表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/266

35話 「イリスの舞踏会デビュー」その3

さて舞踏会なのでイリスは踊らにゃならん。

ファーストダンスをクレアと踊るのはエルフ的にもちょっと違うのでラーデンブルク公国の宰相さんと踊る事になった。


宰相さんはラーデンブルク公国の4侯爵の一人でハイエルフらしい線の細いイケメンなのだが本人曰く、ハイエルフの中でもかなりのお爺ちゃんとの事。


チャラララ~チャラララ~と最近流行りの地球の「仮面舞踏会組曲」っぽいワルツに合わせてファーストダンスを踊る参加者。


勿論、この曲をラーデンブルク公国にぶち込んで来たのは黒龍王ラザフォードだ。

「私は音楽全般が好きなんだよ」とドヤ顔のラザフォードだが著作権の無い世界なので好き勝手してるなコイツ。


楽しそうで何よりです。


「ほっほっほ、お上手ですぞイリス様、ほっほっほ」

見た目に反してめっちゃ爺様口調の宰相さんの不意打ちを喰らい吹き出しそうになるイリス。


「ありがとうございます」何とか体勢を整えて笑顔を作り返したのだった。


そしてイリスの踊りの腕は「普通」だった、普通である。

大事な話しなので二回言っておこう。


しかし余り練習が出来ないで「普通」なので、これちゃんと修行すれば案外私も行けんじゃね?とか内心で自分を褒めるイリス。


次のセカンドダンスからフリーなのでガストンやロイと踊りたいイリスだが・・・


チラッと見ると二人は護衛に徹しているかの風に見せながら、スススとイリスから離れて行くのだ。


ホワイトに関して言えば参加を副長さんに押し付けて最初から会場にすら居なかった・・・嫌だったらしい。


イリスが後で、「二人共酷い!!」と責めたら、ガストンとロイに、

「「いえ・・・私がワルツを踊れるとでも?」」とユニゾンで返された。


仲間の裏切りの為に結局、貴族の子息共との無限ワルツ編に突入してしまい、片っ端から子息共の相手をしてやったのだ。


そして!ここで運命的な出会いが?!・・・ともならなかった・・・残念。

と言うか参加者全員が公務で来ているのに御披露目中のお姫様をわざわざ踊りの最中にいきなり口説くヤツはいない。


こう言う公式な舞踏会で踊りを踊りながら形式上での挨拶をしながらの顔見せがメインなのだ。


20名程と連続で踊り倒して少し疲れたイリスはクレアと共に一時的にテラスに退却する。


「どうじゃ?楽しんでおるか?」


「はい!上手に踊れた時は楽しいですね!」


どうやらイリスは踊り自体は結構好きだった様子、実戦主義者らしく後半は結構上達していた。


そう・・・目に見えて上達したのだ・・・


「ふむ、それは重畳・・・それで好みの男はおったか?」

今日の舞踏会は当然、イリスの婚約者候補を見つける目的もあるのだが・・・


「えっ?好みの男性ですか・・・うーん??んんー?」

真剣に悩み始めるイリス、まだ全然男性に興味が沸かないから困ってしまうのだ。


しかしイリスもそろそろお年頃に入りつつあるので異性の事も少しは、知って行かなければならない。


「師匠・・・お母様はどんな男性が好きなのですか?」


「イリスよ・・・妾が男性経験豊富に見えるか?・・・しかしそうじゃな・・・

好みで言えば妾の旦那様の様な男性じゃ」


「あ、そりゃそうですよね、えへへへ」


実際にクレアは2000年ほど前に男性経験未体験のままハイエルフ同士で結婚してから異性は旦那様しか知らない。


しかも旦那様に迫られると未だにテレテレになってしまう純情さんである。


そして子供は息子さんが一人いる。


旦那さんも息子さんもクレアの側近として内務省で普通に仕事をしていたのだ。

突然、思い出した様にクレアから数日前に紹介されてビックリした。


「ちゃんと最初に紹介して下さいよ?!」


「うむ、そう言えば紹介しておらなんだか?と思ってのう」


「されてませんよ!御二人から思い切り笑われたじゃないですかぁ!」


今までイリスはクレアの旦那さんと息子さんの事はかなり前から知っていて普通に文官さんだと思って接していた。


二人共、明るくて楽しい人達だったのでイリスも負けじと結構はっちゃけて会話していたのだ。


ん?クレアの息子さんと婚約すれば?とも考えたが既に妻帯者だった・・・残念!

この先も異性関係でタイミングが合わず長く独り身になってしまうイリスだった。


休憩を挟み、また貴族の子息共と踊り倒すイリス。


この辺りから「あれ?何か少しおかしくね?」と気がつく者が現れる。

疲れているはずのイリスの身体のキレが妙に良いのだ?


それどころか疲れて踊るのを嫌がるどころか意気揚々と年齢を問わずに踊りの上手な者に片っ端から声を掛け始めたのだ。


そう・・・イリスは踊りの奥深さを追求する楽しみに目覚めてしまったのだ!

言うなればこれは舞踏会の名の元の「修行」なのだ!


「鬼の舞踏姫」のガチ爆誕である、冗談では無くガチなヤツだ。


この超傍迷惑な生物は踊りが上手い人物をとっ捕まえると勝負を挑むのだ。

そして何よりもしつこい!


普通は同じ人物と踊るのはせいぜい2回までなのだが、その人物の技術を盗もうと3回も4回も踊りを挑んで来るのだ。


結局イリスは6時間の舞踏会の間に80人と踊り倒してしまう。

つまりほぼ休み無くぶっ通しであった。


人々はイリスの事を「可憐で弱そうなお姫様」から「体力無限の鬼の舞踏姫」と認識を改めた、最早、特級呪物の扱いである。


そして鬼の舞踏姫の恐怖は今後約1000年は続く事になる。

まぁ、別に実害がある訳じゃ無いけどね、相手をすると肉体的に疲れるだけだ。


こうしてイリスの御披露目舞踏会は、人々の印象に強く残る事になり、まあまあ成功したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ