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15話 「ハイエルフになる為に」

シルフェリアと精霊契約をする為に自分が「大精霊」と匹敵する存在になる。

それはイリスが「ハイエルフ」になる事を意味する。


実はイリスは自分が「ウッドエルフ」である事にもの凄い誇りを持っていた。

それはもう・・・ウッドエルフを馬鹿にされると3秒でキレるくらいに・・・


その誇りがハイエルフになる事を拒み続けていたのだ。

これは本来、イリスは世界から「ウッドエルフの守り手」の役目を与えられて誕生したからである。


結局その事に気付く事は無かったが・・・


しかし、シルフェリアとまたお話しがしたい、その一心でイリスはハイエルフになる選択肢を取った。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

両親が自分にくれた「ウッドエルフ」の種族を捨てると両親に告白したイリスは母の胸の中で泣きながら謝り続けていた。


ハイエルフになった時点でイリスは両親と同じ時間を歩む事は出来なくなる。


現時点でハイエルフの寿命は「不明」、ハイエルフがこの世界に現れて15000年、ハイエルフの誰1人、老衰で死亡した者が居ないからだ。


後にハイエルフの寿命が20000年~25000年と判明するまでに、まだ10000年の時間が必要になる。


「良いのよイリス、あなたが思うままに生きなさい」

自分の胸でギャン泣きする娘の背中を優しく撫でる母親。


「そうだぞ、ハイエルフだろうが何だろうが俺の娘だからな」

横から父親がイリスの頭を撫でる。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいいいい!!!」

イリスは泣き疲れて寝るまで両親に謝り続けたのだった・・・


 


「こんな女の子を泣かして!精霊契約の前に消えたら絶対に許しませんわ!

イリスも頑張っているのです、頑張って下さいましシルフェリア様!」


契約精霊のシルフィーナはイリスの感情をダイレクトに感じる事が出来る。

また2人を会わせてあげたい気持ちが憤慨と言う形で出る。


シルフィーナさん・・・貴女はツンデレさん、ですよね?




翌日、天舞龍リールがイリスにマナーを教えに来た。

神話の女神様の自宅訪問に気を失いそうになるイリスの両親。


「こんな物かなぁ」と大量の教材を持って来たリール。

イリスは食い入る様に本を読んでいる、単純に内容が面白いのだ。


「普通、子供はこの手の本は嫌がるんだけどねぇ」と笑うリール。


「あの・・・イリスは今後どうなるのでしょうか?」

母親としてはそこだけが気になるのだ。


「んー?、そこは師匠になるクレア次第なんだよね・・・

ここに帰りたい時は私が送り迎えるするから問題無いんだけど・・・」


「クレア様はイリスの事を気に入って下さるでしょうか?」

ハイエルフはウッドエルフから見たら雲上人だ、イジメられやしないか不安で仕方ない父親。


「大丈夫だと思うよ?

イリスの事を話したら今日すぐ連れて来て欲しいって、かなり先走ってたから。

あの子は子供が大好きだからねぇ」

んー?と少し考えて・・・


「だから「師匠」としては少し不安があるんだ厳しく指導出来るかどうか?」

そう言って笑うリール。


「ああ、そうだイリスはクレアの「侍女見習い」って事になってるから」

そう言ってから真剣な眼差しで両親を見つめて、


「次にイリスに会う時はハイエルフになっていると思う。

髪や瞳の色も変わると思う・・・出発までに目に焼き付けておいてね」


つまり茶色の髪と瞳のイリスにはもう会えないのだ。

覚悟はしていたが変わるだろう娘を見つめる両親だった。


その後、1か月間はマナーの勉強を頑張ったイリス。

天才イリスは飲み込みが早いので日に日に言葉使いや仕草が洗練されて行く。


何故かリール先生のマナー講習に毎回同席するシルフィーナ。


リールが「なんで?」と聞くと、「わたくしも一緒に行くのに決まってますわ」と答えるシルフィーナ。


「森の管理は?」と聞くと、

「ユグドラシルの森の全域は地龍に支配権を譲渡致しましたわ。

これからは「地龍王の山」と呼称が変わりますわ」との返答が返って来る。


少しづつユグドラシルの滅びの後の準備を進めていたシルフィーナ。

心配していたのは「異界門」の事だ。

自分1人ではとても管理が出来ないと悟り、地龍に管理をお願いしたのだ。


「そっか・・・本当に新しい時代が来るんだね」

ここより先は龍種が世界を支配する時代が来る、霊樹の時代は終わったのだ。


「お待たせ致しました」

そう言って両親に紅茶を出すイリス、両親で覚えた事のおさらいをしている。


しかし!ここでイリスの意外な弱点が判明した。


紅茶を飲んだ両親の顔色が青くなる、イリスは紅茶の淹れ方が下手なのだ。

と言うか実はイリスが作っていたエルフのスープも結構ヤバい味だった。


料理がド下手クソなのだ!


「まぁ、一つくらい弱点があった方が可愛げがあるよ」

リールはイリスが淹れた紅茶を飲んで・・・

「う~ん・・・なんで渋くなるんだろう?」と首を傾げる。


「もしかしたらイリスの魔力波動に原因があるかも知れませんわ」

そう言って何事も無く紅茶を飲むシルフィーナだが?


「ごめんシルフィーナ・・・私また失敗しちゃった」と謝るイリス。

マナー勉強の結果、イリスは自分呼びを止めて「私」と言う様になった。


「わたくしは苦い飲み物は問題ありませんけど、練習あるのみですわイリス」

シルフィーナは普段から苦いお酒を飲みまくっているのでこの程度の苦味はまるで問題にならないのだ。


「紅茶の淹れ方以外はもう完璧だね。3日後にクレアの所へ向かうわ。

皆んな準備しておいてね」


遂に南の大陸に向かう日が来たのだ。

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