや?


「山育ちを舐めんなぁーー!」

見事なクロールで岸を目指して泳ぎ出したイリス。


凄いぞエルフ!後少しだエルフ!もう少しで岸だエルフ!と言う所で!


パックンチョオオオオ!!大きなお魚さんパックンチョされたぁ?!

ああ・・・もはやこれまで・・・


「だから!舐めんなぁってのぉ!!」

なんかどっかで見た画像の如くお魚さんのお口をギリギリとこじ開けるイリス!


「てえええいい!!」足に魔力を込めて力任せに緊急脱出に成功するイリス。

クルンと一回転して岸に着地する!10点満点だ幼女エルフ!


「はあはあ・・・危なかったぁ・・・」Orzなイリス。

逆境に異常に強い事が判明したイリスだが更なる逆境が襲う!


「もぉ、ここどこぉ?」子供らしく迷子になってしまったイリスだった。

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