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24話 「帰って来ました!ラーデンブルク!」その3

出航前から船酔いで早々にダウンしたイリスは船底の船員の部屋に居候させて貰う事になった。


「すみません・・・私、山育ちなので・・・」

そう言えばイリスは中央大陸のど真ん中辺りの山に生息していたのだ。

そしてそれからは空を飛んでいたので船には、ほとんど乗った事が無かった。


「生息とか言うな・・・うう・・・ここまで揺れがダメだなんて・・・」

船の洗礼をモロに受けたイリスだった。


「筏に乗って渓流下りとかしても大丈夫だったのになぁ~」


「川と海の流れの揺れって違うモノなのですよ」

イリスの目に濡れたお手拭きを掛けてくれるエルフの女性船員さん。


そしてイリスの横にずらっと並んで目を回しているゴブリナ達・・・

彼女達も山育ちで海に慣れていないのだ。

えっ?じゃあ来る時はどうしていた?と思ったらずっと寝ていたそうだ。


「大丈夫かよ?姫様達は・・・」出発前から不安そうな兎人族の船長さん。


「主は根性あるから大丈夫です」なぜかドヤ顔のドンゴ。

ドンゴは元々、海ゴブリンからゴブリンロードに進化したそうで、毎日漁に出ていたとの事で船の揺れなどお手の物らしい。


そんな船酔い娘達を引き連れて定期便は出発したのだった・・・


「あう・・・あううう」

夜になり外洋に出ると横揺れに縦揺れも加わってイリスの三半規管を粉砕して行く。

ゴブリナ達は・・・仮死状態?と思うくらい熟睡している、何かしらの魔法を使った様子だ。


それを見て「ん?魔法?・・・そうか!「浮遊!」」イリスは浮遊魔法を使った。

フワリと身体が浮き上がると・・・気持ち悪いのが治ったーーー!!


「お?おおお!やったーー!」

イリスは船酔い地獄からやっと解放されたのだ!やったね!


しかしパッとした見た目はこれぞ!「浮遊霊」にしか見えない。

この夜、船内は地獄の様な大騒ぎになったのだった。





イリスが浮き上がって2時間後・・・


「ひいいいい!!船長ーーーー!!」夜間見廻りの船員が船長室へ転がり込む。


「なんだよ?・・・・また幽霊か?」


「な!!なんで知ってるんです?!」


「お前で3人目だからだよ・・・」

転がり込んだ船員が船長の足元を見るとガタガタ怯えた2人の船員が船長の足に縋り付いていた。


「何でいきなりこの船に幽霊が出るだよ・・・」

船乗りは縁起を担ぐ者、この船も航海に際して毎回お祓いと安全祈願をしている。


しかも聖女にお願いしたガチの儀式だ、そんな物を突破してくる幽霊なんて・・・

「怨霊・・・か?」


「ひいいいい!!やめて下さい!船長!!」


この世界でも怨霊は恐れられている。

魔物なら斬ったり殴り飛ばすとか、なんとか対処出来るが怨霊の類いは専門職にしか対処は難しいからだ。


さて・・・船員が見たこの怨霊は言うまでも無く犯人はイリスだ。

船酔いから解放された今、好奇心旺盛のイリスが初めての本格的な船旅でジッとしている訳がない。


フワフワ浮きながら船内の見学をしているのだ。


そして今のイリスは白いワンピースタイプの寝巻きを着ている。


そして肌はハイエルフらしく透き通る様な色白・・・それだけでも何か少し幽霊っぽいのに腰上まである銀髪が浮遊魔法で風も無いのにフワフワ浮かび遊んでいるのだ。


この時代、灯りはまだまだランプが主流・・・

暗い船内にランプに照らされて「フワー」と何か白っぽいイリスが浮かび上がる、

もう完全に幽霊にしか見えんのだ。


しかもあっちこっち落ち着き無く移動しまくるモノだから被害範囲が拡大して行く。


「船長ーーーーー!!」

4人目の幽霊の目撃者が船長室へ飛び込んで来て・・・


「しゃあねえ・・・幽霊退治すっか」船長は幽霊と戦う決断をする。

そもそも狭い船内だ、戦うしか無いのだ、船長もやりたく無いが仕方ない!


この世界、幽霊は普通に居ると認識されているし実際に居る、そして幽霊退治の手法もちゃんとある。


「塩と酒を持って来い」船長が別の船員に幽霊退治の指示を出すと、

「分かりました!」ドタバタと動き出す船員達。


ここにイリスVS船員達の戦いの火蓋が切って落とされた!


そんな大事になっているとも知らずに

「ふん♪ふふん♪うふふふ♪たーのしー♪♪♪」

船酔いから解放されて呑気に鼻歌を歌いながら船内の見学を続ける幽霊イリス。


すると突然!「食らえー!!」と、船員から塩をブッ掛けられる幽霊イリス!


「きゃあああ?!」当然悲鳴を上げるイリスだが、

「ひいいいい?!喋ったぁーーー!聞こえちまったーーー!!」

最初からイリスだと認識するのを放棄している船員は恐れ慄く!


冷静な時なら花の香りがするイリスにすぐ気が付くのだが・・・


イリスが何で花の香りがするかと言えばハイエルフは自分の守護花を持つ。

周囲に守護花の気配を纏うので仄かに香りがするのだ。


ハイエルフの特有の現象で、この人はハイエルフかどうか?の判断基準にもなる。


ちなみにイリスの守護花は「水蓮(睡蓮)」だ。


別に自分で決めた訳で無く、水蓮に懐かれてなんかそうなってクレアに笑われた。

普通自分で好きな花と儀式契約するんだそうだ。


イリスに懐いた水蓮は可愛くて好きなのでそのままにしている。

水蓮に懐かれた・・・この事は後に重大な意味を持つ事になる。



さて話しを戻そう。


いきなり塩をブッ掛けられて、

「ぺっぺっぺっ・・・しょっぱい?!これ塩?なんでぇ?!」


「うわああ!!すみませんすみませんすみません!!」

泣いて謝る船員、なぜなら幽霊の言語が直接耳に響くと言う事は、その幽霊はかなり力を持つ「大怨霊」と言われているからだ。


「なななななな???」いきなりの事に訳分からんイリス。

いきなり塩をブッ掛けて来た相手が泣いて謝り出すのだ、そりゃ訳分からん!


「助けてくれーーー!!」今度は酒を思い切りブッ掛けられるイリス!


「きゃああああ?!だからなにーーー?!」

ワインをブッ掛けられてイリスの白いワンピースが赤く染まる!


これは・・・血だ・・・


全身血塗れにしか見えんくなってしまった!・・・・更に事態は悪化した。

そしてワインの匂いに水蓮の香りも消えてしまう、正しく最悪!


「もおおおお??!!いきなり何をするんですかーーー?!」

当然、激オコのイリスなのだが・・・


「ひいいいい・・・・」パタリ・・・

また大怨霊の声を聞いてしまい恐怖が限界に来てしまい気絶してしまう船員さん。


ここにイリスに新属性「大怨霊」が加わったのだ!

お姫様属性と合わさり「お姫様の大怨霊」の爆誕の瞬間だ!


これが良いのか悪いのかもう訳分からん!






「おい・・・」


へい!なんでしょうか?


「確か、この回ってシーサーペント戦じゃなかったか?何これ?」


私にも全然分かりせん!何でこうなったんでしょうかね?


「この流れからシーサーペント戦・・・やるの?」


気が向いたら!


「やらないな・・・この人」

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