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14話 「二重の精霊契約」

「シルフェリアの魂の保護は出来ないの?例えばイリスに憑依させるとか・・・」


何としてでもシルフェリアを助けたいイリスの気持ちが伝わってくる。

しかしリールは首を横に振る。


「条件が合えば奇跡的な確率で可能・・・かも?知れないけど失敗すれば彼女の魂は穢れて忌神となるわ・・・

君は大事な友達にそんな博打を打つの?」


手厳しいリールの指摘に、「イリスには無理」と答える。


「んん?でも、憑依の発想は使えるかも?」

何かを閃いた様子のリール、「ああ・・・でも」と言葉を引っ込め様とすると・・・

「何でも良いの!教えて!」当然食いつくイリス。


「んー・・・擬似憑依と言うべきか・・・

「霊視」と言うスキルにシルフェリアの思念だけ憑依させるの、そうすれば意思の疎通だけは可能になると思う」


「霊視!!イリスにも使える!」


「ただし幾つかの条件と問題点があるわ。


1、身体の崩壊を抑える訳で無いから身体が朽ちた時点でそれも終わる。


2、霊視の能力を上げる為にシルフェリアとの「精霊契約」は必須。


3、終わりの時に絶対に引き留めてはならない、未練で転生出来なかったら忌神へ

まっしぐらよ!絶対に駄目!笑顔で送り出しなさい。


4、シルフェリアは睡眠状態の「夢」の様な物だから転生しても「霊視」の時の記憶は残らないと思う。


5、ここが本当の問題ね、力を失っているシルフェリア主導で精霊契約が出来ない

以上、君の方が「加護」を与える側になるわ。

つまり「大精霊」に匹敵する力を君が持たないとならない。


これだけのリスクを君が負うのなら可能だと思うわ」


「イリスはやります!!」即答だった・・・


それを見てリールは、「こんな子供にそんな負担掛けて良いのかしら?」と自問自答をする。

しかしリールは「龍眼」でイリスの潜在能力を正確に見抜いていた。


「この子はなぜ、ハイエルフで無いのかしら?」シルフェリアと同じ疑問を持つくらいに強大な魔力を内に秘めているのだ。


「もっと色々と知りたいです、リールさんの弟子にして下さい!」


考え事に没頭していたリールはイリスの声をスルーしそうになり・・・

「ん?君は今なんて?」と聞き返すと、

「リールさんの弟子にして下さい!」と言葉を繰り返すイリス。


「弟子?・・・う~ん、それは駄目ね。

君に問題がある訳じゃないのね?天龍はエルフを指導するのに向いてないの。

力の使い方が違い過ぎて君が無理矢理合わせそうとすると身体を壊すの」


特にイリスはウッドエルフなので天龍との相性はイマイチだ。

地龍・・・樹龍辺りなら相性が良いが、やはり人間かエルフの師匠が好ましい。

シルフェリアでも師匠の適正の点ではギリギリと言った所だったのだ。


「うう・・・そうなんだ」残念そうなイリス。


「でも良い師匠を紹介して上げるわ」


「リール?それってわたくしですか?」

目がキラキラと輝いて来たシルフィーナだか・・・


「シルフィーナが今後もイリスに協力するのは当たり前なのよ?最後まで付き合いなさい・・・ああ!それを今回の罰にしようか!

ただ風竜もエルフの指導者に向いてるかと言えば違うでしょ?」


「むう、そうでしたわ」


「なのでエルフにはエルフ、知り合いの「クレア」にイリスの指導役をお願いして見るわね」


「クレアさん?・・・どこかで名前を聞いた事があった気がする」


「そうだろうね、クレアは南の大陸でのエルフ達の女王の様な感じだからね。

近々正式な国を作るんじゃないのかな?」


「女王様がイリスの師匠になるの?!」大きな目を更に大きくして驚くイリス。


「でもエルフの本国に行くのに、そのマナーじゃ駄目ね・・・そこは私が教えて上げるわ!」天舞龍リールの裏の顔、彼女は「有能なメイドさん」なのだ。


あまりにも「メイドさん」活動に没頭し過ぎて父親の天龍王アメデから怒られて、

今回のプチ家出中だったりする。


「わたくしは何をすれば?」


「シルフィーナは「色々と全般」よ!イリスの契約精霊でしょ?

今回は二重契約って離れ技になるんだから多分シルフィーナは大変よ?」


「あ・・・そうですわね。

二重契約か・・・色々と勉強しなければならない事が多すぎますわね。

シルヴァーナ様と相談しないといけませんわね」


二重契約・・・概念では可能だが実践で可能なのかは分からない。

あまりやるメリットが無いからだ。

なので詳しい事を知っている者が居ないのだ。


「たくさんの精霊と契約を結んで方が強くないかい?」との疑問には、

「欲張り過ぎると良く無い」と答えます。


複数の違った魔力波動が身体を駆け巡ってしまうのだ。

人間的には色々な血液型を輸血されると一緒だ、かなり高確率で不調、最悪死亡なんて事態になっても不思議じゃ無い。


それに対応出来る者は「勇者」しか居ないだろう。


起こる可能性の高いイリスの体調不調をフォロー出来るのは契約精霊のシルフィーナしか居ないのだ。

「責任重大ですわね・・・」


「でも・・・その間、シルフェリアは?」


「現状打つ手無しね。

と言うか地龍王クライルスハイム様が出来る限りの応急処置をして下さったので、

これ以上の処置を施せる者が居ないわ」


残された期限は20年~30年、人間には長いがエルフにはあっという間だ。


またシルフェリアとお話しがしたい!

その思いだけでイリスは前に進む決心をする。

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