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19話 「大地の精霊王」その4

「お母様~、準備出来ましたわよ~」

めっちゃ呑気な声が霊峰シルバニアに木霊する。


何故かシルフィーナの挑戦を正座して見学するイリスとエリカ。

グリフォンのエリカは器用に正座している・・・グリフォンの関節逆じゃね?と思ったら可動域が広いんだそうだ、じゃないと獲物を捕らえられないとの事


「ねえ?エリカ?私、思うんだけど・・・」


《なあに?イリス》


「エリカってグリフォンの姿だから余計に潰されるんじゃない?

だって人間の時より表面積が広いじゃない?」


《え?うーん?どうだろ?

確かに素早くはなるけど私の「人化の方」は、まだまだ未熟だから3割以上の魔力を姿の維持に持っていかれるんだ。

100%能力を発揮出来るのはやっぱりこの姿なんだ》


「へえー、エリカも色々と大変だね」


《そんな事ないよ?最近はこの姿に愛着も湧いて来たからねー》

当初は自分は人間との自覚が強くグリフォンの姿を隠していたエリカだが、

ここの所はグリフォンのままでいる時の方が多い。


『私の準備も出来たわ。シルフィーナ、岩何個から行く?』


「そうねぇ・・・久しぶりだし、ウォーミングアップで「150個」からで」


「はあああああああ?!150個おおおお?!」


《私達・・・まだ25個・・・》


『じゃあ行くよー」「OK~」

驚愕するイリスとエリカを尻目にシルフィーナの大岩大乱舞150が開始された。


ヒューン・・・・ドゴオオオンンン!ヒューンドゴオオオンンン!!

小手調べの10連撃が来た!


「よっ」ドオオオオオン!!「はっ」ドドドオオオオオン!!「はい」ゴオオオン!

シルフィーナは難なくステップを踏むだけでかわしてしまう。


次は30連撃!大岩の隙間はまだ広い。

「はいはい!」ドンドンドドドオオオオオン!!「ほいっと」ドオオオオオン!!

余裕で回避するシルフィーナ、特殊技能「回避」を使っている様子も無い。

単純に反射神経と動体視力のみでかわしているのだ。


「お母様、身体もほぐれて来たから本命をお願いしますわ」


『OK~、行くよ~』

空が急に暗くなる・・・残りの大岩110個が空に放たれたからだ!


「もう!この世の終わりの光景じゃん?!」


《あー・・・こう言うの映画で見たわー》


ズドドドドオオオオオン!!ズドン!ズドドドドオオオオオン!!

もうシルフィーナの掛け声も聞こえない轟音が響き渡る!土煙も凄いがイリスとエリカはシルフィーナの動きが追えている。


シルフィーナが通った後に大岩が落ちて来るのだ!これは「先読み」のスキルだ。


ズン!ズドドドドオオオオオン!!

シルフィーナはまだまだ余裕があるのかバックステップを踏んだりしながらギリギリで大岩を避け続けている。


《へへへへ変人・・・》


「もう!失礼ねー」エリカの小声での悪口すら聞く余裕があるのだ。


そして・・・ズドドドドオオオオオン!!最後の5発が落下を終えた。

当然それを軽いステップで回避するシルフィーナ。


するとゲーム機の様に落ちた大岩達が宙に浮いてそれぞれの定位置へと戻って行く。


「うえええ?!大岩、元の位置に戻るのぉ?!怖っ!!」

イリスは、こちらの方にもかなりの衝撃を受けた、シルバニアがどんだけの魔力を保有しているのか予測すら出来ないからだ。


大岩大乱舞が終わってシルフィーナがテクテク歩きながらこちら側に戻って来て、

「どう?修行の参考になったかしら?」と尋ねて来ると、


《いえ・・・シルフィーナ様が余りにも凄すぎて何の参考にもなりませんでした》

と答えたエリカ・・・だって本当に参考にならないんだモン!


「様?」


「そうですね、エグ過ぎて何も言えません・・・シルフィーナ様」

自分の契約精霊がこんなヤバい奴だったとは知らなかったイリス。


「様?」


「大丈夫よ、ちょっと練習すれば誰だって出来ますわ」


「《出来るかーーーー!!!》」


『イリス~、エリカ~、貴女達は何個で行く~?』


「《25個でお願いします!いやホント25個で!!》」

ピッタリ声を揃えてユニゾンで即答するイリスとエリカ。

150個なんぞで来られてたまるかい!!


そして22個までかわして23、24個目でそれぞれ「プチ」っと潰された2人・・・

また地面にめり込んでる。


イリスは元々防御障壁を張るのが得意なのだが、直撃を受けるから衝撃でかなり痛いのだ。

「ううう~、シクシクシク」遂に泣き出したイリス。


じゃあエリカは?と言うと・・・龍力で防護しているので大丈夫だ!

《大丈夫じゃないわよ!龍力を使ったって痛いんだから!・・・うえええん》

イリスに釣られてエリカも泣き出した。


『はいはい2人共泣かない泣かない。修行は始まったばかりよ。

・・・・じゃなくて!エリカ!貴女、何で「龍力」を使えるの?!』

そっすね、グリフォンのエリカが「龍力」を使えるのはおかしいですよね?


《うえええん・・・アレ?そうだね?何で「龍力」なんて使えるの私?》


「シクシク・・・それは2人の「龍王」の力を使えるからよ・・・シクシク」

泣きながらもちゃんと答える、律義者イリス。


『いや・・・私より貴女の方がヤバくない?エリカ』


《師匠の方が絶対にヤバいですからーーー!!》

比べんなーーー!!と怒るエリカ、そりゃそうだ。


「もーう、仕方ない人達ですわね・・・もう一回手本をお見せしますわね。

お母様!次は本気の300個で!!」


『えっ?記録更新の530個じゃなくて良いの?』


「もうやだーーー!!この親子ーーーー??!」


《ゲロヤバ親子の称号を与えましょう・・・》


精霊母娘の恐ろしさを思う存分に味わったイリスとエリカでしたとさ。

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