表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/266

外伝!「黒龍ラザフォードとマッドサイエンティスト」その9

プチプチライブの後のドミニクの働きはそれはそれは凄まじかった・・・


正しく敏腕マネージャーと化してスパイ時代の知識と経験を活かして王都にある全ての広場や空き地、ライブが出来そうなスペースをあっという間に調べ上げてしまう。


「コソコソとゲリラライブをする必要はありません。

ラザフォードは堂々、粛々とスターダムの道を駆け上がるべきです」

何故だが最近かけ始めた伊達メガネがキラリと光る。


そんな事を言い出してドミニクはその地区の行政官からライブ開催の許可を正式にもぎ取り地主との借地交渉を済ませて次々とライブを行政公式で開催してしまうのだ。


準戦時下体制で荒んだ街の雰囲気をどうにかしたい役人達もラザフォードの素晴らしい歌に感化されて全力でそれに乗っかった!


「出来ればこの街の楽団をお借りしたいのですが?」


「分かった、手配しよう」


ドミニクの交渉術で最大の懸念だった伴奏問題も解決してしまう始末。

さすが行政から派遣された楽団、テンポの早いロックのビートにもすぐ対応出来てしまう。


「我々も楽しくなって来ましたよ~。

この歌唱力!これはイケる!イケますよ!ラザフォード!」

演奏する機会が無く鬱屈していた楽団もめっちゃ喜ぶ。

そして実力があるラザフォードは奏者からも音楽家としても認められた様子だ。


「よろしくお願いします!」

フルオーケストラの中で歌うのがラザフォードの夢だったのだが、ドミニクはアッサリとその夢を叶えてしまう。


そんな敏腕マネージャーのドミニクは全然止まらない。


「出店とかがありお客様が飲食とかも出来れば尚良いのですが?」


「分かった、手配しよう」


ドミニクの手腕により最早、ラザフォードのライブは、その地区でのお祭りの様相を呈して来る。

そして楽しみがメチャクチャ少なかった王都の住民もそれに全力で乗っかる。


「きゃーーーーー♪♪♪♪ラザフォードーーーー!!」


「えへへへへへ♪♪♪♪」

道を歩くだけで起こる女性ファンからの声援に嬉しそうに笑顔で手を振り答える。


意外な事にラザフォードの歌は女性・・・特に若い女性に大いにウケた!

前世では男性ファンの比率が高かったが今世では女性ファンを大勢獲得出来た。


こうなればラザフォードの気合いも最高潮になる。

かなりハードな公演日程も黒龍の体力が有ればなんて事も無い。

観客の歓声に熱唱で答え続けるラザフォード。


こうなると色々なヤッカミが発生する。

当然、この手の興行をとり仕切るマフィアが真っ先にチョッカイを掛けて来た。


「おうおう!テメェら誰に断って王都でライブなんてしとんじゃい!」

いや・・・これマフィアじゃ無くチンピラ・・・


街を歩いていたら20人程のチンピラ達に囲まれてしまうラザフォードとドミニク。


「なるほど、分かりました。

ここでは市民の皆様に迷惑が掛かりますから人が居ない所へ少し顔を貸して頂きましょうか?」


「お・・・おう?上等じゃねぇか!」

ドミニクのまさかの発言に困惑気味のチンピラ達。


「えええええーーー??!!」


チンピラから売られた喧嘩を全力で買ってしまうドミニクだった。

その事に対して滅茶苦茶驚いたラザフォード。


そして王都の外の森へと向かう一行。


「良いの?ドミニク?」

20人のチンピラに囲まれている状況だがその気になればチンピラ達を瞬時に肉塊、いや、消滅させる事が出来るのでラザフォードは全く怖がっていない。


「ええ、勿論ですラザフォード。そろそろ次の段階へと向かうと頃だと思うので」


「次の段階?」


「ラザフォードが黒龍王だと公表する時期だと」


「ええええええーーー??!!」


「おうおう!何デケェ声で内緒話しをしとんのじゃい!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ?!黒龍王ってナニ?!」


チンピラ達にモロ聞こえのコソコソ話しをしながら目的地に到着する。


到着するなりドミニクが、

「ではラザフォード。黒龍王化をして下さい」とお願いして来る。


「本当に良いの?ドミニク?」


「勿論です」


本当かなぁ?と言った表情のラザフォードだが言われた通りに、ボウウンン!!と、

人化の法を解除する。


「ふえ?」「えっ?」「おおう?!」「はあ?!」「んな?!」


チンピラ達の目の前に突如現れる威風堂々たる黒龍王・・・


「ご覧の通り、貴方達が脅迫している相手は世界の覇者である黒龍王様です。

はてさて、この不敬・・・どの様に責任を取るおつもりなのですか?」

キラーーンとめっちゃ光ったドミニクの伊達メガネ・・・


シーン・・・・・・・・・沈黙が周囲を支配している・・・


幻影だ!とかハッタリだ!とかの声は起こらない。

今はチンピラとは言え元は傭兵だった連中、魔力感知程度は出来るのだ。

目の前の存在から感じる絶望的な莫大過ぎる魔力に声も出せない・・・


「さて?いかがなされますか?」

再度のドミニクからの問いかけに全員がビクン!と跳ねてダラダラと全身から脂汗を流し始める。


「ご理解頂けた様子で何よりです。

実はですね?黒龍王様には人手が足りて無いのですよ。

貴方達、ラザフォード様のスタッフとして働きませんか?」


「「ええええええーーー??!!!」」


ドミニクの本当の目的がライブスタッフの「勧誘」だったと分かりめっちゃ驚くラザフォード。


そう・・・ドミニクは人手不足に本気で悩んでいたのだ。

そんな中、わざわざ自分から飛び込んで来たチンピラ達・・・


拒否が出来る訳が無いチンピラ達はめでたくラザフォードのライブスタッフとして再就職する事になったとさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ