外伝!「龍騎士隊イリスVS魔王軍!」その8
《ぬううううう!!!》
儂を押し潰さんと全魔力を使い風を集め続けるグリフォンロードのエリカ。
確かに凄まじい加重が身体にのしかかっているが致命傷を受けるほどの威力は無い。
儂がこのまま耐え切ればエリカの負けだがどうするのかな?
「今だ!「風刃!!」
フッ・・・と、重圧が消えて目の前2mに巨大な風の刃が現れた!
おおう!これが奥の手かぁ!!
「てえええいい!!」
エリカの掛け声と共に振り降ろされる風の刃!
いきなり重圧から解放された身体は浮き上がった様な錯覚を起こして上手く足に踏ん張りが効かぬ!!
それを見越しての加重圧攻撃だったのかぁ!
バギィーーーーーン!!バギィ!バギバギバギィーー!!
「風刃」の直撃を受けて儂の多重魔法障壁がドンドン砕かれて行く!
そうして最後の障壁が砕かれて、
ズバァーーーーーン!!
儂は頭の中心から真っ二つに切り裂かれた!これは見事じゃ!やってくれたな!
《うえええええええ?!いやああああ??!!》
おい・・・儂を真っ二つにした張本人が何で驚いておるのだ?
まぁ・・・血がダッパダバで内臓がベローン状態だがな!
しかし儂が一刀両断にされるとは・・・はてさて何百年ぶりであろうか?
やれやれ、このままでは死んでしまうから早い所くっ付かないといかんな。
儂は自分の影の接着剤代わりにして瞬時にピタン!と、くっ付いた。
「えええええええ???!!!なにそれーーーー?!」
「おおおおお??!!」
「あら・・・嫌だわ?!キモい!!」
自分達の戦いを放ったらかしにして儂とエリカの戦いを観戦していたイリス、ロイ、ヴァシリーサの3人・・・
イリスとロイの驚いた声は良いがヴァシリーサの「キモい」って何だよ!
良いかな?!君と儂は「お・な・か・ま」仲間だかんね!!
「キュウ・・・キュイイイーン・・・」
バサバサバサバサ・・・ドスーン!
可愛いらしい鳴き声を上げながら気絶して地面に落下したエリカ。
どうやら真っ二つの内臓ベローンの後にピタン!のグロテクスな光景を見て精神的なショックがデカ過ぎた様子だ。
いや!あんな殺意マシマシの攻撃をブッ放して何でそうなる?!
ふむ・・・この状況には少し説明が必要であろうな。
何で儂が真っ二つになっても死なないかと言うと儂はヴァンパイアあるあるの「不死身!」だから!
では無い。
儂は戦闘開始時から「影化」と言うスキルを発動して「精神生命体化」をしていたからだ。
分かり易く言うと「肉体を持った幽霊」って感じになっていたのだよ。
この状態の儂を倒す為には、真っ二つにした後に「精神攻撃」を併用して精神体も破壊する必要があったのだね。
まぁ、この事は極秘中の極秘なのでイリス達にも教えてはあげないけどね!
しかし当然、ピタン!したが儂も無事では無い。
今ので総魔力の70%は食われてしまった・・・
もう一回、同じ「風刃」を食らえば「影化」出来ずに即死じゃな。
ふふふふ!これは見事な攻撃じゃったなエリカよ。
「今の?!今の魔王さんは何をしたんですか?!ヴァシリーサさん!」
内臓ベローンを見て血の気が引いて気絶したエリカと違い、大興奮のイリス。
意外とグロ耐性が高い様子だ。
「ああ・・・あれは「影化」ってスキルよ、精神の本体を影に移動したのよ。
エリカはバルドルの肉体・・・「影」を斬っただけなのよ。
影って光で切断されてもすぐにくっ付くでしょ?アレはそんな感じよ」
「おおーー?!何か凄そうな魔法ですね!」
おおおおいいい?!四天王!!魔王の極秘を盛大にバラしてんじゃねええええ!!!
「ああ!分かった!倒す為には精神攻撃を併用する必要があるんですね?!」
ほらあああ!!小娘に魔王の攻略法がバレちまったじゃねぇかあああ!!
・・・・ところで君達は戦いはどうしたん?
自分の知らない魔法を見てワクテカイリスはヴァシリーサに「影化」についての質問をしまくる。
それに対して丁寧親切に解説するヴァシリーサ・・・
そして、「キュウーーーン」と、うなされているエリカ。
もう良いよ、好きにしとくれ。
「大穴だぁああ!!「魔王が真っ二つ」の大穴が出たぞおおお!!」
「凄えええ?!マジでソレに賭けたヤツいんの?!」
「ああ!2人も賭けているぜ!」
おい兵士達よ・・・トトカルチョに「魔王が真っ二つ」なんて項目があったんかい!
そしてソレに2人賭けていたと?
2人共、儲かって良かったね!おめでとう!
さて、イリスにこれだけは言わねばならぬな。
「ふはははは!!どうだ?!恐れ慄いたか小娘よ!
要のグリフォンロードは倒れたが、どうするつもりじゃ?!」
「あっ!」
儂の言葉で正気に戻ったロイが「やっべー!」的な表情になった。
「そうだったーー!!エリカのぶわかぁーーー!!」
「さて!そろそろトドメになるかの?!龍騎士隊イリス!!」
そう言ってロイに襲い掛かる儂!
いやだって魔力足りねえモン!速攻で決着付けないとコチラがヤバい!
「あら?そう言う事らしいわよ?ごめんねー」
そう言って即座に儂の攻撃に連携を取り出すヴァシリーサ、何だかんだ言っても幼馴染、息はピッタリなのだよ!
ガキィーーーーーン!ガガガガンンンンン!!
「ぐおおお?!」
儂の猛攻に防戦一方に追い込まれるロイ!勝負有り!じゃな。
「ウインドアロー!!」
何とかロイを援護しようと手数勝負に出たイリスだが、ほいほいとヴァシリーサにマジックアローを叩き落とされる。
防御担当のブリックリンも「あー、もうコレあかんね」的な感じでボーとしている。
ガストンとマクシムは・・・うん、楽しそうに戦っているからそっとしておこう。
そうこうしているとヴァシリーサがイリスのマジックアローの弾幕を掻い潜り超接近戦に移行する。
拳闘士イリスの得意な超接近戦だが、ヴァシリーサも体術で負けていない。
あっ・・・成長したイリスは小柄な体格を活かした得意のちょこちょこ懐に潜り込む戦法が出来なくなってやんの。
ドタバタと、組んず解かれ合う2人。
「うひゃあああ?!」遂にヴァシリーサに捕まるイリス。
ヴァシリーサに横四方固めで抑え込まれてイリスは終了。
「ぐうううう!!」
ロイも奮闘するが純粋な物理攻撃が主体なロイは儂の精神生命体を捉え切れない。
イリスからほ魔法の援護が途絶えて詰みである。
「シャドウバインド!!」
「うわああ!!」
ギュルギュルギュルと影がロイに纏わりつき動きが止まる。
こうしてまた魔王軍に完敗した龍騎士隊イリスでしたとさ。
ガストンとマクシムは二人の世界に入っているので放っておこう。