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33話 「イリスの舞踏会デビュー」その1

着々と舞踏会装備を装着させられて行くイリス。


「うう・・・重いよー重いよー」

普段ラフな格好のイリスにはドレスのフル装備はかなり堪える・・・と言うより鬱陶しいのだ。


どんなドレスか?の詳細は省略しよう・・・ごめんなさいドレスの事知りません。

ネットで調べても全然ピンと来ませんでした。


「イリス様、我慢して下さい」

そう言いながら情け容赦なくイリスに金のティアラを装着するゴブリナ。


「ぶー・・・そう言えば・・・まだ私は貴女達のお名前聞いてないんですけど?」

イリスは最初からずーと気になっていた事をゴブリナ達に聞いてみる。


「名前ですか?私達にはありませんよ?」


「うえええええ?!やっぱり!そうだと思ったよ!何で?!」


「名前は契約主が付けてくれる物なので・・・

契約主を見つける前に自分達で名前を付けると魔族達などから精神支配を受ける可能性もありますから敬遠しています」


「真名」を奪い使役化すると言うヤツだ。

真の精霊なら真名を奪われてもそこまで問題ないが半精霊のゴブリナ達は魂まで握られる可能性がある。


「・・・師匠?」イリスはジト目で師匠のクレアを見る。

「何でゴブリナ達と契約して上げていないんですか?」と非難しているのだ。


「わっ妾は悪く無いぞ?!契約を持ち掛けたが断られたのじゃ!」

何やら挙動不審のクレア・・・お前はどうしたんじゃい?


「クレア様に契約して頂くなど畏れ多すぎますので・・・」


ジトーーーーーーーーーーー「んー?」


「イリス、その目はやめてくれぬか?!

そうじゃ!ならばイリスが契約主になれば良かろうて?のう?そうせい?」


「そんな理由で断れても師匠がゴリ押しすれば良いじゃん?」的なイリスの目に耐えきれなくなったクレアがゴブリナ達との主従契約を勧めて来た。


「えっ?私ですか?私にはシルフィーナが居ますから無理なのでは?」

シルフェリアの時で精霊との多重契約の難易度は充分に理解しているイリス。


魔力総力的にも4人と契約なんて無理そうだが、加えてゴブリナ達の属性は「火」なので「風」の属性持ちのイリスとの契約は更に難易度が上がる事が予想される。


相性的にも自分だとゴブリナとの契約は、ちょっと無理だと判断しているイリス。


そんな理由もあってイリスは余計にクレアを非難しているのだ。

クレアは万能の「光」の属性なので全属性共に契約には問題は無い。

魔力総量もイリスの10倍はあるのでここも問題は無い。


複合属性のイリスは「光」の属性を持ってはいるが「風」の属性の方が強く精霊契約の時は「風」の属性での契約になる。


「いや、ゴブリナ達との契約は精霊契約とは違い属性は関係ないのじゃ」


「どちらかと言いますと契約主様の魂に「名前を管理して頂く」と言った方が正解です・・・簡単に申しまして名付け親?ですね」


めっちゃオロオロするクレアに助け舟を出すゴブリナ。


「んん?・・・あー、だんだんと読めて来ましたよー。師匠?もしや・・・」


「だからその目はやめい!ううう~・・・

ええーい!!ああ!そうじゃ!妾は致命的に名付けのセンスがないのじゃ!

・・・それでも一応は妾も名前を考えて見たのじゃが・・・」


「・・・・参考までにその名前は?」


「・・・・・・・・・・・・・・・タマ、ハナ、ポチ、コロ・・・・」


「酷いなんてレベルじゃないじゃないですかぁ!!何ですかそれ?!無惨です!

まぁ確かに可愛い名前ですけどね?!でも彼女達は一生名乗るんですよ?!

師匠は本当に真面目に考えたんですか?!そりゃ断れますよ!」


ノンブレスでクレアのセンスを批判しまくりのイリス。


「うう・・・だから・・・イリスに考えて欲しいのじゃ・・・」しょんぼりクレア。


「もおおおおお・・・・」

ゴブリナ達とクレアが契約出来なかった理由がしょうもなさ過ぎて呆れるイリス。

とりあえずイリスはゴブリナ達に良い名前を考えて見る事にした。


5分ほど考え抜いて・・・


「・・・エイアー、テーロース、プティノポローン、ケイモーン、なんてどう?

異世界の神話での四季を司る女神様から名前を貰うってのは?」


「まあ!」「可愛いお名前」「素敵です」「素晴らしいですわ!」

それぞれ付けられた名前が気に言った様子のゴブリナ達。


イリスの付けた名前はゴブリナ達の魂に刻まれる。


そしてイリスの魂にも4人の名前が刻まれた。

やったね!契約成功!良かったねゴブリナ達!


しかしクレアはここで、とんでもない大失敗をしてしまっていた!


「あ・・・・あれ?あれれれ?」イリスが突然クラクラし始める。


「きゃーーーーー?!イリス様ーーーーー?!」

プティノポローンの悲鳴を聞きながらイリスは魔力枯渇で失神してしまった・・・


なにせ一気に4人もの上位精霊種との契約だ。

そりゃあイリスの魔力が枯渇するのが当然だろう。


「キュウウ・・・」舞踏会目前に主役がダウンの緊急事態になってしまったのだ。




本日の舞踏会・・・・・・延期です。




「クレア様!本当に何してくれてるんですか?!

皆様、既に集まっていらっしゃるのにどうするんですか?!」


「す・・・すすすまぬ!妾が悪かった!」


気絶したイリスを膝に抱えながら舞踏会開催の主催者の伯爵に思い切り怒られるクレア。


直ぐにクレアが魔力供給したのでイリスの身体とかは大丈夫なのだが猛烈な疲労感は数日残るだろう。


「皆様に謝りに行きます!クレア様も来て下さい!」

激オコの主催者はズンズンと舞踏会会場へ足を運び始めたのでイリスをテーロース達に預けてトボトボと後ろに続くクレア。


それからゴブリナ達は気絶したイリスを楽にさせる為にドレスを脱がしてパジャマに着替えさせてベッドへ寝かせる。


そしてイリスの頭を撫で撫でしながら、

「素晴らしいお名前を、ありがとうございましたイリス様」エイアーが呟いた。


「うふふふふ♪「ケイモーン」私の名前はケイモーン」

噛み締めるかの様に上機嫌に何回も自分の名前を呟くケイモーン。


「まさかここでお名前を頂けるなんて思いもよりませんでしたわ」

嬉しそうにプティノポローンもイリスの頭を撫で始める。


「このご恩返しは忠誠にてお返し致します」

テーロースは新たなご主人様の衣装を丁寧に片付け始める。


ここに最強の「イリス専属侍女軍団」が誕生した。

これより先、この侍女達がイリスの為に大きな働きを見せる事になるのだった。

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