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16話 「エルフ達の街へと」

「じゃあお父さん、お母さん、イリスは行って来ます!」

そう言って両親に抱きつくイリス、今日は南の大陸へ行きハイエルフのクレアの元へ弟子入りする日だ。


母親がイリスを抱きしめてイリスと母親を抱きしめる父親。


「しっかりとクレア様に仕えるのですよ」


「辛くなったらいつでも家に帰って来なさい」

そう言ってギュウウウと抱きしめ合う親子の3人、いつまでもそうしている訳にもいかないので父親が、

「頑張って来なさい」とイリスの頭を撫でる。


「はい!行って来ます!」今度は振り返る事なく家を飛び出すイリス。

昨日の夜にユグドラシルとシルフェリアに旅立ちの挨拶をしたので、このまま南の大陸に直行するつもりだ。


竜化したシルフィーナの背にヒョイと飛び乗るイリス、

ここ一年ばかりの修行で体力も筋力もついたのだ、ヨジヨジと危なっかしく登る

クライマーイリスはもう居ないのだ。


「「もうよろしいのね?行くわよイリス!」」


「はい!シルフィーナ!」


ヒューフオオオオンンン!!風がシルフィーナを包み浮力を得て空にあっという間に浮き上がり、「「加速!」」今度は後方に風の魔力が放出されて前進をする。


ある程度のスピードが出ると自然の風を捕まえて一気に大空へと。


当初は天舞龍リールが送って行く予定だったがシルフィーナが、

「道筋をちゃんと覚えたいから、わたくしが送るわ」と志願したのだ。


「「寒くない?」」


「だいじょーぶ」イリスのその声を聞きドンドンと加速するシルフィーナ。


「「海岸線で嵐が発生しているから迂回しますわね」」


「はい!」


若干の西周りのルートを行く予定だ、到着予定は15時間ほど。

途中で野宿するなら一気に行ってしまおうとのシルフィーナの提案でノンストップでエルフ達の街へ行く。


「エルフ達の街って森の中にあるの?」

一回下見をしてクレアに挨拶をしたシルフィーナにイリスが尋ねる。


「「そうですわね・・・半分は森ですけど海岸線に沿った平地に作られた街でしたわね、大きな街でしたわ」


「クレアさん・・・クレア様ってどんな人・・・どんな方なのですか?」

そろそろ言葉使いに気を付けないとボロが出そうなので敬語に切り替える。


「「う~ん・・・典型的なハイエルフで神秘的な方でしたわ」」

神秘の塊の風竜シルフィーナが言う神秘的とは?と思うイリス。


「「とりあえず、わたくし達は郊外の家に行き形式上での面接試験を受けます。

イリスは侍女、一応は公務員扱いらしいので」」

侍女と言うより正確には女官候補生採用と言って良い。


「公務員?エルフの街は国になったのですか?」


「「ええ、大分前に国家を形成したらしいですわね。

特に吹聴する理由も無いので中央大陸で知ってる者は少ないそうですわ」」

南の大陸のエルフ達は明確に人間とは距離を置いているのだ。


女王クレアの「何か嫌な予感がしますねぇ」との予言を根拠に人間達に国家設立を隠蔽して偽情報を流したからだとも言える。


そしてその予言は的中してエルフと人間の国家は益々疎遠になるのだが、それは少し未来の出来事だ。


「国かぁ、たくさん人居そうだね!」


「「イリス?言葉使い」」


「ああ!たくさんの人が居そうですね」油断するとまだまだ地が出るイリス。


「うふふ、よろしい」


「えへへへ・・・」少し恥ずかしい様子のイリスだった。


こうして和やかに空の旅をしていた2人だが、そろそろ中央大陸を抜ける頃か?と言う時にシルフィーナの落ち着きがなくなった・・・


「シルフィーナ?どうしたのですか?」


「「いえ・・・あの、ちょっと」」しどろもどろのシルフィーナ?

「???」頭が「?」でいっぱいのイリス。


すると、一瞬空が暗くなる、何者かが日の光を遮ったからだ。

イリスが顔を上げるとその者は居た。


黒龍、ラザフォード。


龍でありあながら龍種とは違う単一の存在だ。

体長20mと龍の中でもそこまで大柄では無いが黒い鱗が日の光を受けて虹色に輝く姿は美しい・・・


「「きゃーーーーー♪♪♪ラザフォード様ぁーーーー♪♪♪」」

突然のシルフィーナの歓声にめっちゃ驚くイリス。


なんだ?どうしたのだ?シルフィーナよ!キャラ崩壊か?!

と思ったら単純に黒龍のファンだった・・・あ、さよですか。


「「あらぁシルフィーナちゃん、久しぶりねぇ元気だった?」」


名前と姿から想像も出来ない凄く可愛い声がした?!どうやら女性な様だ。

単一存在なので性別は無いが女性寄りと言う訳だね。


「「今から南の大陸に向かいますのぉ、ラザフォード様はぁ?」」


イリスは思った!「シルフィーナの話し方が気色悪い!」と・・・

風竜シルフィーナがアイドルの追っかけが趣味と言う衝撃の事実を知ってしまった

イリスだった。


「「へ~そうなんだ?偶然だねぇ。

私も南の大陸に向かってる途中なんだ、一緒に行く?」


「喜んでーーーーー♪♪♪」イリスの同意無く勝手に即答するシルフィーナ。


「「わわ、わたくしが飛びますからラザフォード様は背中にお乗り下さい!」」

またイリスの同意無く勝手に決めるシルフィーナ。


ラザフォードは「一緒に飛んで行く?」と誘っただけなのに。


「「ええ?!でも・・・」」イリスを見るラザフォード、普通に常識人の様子だ。


「初めまして!私はイリスと言います、よろしくお願い致します!

ラザフォード様!よろしければ私の隣にお座り下さい!」


他ならぬ友人のシルフィーナの願い叶えてやらねば!

そう思い勢いで押し切る事にしたイリス。


「「ええ?!あっ!私はラザフォードと言います、よろしくねイリスちゃん」」


イリスとシルフィーナの攻撃にタジタジのラザフォードだった。

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