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42話 「大空中戦」その1

エルフ真魔族同盟締結から3ヶ月後、いよいよ龍騎士隊イリスが行動を開始する。


活動開始が遅くなった理由は隊員編成の再構築の為である。

当初こそエルフ族のみで編成されていたがイリスの意向で隊員を全亜人種に拡大したので一気に人員が集まり編成に時間が掛かったからだ。


時間は掛かったが、亜人の新兵達は、イリスのしごきとエリカの戦術指南を受けながらメキメキと強くなり戦力強化は十二分に成された。

イリスもエリカも通常時は、とても優秀な指揮官と参謀なのだ。


さて!ならば実戦だ!!とはならない、まだまだ訓練有るのみ!

今日の訓練の手始めは天龍達との模擬戦だ!


ええ?!天龍?!


「むむむむむむむむむむむ無理ですよ!隊長!」


「大丈夫、大丈夫」今日は久しぶりにブリックリンに乗ってるイリス。


「何が大丈夫なんですかぁ?!」涙目の兎人族の隊員、他の隊員もガクブルだ。


隊列を組み、雷竜と飛竜に騎竜している龍騎士隊イリス隊の500名弱。

その前には、横並びに天舞龍リールが率いる天龍の龍戦士が50名強が、龍騎士隊と合い対しているのだ!


やったね!数の上で10倍だ!・・・これは・・・勝ったな!儂は飯でも食って来るか。


いや、しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これは酷い!

いきなりの実戦の方が遥かにマシなくらい余りにも酷い!

多分、1000回死んでも勝てない絶望的な戦力差と言えよう。


そんな中、中央の蒼い龍、天舞龍リールが遂に口を開く!


「「さあ皆んな準備は出来たかなーーー?!」」


「クエエエエ!!!」「キュウウウンン!!!」「ケエエエエ!!!」


「はーい!」と言った感じに一斉に鳴き始める雷竜と飛竜達。


「「じゃあ、いつもの様に私達は逃げるから皆んな協力して考えながら追っかけてね!」」


「キュインキュイーーン!!」「クエクエエエエ!!!」


「分かりましたーー!」と言っている様子だ。


これは竜達の飛行技術向上訓練と龍と竜の交流を兼ねて定期的に開催している天龍達との「追いかけっこ」だ。

ブリックリンがリールから今日開催すると聞いて飛び入り参加させて貰ったのだ。


既に龍騎士隊と関係無い竜達との追いかけっこは、終わり特別にもう一回やって貰える事になっている


良く見ると周囲には飛竜や雷竜がたくさん飛んでいて興味深そうに見学している。

龍騎士隊イリスを気に入ってくれたら勧誘をするつもりだ。


「よよよよ良かった~」戦闘訓練では無いと分かり安心して、へにゃへにゃする隊員達。


「「今日は背中に龍騎士を乗せてるからね!絶対に落とさない様に!

上の人と上手く呼吸を合わせてバレルロールを行って下さい!」」


「クエエエエ!!!」「クエクエエエエ!!」気合いが入る雷竜と飛竜達。


「ええ?!バレルロール?!」かなり本気の飛行訓練と分かりピシッとする隊員達。


「面白そうだねブリックリン!私達はリールさんを捕まえるよ!」

ワクテカイリスは狙いを天舞龍リールに絞る!!


「「いや無理だから」」

勝手に目標を決められても実際に飛ぶのはブリックリンだがな!


《先生!魔法の使用は「可」なのでしょうか?!》

珍しくグリフォンロードの姿でロイを乗せたエリカがリールに質問をする。

要するに風魔法で「ターボ」を入れても良い?と聞いているのだ。


「「それは構わないわ、でも魔法を使った急加速は周囲に乱気流を発生させるので密集状態での使用は「不可」ね」」


《はーい》


《先生!捕縛魔法の使用は「可」なのでしょうか?》

今度は、ガストンを乗せ風竜の姿のシルフィーナが質問をする。


「「うーん?・・・趣旨は違うけど面白そうだね。OK!良いよ」」


《はーい》


「「質問は以上かな?最低高度20mは必ず守る事!超低空飛行は原則禁止です」」

衝突回避とかの理由が無い限り超低空飛行はダメと言う事だ。


「「ルール違反をした子は次は参加出来なくペナルティになるから気を付けてね!

じゃあ!開始30秒前!」」


「よーし!行くよ皆んな!相手は横一文字だから雁行の陣形かなエリカ?」


《うん、それで良いよ~》


イリスの指示で、もたつきながら陣形を組み始める龍騎士隊イリス。

この調子では、まだまだ実戦は遠いな。

組む陣形はダブルスのテニスでお馴染みの「雁行の陣形」だ。

テニスでは後衛が防御、前衛が攻撃の陣形だが、戦場では波状攻撃に優れた陣形なのだ。


「「おや?」」

陣形を組み始めた龍騎士隊イリスに首を傾げるリール。

絶対強者の天龍には陣形の概念は無い、基本はお互いに距離を空けて衝突しない程度の隊列しか組まない、なので横一文字の陣形なのだ。


「「空で陣形を組むのは初めて見ましたが実戦で有効なのでしょうか?」」

リールの隣で飛んでいる男性の天龍の龍戦士がリールに質問すると、


「「うーん?高低差もあるから難しいと思うよ?よーし!!スタート!」」


一斉に天龍達目掛けて飛んで行く龍騎士隊、それから手前で一回上空に大きく上がり右から順番に降下しながら波状攻撃をして行く。


爆撃機で良くやる挙動だね「敵機直上!急降下!」ってヤツだ。

勿論、エリカのゲーム脳の賜物だ。


「「おお?!」」

相手の降下速度を見誤って予想外に詰められ慌てて逃げる1番右を飛んでいた天龍。


《よし!!ここ!!後衛!!》

エリカの指示で後衛部隊も降下開始する!


「「お?!おお?!」」あっ!という間に波状攻撃に追い込まれて捕まった天龍。

「グエエエエエエ♪♪♪♪♪」生まれて初めて天龍を捕まえた雷竜は大喜びだ。


「「あれぇ?いきなり捕まった?!!!!おーっと!!」」

よそ見していたリールにブリックリンが突っ込んで来て、それをギリギリかわすリール。


「ああ~ー!!惜しいぃ!!」メチャクチャ悔しがるイリス。


「「忘れてたよ、君が居たねぇブリックリン」」

クルンクルンとバレルロールしながら方向転換するリール。


「行くよ!ブリックリン!って何してんのぉ?!」

リールの絶妙な挙動について行けなくてコースアウトするブリックリン。


「「いやだから無理だってイリス、相手はあのリールさんだよ?」」


「情け無い事言うなぁ!元天龍だろ!私が魔法で加速させるから根性見せろーー!!

龍騎士ブリックリン!!行くぞーーー!!」


「「えー?本当に無理を言うなぁイリスは・・・」」

完全に鬼軍曹モードに移行したイリスに苦笑いのブリックリン。


しかし正確には「天龍系」であって、元天龍では無い元黒龍王のブリックリン。

しかも黒龍王時代でも力任せの大味な飛行しかしていなかったのだ。


ブリックリンとリールの一対一の追いかけっこが始まった瞬間!


「キュウウウンンキュインキュイン♪♪♪」飛竜にまた1人の天龍が捕まる。

「「あれえ?何でだろ??」」捕まった天龍は不思議そうな顔をしている。


これは距離感の錯覚を利用している。

前衛の部隊が早く大きく動くと後衛の部隊が遠く見えるのだ。

その隙を付いて後衛の龍騎士が風魔法で竜にターボを掛けて一気に距離を詰めたのだ。


そして陣形が雁行の陣形なので・・・


「「あら?捕まってしまったわ??」」


「「え???俺も?」」


「「あっちゃあ~?油断して無かったんだけどなぁ」」


連鎖して襲い来る波状攻撃で次々と龍騎士に捕まる天龍達。

開始5分で7名の天龍を捕獲する大金星を上げた龍騎士隊イリスだった。

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