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外伝!「黒龍ラザフォードとマッドサイエンティスト」その6

「うわあ!人間の街だあ!」

ハイエルフのクレアとの修行の末、「人化の法」を習得して人間の姿を手に入れた黒龍王ラザフォードは最近出来た新興国ピアツェンツア王国の首都へとやって来た。


空を飛べば半日程で到着出来る距離だったが急ぐ旅でも無く、旅先の村で街頭ライブを行い投げ銭を貰いながら旅費を稼ぎながら北上して来たので到着まで実に4ヶ月掛かった。


しかし旅費と言っても・・・「食事代も宿泊費も必要無かったのよね・・・」

ラザフォードは改めて自分が人外だと思い知る旅でもあったのだ。


何せ黒龍王の身体は食事を必要としない。

食べる事も出来るがそもそも胃袋が無かった・・・食べた食料は口の中ですぐに消化されて魔力となって身体へと吸収される。


当然、トイレも必要無い、これは有り難い。


何より口からの固形物の食事だと効率が凄く悪いのだ、黒龍王ラザフォードの主な食料は大気に漂う魔力なのだ。


でも元人間のラザフォードは味に飢えている、幸いな事に味覚はしっかりとあったので嗜好品として食事をしている。


「おお!これが定番の謎肉の串焼きか!」

日本のファンタジー小説にあった大きな街にある屋台の謎肉の串焼きをゲットしてご満悦のラザフォード。

モグモグして見たら、「うん、焼き鳥だわこれ」普通の鶏肉だった。


焼き鳥を食べながら街を眺めてどこでゲリラライブをやるか考えるラザフォード。

学生時代はよくこうやって街頭ゲリラライブを良く行っていたのでゲリラ活動はお手のモノなのだ。


「狙いは大通りの広場なんだけど・・・」


人通りが多い大通り広場を狙うラザフォードだが今まで経験上、「ここでライブをやると警察に捕まる!」の気配が漂っている。


「何か街全体がピリピリしているんだよね・・・」


ハイエルフのクレアから現在の中央大陸は情勢不安定だとは聞いていたが今迄の旅程では特に異常は感じられ無く、ロックコンサートをやっても人々に「変わった音楽だなぁ」と言われるだけで拒絶される事も無く順調に布教を進めてこれた。


しかしここに来て初めて戦争の気配を感じている。

実家があったペンシルバニア州のフィラデルフィアは大きな街で多様な人種が住む街で結構戦争絡みのデモ活動が多かった。


街の雰囲気が街で見かけたデモ隊の雰囲気と同じなのだ。


ちなみにラザフォードが通っていた大学はユニバーシティパークにある州立のペンシルバニア大学では無くフィラデルフィアの私立ペンシルバニア大学の方ね。


「うーん?これは協力者が居ないと厳しいかな?」

自分自身の努力で・・・とはならずに協力者を見つけよう!と、考える辺りは流石元アメリカ人である。


そんな事を考えてたら何かオッサンが王城がある方から走って来た?


「きゃああああああ??!!!」

ラザフォードは何故か悲鳴を上げてオッサンから逃げ出した?!!


「んな?!お待ちを!お嬢さん待ってくだされー?!」

ラザフォードに脱兎の如く逃げられて驚いた表情のオッサン、何なんだコイツ?!


クレアに鍛え上げられたラザフォードの逃げ足はそれはもう早いのだ!

あっと言う間にラザフォードを見失うオッサン。


「クレマン様ー?お待ち下さい!」

ラザフォードを探して周囲をキョロキョロと見回すオッサンの後ろから数人のオッサンが駆け寄って来た。


「何なんですか?いきなり城から飛び出して!

ちゃんと護衛を付けて下さい!どこに敵が居るのか分からないんですよ!」

オッサンに怒られるオッサン。

全員特徴が無いオッサンで誰が誰だか分からん!


「・・・いや、すまん。多分、儂の気のせいだった様だ」

そう言いながらオッサンに首根っこを掴まれてトボトボと城へ帰るオッサンだった。


・・・・・・・・



・・・・・・



・・・・




街から逃走したラザフォードは黒龍に戻り空を飛び街の近くにある岩山の頂上に潜んでいた。


「「びっ・・・ビックリしたー・・・なあに?あの大きな龍は・・・」」


岩陰からチラチラと街を伺うラザフォード。

ラザフォードには走って来たオッサンが自分より遥かに大きな龍に見えていたのだ。

正確には内包されている魔力を可視化したのだが。


「「ビックリして逃げちゃったけど、あの龍に敵意は無かったかな?

お話しくらい聞くべきだったかなぁ・・・」」


大分気持ちが落ち着いて来たので現状の状況整理を始めるラザフォード。

炎竜時代の記憶を総動員してあの龍の正体を考える・・・


「「身体の大きさ的に「海龍」だよね?でもこんな内陸部に海龍が居るのもおかしいよね?」」


ラザフォードはそう言うが、それは偏見だ。

海龍は、「主に海で生活している」だけで別に陸上で生活出来ない訳でも無い。

身体が大きいので海で生活する方が楽なだけで少数ながら陸上で生活している海龍も存在している。


「「うーん?でもあの叔父様が海龍ならお話し出来そうだよね?

上手く行けば協力して貰えるかも?・・・うーん、うーん?」」


悩みまくるラザフォード、基本的に海龍、地龍、天龍はかなり理性的で世界の守護者と言われている。一部「はぐれ者」と呼ばれるダメな奴等も居るのだが・・・


「もしはぐれ者だったらどうしよう?」と怖いは怖いのだが少しコンタクトを取って見るべきでは?とも思い始めた。


「「よし!ここで考えても答えは見つからないだろうし・・・」」


合理的なラザフォードはオッサン海龍とコンタクトを取って見ようと決心する。

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