外伝!「龍騎士隊イリスVS魔王軍!」その6
何か話しが脱線しまくったが話しを元に戻そう。
ここでイリスが大事な事を思い出した。
「そう言えば・・・私達は魔王バルドルさんと会ってません」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだっけ?」
そうだぞ?ヴァシリーサよ。
お主達が変な事ばかりするから儂の出番が無いのじゃよ。
龍騎士隊イリスが襲撃して来た以降の儂は、書類確認の公務しかしておらん。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔王と戦いたい?」
「はい、それが目的ですから」
一応、儂も最初は戦う気は満々だったのだが・・・
あまりに酷い展開でヤル気をゴッソリと奪われている。
「出来れば「四天王さん」も一緒に戦って欲しいです」
魔王城の最深部「魔王の間」に行ったものの魔王は居なかったので不完全燃焼のイリス。
「・・・・・・・マクシムが強かったからもう良いんじゃない?
ハッキリ言って魔王ってマクシムより弱いわよ?」
酷え?!
まぁ・・・事実なんだけどね。
そもそもマクシムが「もう魔王やーめた」なんて言い出したから話しがおかしくなったのじゃ。
「それはそれ、これはこれ、なので」
「うーん?・・・・・・・・分かった!魔王の準備をするわ!」
魔王の準備って何だ?!物か?儂は!
こうして儂の意思は完全に無視して「魔王の間」にて龍騎士イリスと魔王軍の再戦が決定する。
兵士諸君よ、トトカルチョがまた出来るね!良かったね!
とは言え・・・
「魔王の玉座・・・ブっ壊れたままなんだよなぁ・・・」
魔王の間に行きマクシムが盛大にブっ壊した玉座を眺める儂・・・・
まあ、これを作った元魔王のマクシム本人がブっ壊したので別に良いんだけどね。
特に使う予定も無かったから修理せずに放置しておりました。
ちなみに、龍騎士隊イリスと再戦と聞き四天王の筆頭は視察と称して逃亡・・・
二番手は「この忙しいのにいい加減しろ!」のオーラが凄まじくて迎えに行ったヴァシリーサは、「魔王の間に来い」とは言い出せなくて、結局は儂とマクシムとヴァシリーサの3人のみでイリス達、龍騎士の相手をする事になった。
座る玉座が無いので仕方なくブッ壊れ玉座の前に立つ儂。
その両サイドにマクシムとヴァシリーサが立つポジションでイリス達が来るの待つ。
本当は両サイドで1列に整列してるはずの兵士達は円陣を組んでトトカルチョで忙しそうだからシカトする。
これで戦闘になると素晴らしい統率力を見せるのだから不思議なモノだ。
あれ?でもこれって戦闘じゃね?
まぁ・・・もう今更だな。
「マクシムが戦うと勝負にならないから、お主は見学ね」
儂の隣に立つマクシムにポツリと呟くと・・・
「そんな?!魔王酷え!」とマクシムが抗議して来た。
「いや・・・お主、絶対に儂等を無視して暴れるでしょ?それだけで終わるから」
異常に強いのも考えモノだよねー。
「そうよ!イリスの相手はアタシがするのよ!
うふふふふ、マクシムは寝ていなさい!」
「いや君もダメだから」
「なんで?!」
「なんでもクソも・・・君、昨日イリス相手に圧勝してんじゃん?
昨日、一昨日で突然実力差が埋まる訳ないじゃん」
昨日のイリスとヴァシリーサの戦いを記録魔石で確認したが終始ヴァシリーサが圧倒して最後はイリスがパタリと倒れて終了していた。
アレは酷かった・・・もう少しイリスにも見せ場を作ってやれよ。
あまりにも一方的過ぎて変態も話しすら書けんかった・・・
戦闘開始直後からヴァシリーサからの全属性上級魔法の連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射連射・・・
結局イリスは対魔法防御結界を張ってるだけで魔力切れになった。
「一応これ、イリス達の修行の目的もあるから」
元々イリスとエリカの戦闘能力向上が目的で始まった戦いなのにコイツ等と来たら・・・
あんだけ圧勝してたら修行にもならん。
「なら手加減するわ!」
「俺も今度はちゃんとするから!」
「ホントかよ?地龍のブリックリンは戦えないからマジで考えてね?」
龍騎士隊イリスの最大戦力であるブリックリンは地龍と真魔族の「協定」との名の縛りがあるので戦えないのだ。
一応先程、地龍王クライルスハイムに「ブリックリンの相手していいっすか?」聞いて見たら、「ダメ」との回答が来た。
そりゃこんな完全な私闘に許可なんて降りる訳が無いよね。
そしてズリズリと涙目の二人に縋られて鬱陶しいので仕方なく参戦を許可する儂。
そうしていると・・・
ギギギィイイ・・・と魔王の間の扉が重々しい音を立てて開かれた。
アレ重くてウザいから普段は開けっ放しなんだけど演出の為にさっき閉じた。
「またすぐ開けるから開けっ放しで良いじゃん?」
そうブツブツ言いながら渋々扉を閉めた兵士、一応は魔王にも演出があるんだよ!
ようやく龍騎士隊イリスと魔王との戦いが始まる・・・
ここまで来るのに約15000字、「本題に入るのにどんだけ時間が掛かってんだよ?!」と儂も思うし、「後、どんだけ外伝続くんだよ?!」とも思うが変態がやる事だから儂にも分からぬな・・・
ちなみに「バルドル編」が終わると次は「黒龍ラザフォード編」が待っているんだそうな。
彼女も初登場以来、思わせぶりなままでえらい長い事、放置されておるな。
・・・もう外伝だけで連載を上げた方が早くね?
おっと、どうでも良い事を考えていたらイリス達が魔王の間に入ってきよった。
やっと儂の出番じゃな!
「ふははははは!良くぞここまで来たな勇者達よ!
我こそは魔王バルドル!貴様等の「死」を持って歓迎の証としよう!」
今更感が凄いが一応決まり事なので定文型の口上を述べる儂・・・
めっちゃダサいが、これを言うのが長年の決まりなので仕方が無いのだよ。
ん?!まさかマクシムはこれが嫌で魔王を辞めた?!
「初めまして!イリスと申します」
両手を前に揃えてペコリと頭を下げるイリス、この娘は不思議と礼儀だけは正しいんだよなー。
「そして右から仲間のブリックリン、ガストン、ロイ、エリカです!」
それからイリスは手で差し示しながら丁寧に仲間の紹介を始める。
こう言う所はお姫様っぽいんだけどなぁ。
ガストンとロイは儂なんか見もしないでマクシムの事をジーと見ている。
先の再戦をヤル気マンマンじゃのう。
イリスもヴァシリーサと再戦したそうにウズウズしている。
あれ?となると儂の相手はエリカしかいない?
「・・・・・・・」
そう思ってエリカを見たら、儂の視線を感じてキョロキョロと周囲を見回して、
「魔王の相手!私1人ーーーー?!」と叫んだ。
うん、そうらしいよ?